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日米センターNPOフェローシップ 月次報告(2005年7月)
フェロー:井上 英之

報告書リスト

井上 英之
日米センターNPOフェローシップ(第5期)
月次研修報告書(2005年7月分)

フェロー: 井上英之(特定非営利活動法人ETIC.プロデューサー)
研修テーマ: ベンチャーフィランソロピー(社会起業向け投資)の経営とパフォーマンスマネジメント
研修先: Social Venture Partners International (Seattle, Washington)
研修期間: 2005年3月12日〜2005年9月11日


7月は、6月の盗難後のさまざまな手続きや、仕事の資料の回復などもだいぶ落ち着き、これまでの作業の継続をしながら、新しいことにいくつか着手した。全体的に、7月は休暇をとるスタッフが多く、オフィス全体がゆっくりとしたムードで進んでいた。

この間、トムとは、SVPIの評価プロジェクトに関する大まかな方向性の設計を始めていた。夏のインターンの参加と同時に、インターンの学生と役割分担をして本格化させる運びだったが、結局、7月末の時点で、SVPIの方向性がボードレベルで定まりきっていないため、いったん進行を止めることにした。

一方で、SVPシアトルの6月のパートナーミーティングで出会った、グレン・チンというパートナーの誘いで、SVPIシアトルの今年から始まる新しい投資先とのプロジェクト立ち上げチームに参加することとなった。

さらに、7月の後半には、1週間ほどかけて、ワシントンDCとペンシルベニア州ハリスバーグ、ニューヨークにサイトビジットした。

下記は、SVPシアトルでの活動と、サイトビジットの簡単な報告である。

1.SVPシアトルの支援チーム

上記したとおり、本年度から新たにSVPシアトルの投資先となった、「ハイライン学校区」が新設する新しいタイプの高校をサポートするプロジェクトに関わることとなった。

そもそも、学校区(school district)も支援対象になること自体が驚きで、日本の学校制度に慣れていると、こういう民間の支援団体のお金を、学校区が受け取って新たに学校運営をする、というのも不思議な気分ではある。初年度は、4万ドルの支援となっている。

誘ってくれた、グレン・チンはリタイア前くらいの中国系アメリカ人で、不動産関係のビジネスをしてきた人物である。今回は、彼が「リードパートナー」となって、ジェフ・ぺティという校長先生がペアとなって、さらにそこにSVPのスタッフが、プロジェクト進行のガイド役となって関わっていく。

このプロジェクトは、Big Picture Companyという、新しい教育メソッドを全米で展開している非営利団体が深く関係している。これは、少人数の高校を設立し、生徒たちに、自らカリキュラムを作成してもらい、同時に地域でのインターンを組み合わせながら、自ら自律的に自分の人生を考え、好奇心をもって積極的に人生をつくっていく、そういう若者を育てるのが特色となっている。

この新しい高校は、その Big Picture の方法論を取り入れた、ワシントン州初めての Big Picture School だ。ハイラインという、貧困層も多く同時に、民族の多様性の高い地域において、こうした新しい試みをすることを評価して、SVPは投資を決めている。

私が関わったのは、投資決定後の、今後の投資プランを作成する、一番最初の立ち上がりのフェーズである。月に1〜2度のミーティングとメールでのやりとりをしながら、互いに知り合い、学校区側の現状の経営能力を一緒にチェックし、今後必要なキャパシティ・ビルディング(経営能力の向上)のプライオリティをつけていく(たとえば、財務管理能力は確かに必要だが、喫緊の課題は教師の能力開発である、など)。

短期間で、互いのことを率直に話し、これまで多くのプロジェクトの知見をもつSVPスタッフを上手に使いながら、本業をもつ、SVPのパートナー2人とぺティ校長のチームワークで、丁寧に投資プランができていく。私の滞在中はプラニングだけで終わってしまったが、ディスカッションに参加し、そのままシアトルにいれば、プログラムの評価の部分を担当する流れであった。

メールでのやりとり、あいまいな問題を具体化し、プロジェクトにもっていく能力など、参加しているパートナーのビジネス能力と、同時に、彼らの詳しくない、学校や教育のことを熱心に聴き、ともにプロジェクトをつくっていく姿からは非常に学びがあった。時に、スピード感の違いや、校長先生の経営感覚に関する違和感が当初あったが、それも互いに学びながら、よりよい関係になっていく感覚があった。

2.ワシントンDC&ハリスバーグ

きっかけは、4月の全米の社会起業家コンファレンスだった。

ここで出会った、(1)先述の「アショカ」という世界の社会起業家を支援している財団と、アショカのアジア(とくに日本)進出についてのディスカッションを滞在中にするため、同時に、(2)「Urban Institute」というワシントンDCのシンクタンクの研究者と、「世界各地のソーシャルエンタープライズ」という論文集を共同執筆する話となり、その打ち合わせもかねて、SVPIのスタッフもバケーションでいない人の多い7月に訪問することにした(ブログにも、いくつか紹介しています)。

