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日系アメリカ人リーダー訪日招へい(JALD)プログラム同窓会会議

寄稿:全米日系人博物館副館長 海部優子氏海部優子氏の写真


2007年8月、全米から40名の日系人リーダーたちがホノルルに集合した。彼らは、2000年以降、外務省と国際交流基金日米センターが共催で実施しているグループ招へい事業「日系アメリカ人リーダー訪日招へいプログラム」で日本に招待された経験を持つ日系人たちだ。ハワイ在住者たちの発案により、国際交流基金日米センターの助成を得て、彼らの「同窓会会議」が初めて行なわれることになったのだ。観光や社交パーティをするためではない。ホテルの会議室にこもり、1日半にわたって、日米関係の推進や日系人と日本との交流やアメリカの日系コミュニティの将来等について話し合うためだ。参加した日系人は40名。このほか、日本の外務省、日米センター関係者や、研究者、全米日系人博物館関係者なども含め総勢55名が出席し、日系人と日本とがお互いに理解しあい、両国の関係をより豊かなものにしていくためにはどうするべきか、自分たちが今後一つのグループとして活動を進めていくためには何が必要かといったことについて、具体的なアイデアを出し合った。ダニエル・イノウエ米国上院議員や河野太郎衆議院議員が会議に出席したほか、リングル・ハワイ州知事、アリヨシ元知事、ハネマン・ホノルル市長なども関連行事に顔を出し、一行にエールを送った。1日半の協議の結果、同窓会組織の発足やインターネットを活用した相互のコミュニケーションの促進、米国在留邦人への支援の強化、若い世代の日系人の対日理解促進などについて、今後具体的に検討していくことが提言された。会議場となったホテルの外では燦々と明るい太陽が降り注ぎ、ワイキキのビーチに出かける人々の賑やかな声が聞こえる中で、わき目も振らぬ熱心さで議論に没頭する彼らの姿には、外務省関係者も感嘆のため息を漏らすほどだった。

協議の様子の写真
協議の様子

日系人と日本との長く複雑な歴史を知る人は、このような日系人リーダーたちの真摯な姿勢を見て感慨深く思うかもしれない。戦前に米国に移民した日本人を祖父母に持つ日系人の中には、どちらかと言えば日本に距離を置いてきた人が多いからだ。明治初期から大正末期にかけて、何万人、何十万人という日本人が、生活のため、あるいは夢を実現させるために、ハワイや米国本土に渡った。日系一世として苦労を重ね、やがて米国生まれの二世が誕生したが、アメリカ社会での基盤を徐々に固めつつあった矢先に第二次世界大戦が勃発、約12万人の日系人が、「敵性外国人」として、全米10数カ所の収容所に収容された。収容された日系人の7割は米国籍を持つ二世だったといわれる。彼らは米国で生まれ育った米国人であったのに、祖先の母国が日本であったいう理由だけで、差別と隔離の対象になったのである。こうした戦時中の日系人の厳しい体験が、日本との間に埋めがたい溝を残すことになった。その溝は、戦後60年余を経た現在も、完全に埋まっているとは言えない。戦後生まれた日系三世は、アメリカ人として米国社会に深く根をおろし、数多くが米国各分野の第一線で活躍している。しかし、彼らの中には、日本語を解さず日本を訪れたことのない人も多い。同じ祖先を持つ日本人と日系人が、互いの理解を欠いたままの状態が続くのは残念なことである。

そうした問題意識によって開始されたのが、この「日系アメリカ人リーダー訪日招へいプログラム」だった。このプログラムで日本に招待された日系人は、これまで84名にのぼっている。この訪日プログラムへの参加をきっかけとして、祖先の母国である日本に愛着を抱き、日系人として日米関係の推進のために何か貢献したいという熱い思いを抱く人々も多い。彼らのそうした思いが一つの形として実ったのが、この2007年8月の同窓会会議だったのだ。

この同窓会会議の最大の意義は何だろうか。それは、訪日プログラムへの参加経験者たちが、日本と日系人、日本と米国との間をつなぐ「懸け橋」になりたいと心から感じてくれているということだ。忙しい毎日のなかで、誰しも、世のため人のために時間を割くことは難しい。しかし彼らは、誰かに頼まれたからではなく、また名誉や報酬のためでもなく、自ら手を挙げてこの同窓会会議を企画し、スケジュールを調整して私費で参加し、今後も協力しあって活動を続けていこうとしている。そして、そのような志を共有する日系人の同胞にめぐり合えたことを心から喜んでいるようにも見える。これまでの日系人と日本との歴史に思いを馳せると、三世、四世の日系人たちが、今、祖先の祖国日本と自分たちの祖国アメリカとの間で、何か役に立ちたいと考えているということは、それ自体、深い意味を持っている。日本が米国との人的交流を重視するならば、彼ら日系人は、日本人が大切に友情を育んでいくべき相手ではないかと感じられる。

日系アメリカ人リーダー訪日招へい(JALD)プログラム同窓会会議の集合写真
集合写真

海部優子(かいふ・ゆうこ)氏略歴
奈良女子大学文学部社会学科卒業。カナダ・クイーンズ大学社会学部修士号取得。同大学講義助手。外務省入省後、在カナダ日本大使館勤務を経て、外務省北米局北米第一課、総合外交政策局企画課課長補佐、文化交流部政策課課長補佐など。1989年より同省通訳担当官として政府要人の通訳を務める。2001年9月在ロサンゼルス日本総領事館領事。2007年外務省退職。同年7月より全米日系人博物館副館長。共訳書にG.ウォルフォード著『パブリックスクールの社会学』、タキエ・スギヤマ・リブラ著『近代日本の上流階級(華族のエスノグラフィー)』


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