本文へ 日米センター(CGP)は日本とアメリカにて、助成、フェローシップ、ボランティア、人物交流、情報発信を行なっています。
国際交流基金 日米センター
CGP NY | 国際交流基金 | English | サイトマップ
トップページ
日米センターとは
公開イベント
団体で助成金をお探しの方へ
個人向け支援・ボランティアの機会をお探しの方へ
安倍フェローシップ
日米パートナーシップ・プログラム
Japan Outreach Initiative
NPO フェローシップ
CGPの人物交流事業
情報室(刊行物、寄稿など)
アクセス
お問合せ
FAQ
更新履歴
日米センター公募助成プログラム
CULCON(カルコン) 日米文化教育交流会
メール配信サービス
コラムス
個人向け支援・ボランティアの機会をお探しの方へ

日米センターNPOフェローシップ 月次報告(2005年1月)
フェロー:川上 豊幸

報告書リスト

「資金調達パーティー」「世界社会フォーラム」など
(川上 豊幸氏より)

日米センターNPOフェローシップは、日本のNPOの中堅スタッフに、米国NPOでの実務研修の機会を提供するものです。現在研修中のフェローからの、生の報告(2005年1月分)を以下に掲載します。

フェロー:川上 豊幸(特定非営利活動法人AMネット)
研修テーマ:成果を導く効果的なプロジェクト・マネジメントと資金管理
研修先:International Forum on Globalization (San Francisco, California)
研修期間:2004年10月9日〜2005年10月8日

資金調達パーティー

米国のNPO界では、団体の活動資金調達を兼ねたパーティーがしばしば開かれる。年末から年始にかけて、そうしたパーティーをいくつか視察した。私の研修のスーパーバイザーである Victor Menotti 氏 が理事を務める青年グループの資金調達パーティーや、農業問題に関するドキュメンタリー映画の試写会兼資金調達パーティーにも参加した。これらを通して学んだのは、アメリカでは寄付金を募る手法として、「サイレント・オークション」という手法が多用されており、また、パーティーのレセプションにおいて、参加者を楽しませかつ寄付金を得る方法として宝くじ(ロッタリー lottery)をうまく利用するなどの工夫もされていることである。

サイレント・オークションとは、通常のオークションのように声を出してその場で競り落とすではなく、無言で紙に価格を書き込むオークションである。企業や団体から寄付として集めた物品・サービスをレセプション会場に展示し、これを購入したい人が紙に価格と氏名を記入する。正規価格は目安として記入してあり、最初は安い値段から始まり、次々に他の人が価格を上げていく。同じ人が何度書き込んでも構わないので、どうしても購入したい場合は何度も記入することになる。正規価格を上回ることもあるが、いずれにせよ全額団体への寄付となるので、購入するというより、寄付して物かサービスを受け取るという考えであろう。出品されていたのは、ポスターや本、ビデオの他、オーガニック食品、天然素材の服やバスローブ、レストランの食事券、マッサージ券など様々で、提供企業のコメントなども書かれているので、企業にとっては宣伝も兼ねるものとなっているようだ。

また、ロッタリーでは、いろいろな展示やブースを幅広く訪れてもらうために、一定数の展示を回ることで賞品が当たるロッタリーに参加できたり、あるいは、賞品としての物品を寄付として提供してもらっておいて、その賞品についての「くじ」を購入してもらうことで寄付を得るというものもあった。こうした工夫は、参加者に楽しんでもらうとともに寄付を募ろうというもので、日本でも試してみたら面白いだろう。


世界社会フォーラム

さて、今月は、1月26日〜1月31日にポルト・アレグレ(ブラジル)で開催された第5回世界社会フォーラム(World Social Forum)という会議に、サイトヴィジットとして参加した。このフォーラムは、1月下旬に通常スイスのダボスで開催されている世界経済フォーラム(ダボス会議)に対抗して組織された会議で、ダボスには有力政治家や著名人が集まるのに対して、こちらはNPO/NGOを中心とした市民社会の会合と性格付けられている。今回は112カ国から、登録NGOが約2,000(参加団体総数4,000)、参加者は15万人(登録者数12万人)という巨大な会議となった。会議には、グローバリゼーション問題に取り組んでいる数多くの団体が世界各地から集結し、これまでの経験、成果を共有するとともに、ネットワークを広げ、議論を行い、より高い成果=目標を見定めて、その成果を達成するために連携して活動していくための基盤作りとその検討を行なっていた。また、多くの財団も参加して、助成団体の成果を披露する場、また、助成団体自身の方向性を確認する場ともなってきているようだ。

実質5日間にわたる会場での議論では、多くの南米各国の状況とともに、フィリピン、香港、韓国、タイ、インドネシアなどのアジア各国の活動家からも話を聞くことができた。特に、私が参加したネットワークでは、米国での研修先団体IFGの方向性作りへの取り組み方を学ぶと共に、日本での所属団体AMネットの方向性作りにおいても非常に有益な情報を得た会議となった。