その足で、いくつかの著名なソーシャルエンタープライズにも訪問、インタビューを行なった。

ワシントンDCからは、バスでペンシルベニア州ハリスバーグにも訪問、旧知の研究者にインタビューをした。

この間、訪問した団体や人物は下記である。

(1) 入山章栄氏(ピッツバーグ大学ビジネススクール博士課程)
入山氏は旧知の研究者で、専門は経営戦略と組織論。ワシントンとピッツバーグの間にあるハリスバーグでインタビュー。ビジネススクールのフロンティアでの組織論やネットワーク論が、いかに、今、私が携わっている社会起業の背景となる人々の動きとリンクしているのか伺った。また、東京の ETIC. での活動が、現在流行のソーシャルキャピタル論や新しい起業支援の話と一致するのか。特に、現在の経営学のフロンティアは先端の社会学者と経済学者が協働して、新しい世界を切り拓いている。非常に刺激的で、なおかつ、今後のヒントを数多く頂いた。秋以降、慶応大学で教鞭をとる際の参考にもなった。

(2) Ashoka
アショカも訪問。アジア担当者と長時間懇談。今後の日本での彼らの活動に協力すること、また具体的な動きに関してディスカッションした。
さらに、8月末に東京にアショカを招き開催するフォーラムの打ち合わせや、彼らの希望するサイトビジットなどのアレンジメントの打ち合わせなどを行なった。非常に良好な関係が築けた。

(3) Good Will Industry Inc
世界中に展開するソーシャルエンタープライズである、Good Will Industry の本部の国際関係ディレクターと面談。全米では良く知られる、Goodwill Store という、地域の中古の衣服や家具、本などさまざまなものを寄付で集め、きれいな店舗で販売、一方で障害者や通常では雇用されない人たちをトレーニングして雇用する仕組みを伺った。
実際の店舗とその裏側も案内していただき、店舗経営者とも話が出来た。
最近まで日本での展開を希望していたが、日本でのパートナーがうまく見つからなかったが、今後とも連絡と取り合うことに。

(4) Polaris Project
アショカの支援する若き社会起業家、デレック・エラーマンの運営するNPO。非常に印象的だった。日本は先進国でも最大の風俗産業を持ち、そこで human trafficking (人身売買と翻訳される)と呼ばれる、本人の意思を無視した、もしくは詐欺まがいの契約で半強制的な売春がおこなわれ、それがマフィアの収入源ともなっている。米国でこの問題に対して正面から立ち上がったデレックの話をきき、同時に、日本の ETIC. を始め、社会的な課題に強い関心をもつ若者が増えている話など、情報交換をした。また、ポラリスは東京にもオフィスがあり、そこの担当の方を紹介していただいた。

(5) DC Central Kitchen
ここもアショカの紹介でインタビューできた。まさか会えると思っていなかった、著名なソーシャル・アントレプレナー、Robert Egger に会えたのは、この旅で最大の収穫である。本当に魅力的な人だった。
彼は、もともとダンスクラブの経営者だったが、DCのホームレスの問題に出会い、「それなら俺がやるよ」とDCセントラルキッチンを始めた。
レストランなど、フードビジネスが毎日大量に余らせ廃棄している食料を集め、訓練を受けた元ホームレスたちがコックとなって、それを調理、見事な料理として、学校のプログラムやワシントン中から選ばれたNPOのプログラムに対して、「世の中を変えていく力」として料理を配給する。
クリントン夫妻もキッチンには訪れ、ブッシュ大統領も表彰している、この著名なNPOは、現在、アメリカのNPO関連本では最も売れているという「Begging for Change」という彼の本からもうかがえるように、とにかく明るく、楽しそうだ。
また、彼との話でもっとも盛り上がったのは、「NPOが事業を始めるのが流行になっているけれど、それ自体は意味がない。大切なのは、その向こうにどんな変化を目指すのかだ」という話をした部分だ。一歩先を見据えた、目線の高いリーダーに出会えたことは、本当に今回の収穫である。

3.ニューヨーク

同時に、ニューヨークにも足を延ばし、国際交流基金NYオフィスのほか、いくつかの組織を訪問した。

(1) NY de Volunteer
代表の日野紀子さんを訪問。NY在住の日本人が地域への入り口として、ボランティアを通じてかかわっていく。同時に、彼ら自身も学び、変化しながら、地域の変革に貢献していく。

(2) ジャパン・ソサエティ
ジャパン・ソサエティの日米イノベーションプロジェクトにおける、社会起業家を通じたイノベーションについてディスカッション。また ETIC. や社会起業家フォーラムとの関わり、今後の展開についてなどお話した。

(3) Housing Works
NYのソーシャルエンタープライズとして知られる、Housing Works の代表、Charles King氏を訪問。ここは、HIV感染をしてかつホームレスであるという人たちを始めとした、NYに住む困難を抱えた人たちへの住居提供から始まり、さまざまな事業を展開していることで知られる。マンハッタンの彼らの経営する素晴らしいアパートや、大人気の Thrift Shop(中古の衣服や家具などを寄付で集め状態のいいものを販売している店、最近ではネットショップも始めている、商品がかなり魅力的)などのサイトビジットをさせてもらった。また、日曜日には彼らのボランティアプログラムにも参加した。

 

※本報告内容は、執筆者の見解によるもので、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の公式見解とは必ずしも一致するものではありません。

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