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共催セミナー『大学に求められる国際性:その意義と実践』開催報告


日米センターは東京アメリカンセンターとの共催で以下のセミナーを開催しましたので、以下にご報告します。

詳細
日時: 2005年11月4日(金)17:00〜18:30
会場: ジャパンファウンデーション 国際会議場
共催:

ジャパンファウンデーション日米センター(CGP)、東京アメリカンセンター

後援:

米国国際開発庁(USAID

テーマ:

「大学の国際化」

スピーカー: アール・D・ケロッグ博士
(Dr. Earl D. Kellogg)
イリノイ大学ウルバナ・シャンペイン校名誉教授・
同校前国際関係担当副学長
コメンテーター: 宮田清蔵 前東京農工大学学長
モデレーター: 黒田則博 広島大学教育開発国際協力研究センター教授

会場の様子の写真
会場の様子
今日のグローバル化が進む世界のなか、日本をはじめ各国の大学など高等教育機関には国際化と国際的な連携がいっそう求められており、「教育」、「研究」、「社会サービス」の各分野において国際的な側面をいかに盛り込んでいくかが重要な課題です。

このような認識のもと、イリノイ大学ウルバナ・シャンペイン校のアール・ケロッグ氏より、アメリカの大学によるこの重要課題に対する取り組みや、日米で共通する課題などについてお話していただいた上、日本の事例について宮田清蔵前東京農工大学学長にコメントをいただき、更に会場との質疑応答が行なわれました。

ケロッグ氏は10月31日から11月2日にかけて名古屋で開催された「日米大学間対話セミナー『農学国際協力における日米大学の連携を目指して』」(CGP助成)にアメリカ側参加者のひとりとして出席するために来日していました。日程の合間を縫って本企画にご協力いただいたものです。

アール・D・ケロッグ博士の写真
アール・D・ケロッグ博士
ケロッグ氏による講演では、今日の相互依存が劇的に進んだ世界において今後ますます高等教育機関の役割は拡大するとされ、ある統計によれば全世界で2000年に9,700万人であった高等教育人口は2020年には2億6,700万人にまで上昇するとされており、このニーズに対応しながら高等教育の質を確保する取り組みが急務、と指摘されました。

「大学」そのものの存続にとって国際化が不可欠であることに加え、将来の世界の担い手となる学生の「教育」において国際理解など国際的観点が不可欠であること、「研究」上は高い研究成果を挙げるために国際共同研究・比較研究などが必要であること、「社会サービス」に関してもサービス提供先である社会や公共を国内に限定せずより広いコミュニティとして想定することが今後はより必要になってくることなどが指摘されました。

これらの具体策として、大学の戦略計画に国際化を取り入れること、ファカルティ(教授陣)の評価に国際的側面を取り入れること、カリキュラムに国際理解、国際比較などを取り入れること、学生の留学制度を整えることなどが挙げられました。イリノイ大学での取り組みとしては海外でも講座を開設し学生がたとえばオランダのハーグで国際法、ローマでローマ史、バルセロナでスペイン語、などを学べるよう設計されていることなどが紹介されました。

結論として、今後も大学の国際化の傾向が強まるのが自然の流れであり、国家の枠組を超えて様々な課題に取り組み必要性が確認されました。また、世界の高等教育機関をリードする日本と米国がこの国際化の問題に対し積極的に関わっていくべきとの激励の言葉がありました。
(プレゼンテーション資料はこちら【PDF:149KB】

宮田清蔵氏の写真
宮田清蔵氏

宮田氏からのコメント
は、日本側の状況紹介を中心に行なわれました。21世紀の「知識基盤社会」において大学の役割が拡大する一方、日本では国立大学が2004年4月に法人化され、今後ますます国際的な競争に勝ち残れる「頭脳工場(Brain Factory)」としての能力を高める必要性が強調されました。世界に目を向ける一方で、日本のよさを認識し、コミュニティとも連携した大学を作る、という意味で、「Glocalization」(GlobalLocalを組み合わせた造語)という視点が紹介されました。
(プレゼンテーション資料はこちら【PDF:59KB】

 

