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日米センターNPOフェローシップ 月次報告(2005年7月)
フェロー:川上 豊幸

報告書リスト

川上 豊幸
日米センターNPOフェローシップ(第5期)
月次研修報告書(2005年7月分)

フェロー:川上 豊幸(特定非営利活動法人AMネット理事)
研修テーマ:成果を導く効果的なプロジェクト・マネジメントと資金管理
研修先:International Forum on Globalization (IFG) (San Francisco, California)
研修期間:2004年10月9日〜2005年10月8日


NPOと政治的活動

6月27日に、Public Media CenterというNPOを訪ねた。この団体は、NPO団体だが、特に、映像やら広告などを専門に扱う団体で、30年近い歴史を持つという。というのも、ホームページに記されているように、元々は、ベトナム戦争早期終結、原子力発電拡大阻止、貧困層支援といった運動のためのメディア専門家らのボランティア活動から始まったという。

そうしたプロフェッショナル集団として、NPOの広報コンサルタント業務を行なうが、団体自身がNPOであって、企業ではないが、業界のことはあまり詳しくない私には、業務内容は、ほとんど、広告会社と変らないように感じた。しかし、そこはNPOで、小規模団体には、廉価で協力し、予算規模の大きな団体からは一般の広告代理店並の価格を設定するとのことだった。彼らは、選挙になれば、政治団体のための広告製作も請け負ってCMなどを作成支援などもするということだった。

そこでの話で面白かったのは、こちらで通常NPOとして分類される501(c)(3)登録の団体は、政治的活動への関与について明確なルールが決められていることだった。501(c)(3)の団体では、特に選挙に際してなどの場合、全収入の20%までしか、特定の政策提言活動、アドボカシー活動、ロビー活動に支出することができないこととなっているという。
ただ、これらの解釈が微妙なものなので、もう少し調査研究する必要があるが、とにかく、そうした規制が存在するということだ。もちろん、選挙参加を求めたり、政策内容に関する情報提供ということであれば、そうした制約はないとのことだったが・・。これは、税控除適用団体としての制約といったもので、税控除を認められていない政治活動を行ない得る527団体等については、そうした制約は適用されないそうだ。

特定の政治組織支援のための寄付は、税金を支払った上で行なうことが求められているわけだ。一方、公益を追求するとされるNPOには、一般的な寄付控除が与えられる代わりに、ロビー活動への支出制限が課せられているということになっている。

特に選挙と501(c)(3)団体の活動との関係については、Independent Sectorのサイトに詳しく掲載されている。

●財団間のネットワーク

さて、こちらに来てから、面白いなあと思っていることがある。それは、財団の間を取り持つネットワーク組織という存在についてだ。これは、日本では、あまり見かけない存在のように思える。そして単なる財団の互助組織というようなものではなく、こうしたネットワーク組織は、特定の分野毎に様々な形で存在しているようだ。その中でも大きな組織として、Environmental Grantmakers Association(EGA)という組織がある。また、先住民の課題に取り組むInternational Funders for Indigenous Peoplesとか、あるいは、EGAを基盤としながら、そこから出てきた組織として、Funders Network on Trade and Globalizationというような団体も存在する。彼らは、定期的に会合を持ち、当該分野における今現在取り組むべき課題は何かということについて、真剣に検討し、財団として社会にインパクトを与えるには、何をすべきかを検討している。

助成団体ネットワークが行なっている定期イベントに参加したことのあるスタッフに、こうした財団のネットワーク組織のことについて聞いてみたところ、EGAが最も大きな団体ではないかということで、EGAの中は様々なトピックにも分かれているという。そして、新しく生じてきた問題(emerging issue)について、様々な助成団体を教育したり、財団間で情報交換を行なって、共同助成を行ったりしている。
また、年に2度行なわれるイベントでは、EGANGOが招かれて、活動している問題についてプレゼンをする機会が与えられるという。情勢変化と必要に応じて、様々な問題に関するサブグループのようなものが生み出され、最近では、今グローバリゼーション問題における焦眉の課題(hot issue)である水の私有化・民営化問題についてのチームが作られたそうだ。たぶん、IFGが関わっているような分野だけでなく、様々な問題について、それぞれ助成団体間をつなぐような連携組織として、このようなネットワーク組織が存在しているのだろう。