これら世界社会フォーラムでの一連の会議への参加を通じて改めて気づいたのは、活動目標の設定、実現すべき成果の特定とプロジェクト開発の手法におけるネットワークの重要性である。スーパーバイザーは、さまざまなセミナーに出席する中で、個々に動いているネットワークを結び付け、新たな動き、新たな力を生み出し得る可能性を探ることを行なっていた。現地・現場の声をつなげて力としていくために、こうした会議の場においても情報収集を行なうとともに、他団体の活動家との議論の中から有効なプロジェクトを作り出して行こうと動いていた。このような場こそ、自分たちの活動が現場の人々にどのように影響を与え得るのか、どのような活動が今現在求められ、有効なのかを検討し、カウンターパートを見つけたり、発想を深める重要な場となっていることを再認識させられることになった。より具体的な顔が見える関係の中で、生の声を聞きながら成果の方向性やプロジェクトのあり方を検討することが可能となるわけだ。私も、日本の団体としてどのような形で協働していくことができるのかを考えることができた。

IFGやAMネットなどの小規模のシンク・タンク系、アドボカシー(政策提言・世論喚起)系のNGOにとって、情報収集、情報発信は活動の柱である。そして、プロジェクト開発及びプロジェクト実施プロセスにおいて、こうしたNGO会議や国際会議でのネットワーク作りは非常に重要な意味を持ってくる。特に、小さな団体では、自らの支部を各地に持ち情報を常に収集し、その上で議論を重ねて戦略を立てて実施していくということは財政負担も大きく、困難である。よって、必要に応じて機動的に、ネットワークを通じて現場の声を拾い、政策提言に生かし、また意見交換をする中で、共通の目標とともに、どのような役割分担を双方が行い得るのかを見つけて行くことが、目標達成と成果の実現にとって有効な戦略となってくるのかもしれない。


輸出拡大が生計圧迫へ:フィリピンの漁業セクターの事例から

IFGや、AMネットなどのNGOは、経済のグローバリゼーションの問題について取り組んでいる団体なので、こうした活動を実施していく上では、プロジェクト開発や達成すべき成果の実現においてもグローバリゼーション問題の内容そのものについても広く学んでおく必要がある。今回の世界社会フォーラムへの参加を通じて、こうした観点で、新たに学んだ点や気づいた点としては、これまで輸入国内での小規模生産者への影響と、輸出国での環境問題は広く指摘されていたが、特に、輸出国内における小規模生産者への影響についての話を聞くことができたことだろう。これはフィリピンでの漁業セクターの話で、フィリピンの漁業は、商業漁業、養殖、自給型小規模漁業の3つで構成されているが、現在、日本とフィリピンで進められている経済連携協定(EPA)による関税撤廃の議論や世界貿易機関(WTO)による関税削減によって、フィリピンの漁業セクターからの輸出が増大するとしても、これらによって恩恵を受けるのは、環境的に大きな悪影響を及ぼすトロール漁による商業漁業、養殖セクターであって、漁業資源利用において競合する小規模な自給型漁業は、逆により厳しい状況に追いこまれるという話だった。こうした構造は、漁業セクターだけではなく、他のセクターでも同様の状況が発生しているわけで、貧困とグローバリゼーションの議論において、途上国の輸出を増加させることが無批判に是とされるべきでないことが再確認でき、重要な視点に気づくことができた。

また、多くの途上国が、累積債務問題に悩む中で外貨獲得のための輸出振興策を取らざるを得なくなっており、債務問題が途上国のグローバリゼーションを後押ししてしまっている構造があることから、債務問題の解消がグローバリゼーション問題の緩和に役立つという意味で、これらの運動が協働し得る可能性についても気づくことができた。

もう一点は、人の移動問題について活動している送り出し国側のNGOの多くが、現在の自由化のあり方に疑問を投げかけており、送り出し国からの人材流出の問題ととらえて活動を行なっていることを知ることができた点も、プロジェクト開発のあり方、成果のあり方を考える上で貴重な認識を得ることになった。そして、こうした視点をもって活動している団体のスタッフに直接出会い、これらの団体やコンタクト先を得たことで、今後は電子メールでのやり取りを通じた連絡も可能となるなど、有意義な会議となった。

さて、この会議には、多くの助成団体や財団も参加しており、レセプションやパーティーなども開かれていたので、これらにも参加した。ただ、陽気な音楽の鳴り響くパーティー会場には非常に多くの人がひしめいており、コンタクトを得るのは困難な状況であった。しかし、特にグローバリゼーション問題に取り組む財団のネットワーク組織に所属するサン・フランシスコ在住の方に会うことができた。また、サン・フランシスコで活動を行なっている活動団体や活動家にも出会うことができたので、今後の近郊の訪問先としてのコネクション作りをするいい機会ともなった。

以上

 

※本報告内容は、執筆者の見解によるもので、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の公式見解とは必ずしも一致するものではありません。

Top

TOKYO OFFICE
国際交流基金(ジャパンファウンデーション) 日米センター
160-0004 東京都新宿区四谷4-16-3
Tel (03)5369-6072 Fax (03)5369-6042
NEWYORK OFFICE
The Japan Foundation Center for Global Partnership, N.Y.
1700 Broadway, 15F, New York, NY 10019, U.S.A
Tel (212)489-1255 Fax (212)489-1344