質疑応答

Q 日本の場合、国際化の大きな妨げは全般的な英語力不足ではないか。(会場)
A 文科省では大学入試に英語のリスニングを取り入れるなど工夫を検討しているが、今後読み書き以外の使える英語の学習法は更に改善の余地があるだろう。大学の問題としては教員は研究上英語能力の高い人が多いが、大学職員では英語で仕事ができる人材はまだ稀有であるのが実情。職員の能力向上が大きな課題である。(宮田)

Q 英語は国際語であるが、アメリカでの外国語学習への関心はどのようなものか。(司会)
A
黒田則博氏の写真
黒田則博氏
アメリカ人にとって幸運なことに、たしかに英語は第一の国際語となっている。しかしながら話者人口は中国語の方が多く、また英語が通じない地域もあるわけで、決して英語のみで世界と話せるわけではない。
イリノイ大学では入学に2か国語、卒業までにもう1言語が必要であるが、在学中に習得すべき第3の言語については卒業までに通常3年間学習するがそれでもあまり上達しない学生が多いことは課題。
学習者が少ないいわゆるマイナー言語に関しては周辺の他の大学と連携し、学生が学びたい言語を他大学の講座から単位互換できるシステムを作り上げている。大学にとっては相互補完でき、学生にとっても学習の選択肢が広がる制度。(ケロッグ)

Q イリノイ大学では留学生をどのように大学の国際化に取り込んでいるか。(会場)
A 留学生は非常に重要な存在で、特に大学院では留学生のいない専攻はないと言える。イリノイ大学では韓国、中国、インドの順に多く、大学のアジアとの関係性の強さが表れている。(ケロッグ)

Q 他国の大学と交流を促進しようと努め、交流協定を締結しても、その後相手校の都合や国家間の政治的問題などで継続できないことがあるのではないか。(会場)
A 97年の通貨危機に端を発するアジア経済危機の時にまさにその問題が起こった。経済危機に見舞われた国で奨学金や研究資金を確保していた留学生や研究者が困難な状況に追い込まれた。
このとき、イリノイ大学では「Scholars at Risk」というプログラムを米国内の財団から支援を受けて立ち上げた。これは政治的・人権的に危機にある研究者をみつけ1年間支援するもので、たとえば支援したバングラディッシュの法学者は1年後にカリフォルニア大学の教授となり、これは成功例であった。
1年間の支援ののちに、支援対象者がプログラムから自立するために常勤のポストをみつける段階が1つの難所ではあるが、概ね成功していると言える。(ケロッグ)

Q ファカルティ・ディベロップメント(Faculty Development, FD。教授団資質の開発)についてどうお考えか。教員が国際化の意義を大きく認めていないと大学全体の国際化が難航してしまう。また、これは職員についても言えることである。(会場)
A
会場の様子の写真
会場の様子
かつて、テニュア・ガイドライン(教員に終身雇用条件を付与するためのガイドライン)に国際的側面を取り入れるという作業をしたことがある。
国際化が大学にとって重要で戦略上大きなメリットを持つと判断された以上、内部人材である教員の評価システム(米国の場合はテニュアがその最たるもの)に、国際化の要素を組み込むことが不可欠だろう。こうすることで、これまで教員個人の研究関心や時にはボランティア精神に基づいて行なわれていた国際的業務を大学組織として認識し活用することができる。(ケロッグ)

おわりに

会の最後に、ケロッグ氏から1つの逸話が紹介されました。イリノイ大学のノーベル経済学賞受賞者に、なぜノーベル賞受賞までこぎつけられたのかと尋ねたところ次のような返事があったと言います。
「学部での専攻は実は経済ではなく哲学であった。批判的かつ創造的に考える習慣を得たことが、大学院以降の経済学の研究活動に役立った」と。
狭い専攻の枠組を超越した思考を持つことが、実は非常に専門的な研究に対し、大きな成果をもたらし得るのです。
これは研究者に限ったことではなく、大学・研究所・財団などのスタッフについても同様に「枠外で」考える視点を忘れずにいてほしいというメッセージで、これには会場からも共感の拍手が起こりました。

以上

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