財団活動において、問題を察知していくプログラム・オフィサーの存在は重要だが、こうした助成団体ネットワークは、プログラム・オフィサー同士が学ぶ場、あるいは、彼らが理事会のメンバーを教育していく場、すばらしい活動をするNGONPOを紹介して、共同助成を行なうための素地を作る場として、活発に機能しているように見える。もちろん、そうした動きにも賛否があり、これらのネットワーク組織の方向性に沿うNPONGOはこれらから大きな恩恵を受ける一方で、そうでないような団体にとっては、むしろ弊害というような受け止め方もあるようだ。
とはいえ、日本ではこうした機能を担っている組織すら見当たらない。財団自らがそれぞれの意思を持ち、独自の活動を展開しつつも、こうした横の組織を利用しつつ、全体として社会へのインパクトを高めるように自己研磨、連携の場を持っているということは、NPOコミュニティの強化にとって重要なものであるような印象を受けた。彼らは、定期的に会合を開催するなどして、様々な助成団体の状況やNPOの活動状況、情勢、トレンドなどについての情報交換などを行ない、こうした活動を通じて、より良い、より効果的な助成を行なえるように、互いを側面支援をしているように見える。直接、詳しい話を聞いたことはないので、一度、聞いてみたいと思った。

このように、米国NPO界には、NPO活動を専門的に支援する組織や団体、それらは財団を含めてだが、それらが全体となってNPO活動を活性化しつつ、NPOコミュニティを形成していることがわかる。つまり、ひとつの団体がすべての機能を保有する必要があるわけでなく、それぞれの特性を生かしながら、内部的に確保できない機能などについては、外部の専門NPOからの協力を受けながら、機能していくというスタイルが可能なくらいに、NPOコミュニティの規模があるということだ。これはサンフランシスコという土地に特有の現象なのかもしれないが、非常に興味深いと思う。

●川下りでファンドレージング

また、7月には、Bay Area Wilderness Trainingのファンドレージングイベントに参加してみた。この団体は、アドボカシーNGOではなく環境系の野外活動教育を進める団体だが、IFGで働いていたスタッフが移った先の団体で、ファンドレージングのイベントだということで参加してみた。団体では、子供を野外活動に親しませるためのリーダー養成のような活動を行なっており、たとえば、教師などが、ここで野外活動について学ぶことができ、キャンプ用品などを無料で借りることもできるという。

ラフティングというのは、要するにボートでの川下りだが、こちらでは商業的に行なう場合には登録料のようなものがかかり、非常に高くなるそうだ。また、ボートを操る船頭の人件費なども必要だ。しかし、今回のイベントでは、商業的な料金を支払うのではなく、あくまでも個々人が参加して楽しみ、渡したお金は寄付として扱う。また、これらの船頭となるリーダーは、訓練を受けたプロフェッショナルな人だけれども、人件費を支払ってはおらず、ボランティアとして参加してファンドレージングに貢献しているということだった。しかし、参加者に対しては、他の商業的なイベントで書かされるような誓約書などのリスク管理なども行なわれていた。こうしたイベントは、活動資金獲得のために1年に1度、2日間行なわれている。私は、後半の1日だけ参加したが、2日参加する参加者もおり、彼らは、キャンプ場で泊まっていた。

こうした楽しい行事を組み込んで行くことで、人間的なつながりもできるとともに、資金確保も可能になるというのは、面白いことを考えるものだと感心した。

 

 

※本報告内容は、執筆者の見解によるもので、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の公式見解とは必ずしも一致するものではありません。

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