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日米センターNPOフェローシップ 月次報告(2005年5月)
フェロー:谷 裕子

報告書リスト

谷 裕子
日米センターNPOフェローシップ(第5期)
月次研修報告書(2005年5月分)

フェロー:谷 裕子(Rape Crisis Survivors Net Kansai 事務局長)
研修テーマ:コミュニティで作る支援−性暴力被害者サポート
研修先:Bay Area Women Against Rape (BAWAR) (Oakland, California)
研修期間:2005年3月29日〜2006年3月15日


Sexual Assault Awareness Monthも終わり、嵐の後の静けさ。5月はこれといった行事もなく、研修団体先BAWARのスタッフも通常の仕事に戻った。
私自身は、6月のボランティアトレーニング前半を受講する前にと、
サバイバーハンドブックの翻訳にとりかかりはじめた。まずは9月にトレーニングを終了し、その後、在住日本人へのアプローチをはじめたいと思う。

州立刑務所での加害者プログラム

今月は、州立刑務所に二度、同行した。
BAWARが行なう加害者プログラムを見せてもらうためだ。
BAWARでは、この加害者プログラムを1988年から行なっている。
性暴力に限らず、他者へのあらゆる暴力は人権侵害である。被害者のケアと同時に加害者への適切な介入が必要であると、BAWARは主張する。
加害者プログラムは毎月二回。男性受刑者向けの2つの異なるグループセッションである。
1つは重刑者、もう1つは刑期の短い受刑者のグループ。
このプログラムに参加することで、刑が軽くなるわけではない。
今月はどちらも10人程度の参加で、面会室のような部屋の片隅にイスを丸く並べてグループディスカッションを行なった。

BAWARのスタッフが、とあるデートレイプの加害者の手記(3ページ程度)を声を出して読む。途中で止めて、「自分の加害と共通するところはありますか?」と質問する。
こうして、「他者を傷つける」ことについて認識する。もし、彼らが、被害者に与える影響を考えることができていれば、加害を思いとどめたかもしれない。デートレイプ、ドメスティックバイオレンスについてアメリカで啓発活動が始まった頃、「飲み物や食事をおごったからといって、彼女が今夜セックスを求めているわけではない」というメッセージが、
メディアや各地のレイプクライシスセンターによって伝えられた。上記の手記を投稿した男性はそれを受け止め、自分の過去の加害に気付き、ペンを取ったのだろう。受刑者たちは口々に意見を述べる。
「相手の気持ちを無視するなんて、俺にはできないね」「彼は間違っている」と明らかに腹を立てる人も居た。
彼らは性犯罪者ではなく、ほとんどが殺人や窃盗の罪で、ここに居る。他人の罪や加害の動機について、あくまでも「常識的に」分析する。他人のことは見えやすい。ファシリテーターのマーシャが言う。
「では、自分が他人に与えた加害について、この男性と共通する部分はある?」と、もう一度聞く。一人の男性が「もし、相手にも人生があり、家庭があるって考えられていたら、ここには居なかったと思う。」と言った。
他の受刑者たちは少し考えこんだ。静かな時間が流れた。

2つ目のグループセッションの時は、参加者の意見が多く出て、とても活気のあるディスカッションの場となった。「どうして、この女性はこの男に付いて行ったんだろう。理解できない」という男性の意見を聞いて、私も一言いわせてもらった。「相手は最初、ナイスガイだったのだから、話をしてみて、楽しかったからでしょう。仲良くなれるかもしれないし。いい人だと思ったら、相手に嫌な思いをさせたくないって、思わない?」
後でマーシャが「ゆうこが発言してくれて嬉しい」と話してくれた。

こうして小さな気付きの積み重ねが、他人のことを考える=自分の加害性について考えるきっかけになるのだろう。とても時間がかかることだと思う。
多くの人は「自分は運悪く捕まってしまった。自分は不幸だ」と世間への怒りを抱えて刑期を過ごすのだと思う。加害者は過去に被害者であったことが多い。「なぜ、自分だけが・・・」と被害者意識で怒りをつのらせる。これは何も違法な罪を犯した人間だけではない。私自身も含め、被害者意識を植え付けられ、他人の幸せをねたみ成長する人は決して少なくはない。

残りのフェロー期間中、また彼らと何度かセッションに同行させてもらう。とても楽しみだ。

 

※本報告内容は、執筆者の見解によるもので、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の公式見解とは必ずしも一致するものではありません。

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