本文へ 日米センター(CGP)は日本とアメリカにて、助成、フェローシップ、ボランティア、人物交流、情報発信を行なっています。
国際交流基金 日米センター
CGP NY | 国際交流基金 | English | サイトマップ
トップページ
日米センターとは
公開イベント
団体で助成金をお探しの方へ
個人向け支援・ボランティアの機会をお探しの方へ
安倍フェローシップ
日米パートナーシップ・プログラム
Japan Outreach Initiative
NPO フェローシップ
CGPの人物交流事業
情報室(刊行物、寄稿など)
アクセス
お問合せ
FAQ
更新履歴
日米センター公募助成プログラム
CULCON(カルコン) 日米文化教育交流会
メール配信サービス
コラムス
個人向け支援・ボランティアの機会をお探しの方へ

日米センターNPOフェローシップ 月次報告(2005年8月)
フェロー:川上 豊幸

報告書リスト

川上 豊幸
日米センターNPOフェローシップ(第5期)
月次研修報告書(2005年8月分)

フェロー:川上 豊幸(特定非営利活動法人AMネット理事)
研修テーマ:成果を導く効果的なプロジェクト・マネジメントと資金管理
研修先:International Forum on Globalization (IFG) (San Francisco, California)
研修期間:2004年10月9日〜2005年10月8日


NPO支援組織「CompassPoint」の各種セミナー

8月は、CompassPointというNPOマネジメントの支援組織のセミナーが多数行なわれていた。私は、それらの中で、資金調達戦略セミナー(Develop your Fundraising Strategy in a Day)、理事会機能強化セミナー(How Board Members Can Become Successful)、リスクマネジメントに関するセミナー(Risk Management)、アドボカシー活動セミナー(Advocacy for Nonprofits)、事務局長養成セミナー(ED 101)などに参加した。

資金調達戦略セミナーでは、採算性とミッション達成度を評価軸として、CompassPointによって作られた事業のポジショニング($、ハート、☆、Xの4分類)を行なうなどして、事業達成とともに組織維持を行なうための組織資源の配分・事業選択を検討するかといったこと、同時に、それぞれの事業の採算性をいかに高めていくことができるのかを考えた。

他の資金調達計画に関するセミナーにおいては、こうした事業選択の検討とともに、資金源の多様化も強調されており、特に、会費収入、寄付収入、財団からの助成金収入、販売収入などをバランス良く保ち、それぞれの収入源をそれぞれに多様化すること、つまり、財団助成金は複数からの財源に依存することや、会員、寄付者層をできるだけ深く、広くしていくことによって、リスク分散を図ることが推奨されていた。特に、ここでも強調されていたのは、メジャードナー作りを強化すべきという点だった。これは比較的どのような団体にでも適用可能で、今、米国の多くの団体が取り組んでいる手法なのだと感じた。

また、この財源の分散化は、単に収入の安定化を図るというだけに留まらず、特に財団収入の複数化では、収入源の多様化は、特定の団体からのコントロールを防ぎ、組織の独自性を保つという意味でも重要なこととなっているかもしれないと感じた。

組織の財政は、収入とコスト要因で決定されるわけだが、コストと収入を考慮して採算性を検討して、事業を見なおし、組織に財政的大きな負担を強いる一方でミッション達成には貢献度の低い事業を実施しないという判断をすることが指摘されていた。ただ、問題は、個別の事業に対して簡単に採算性・ミッション性を位置付けることが結構難しい場合や、事業がそれぞれに相互に連関しながら効果を生む場合もあることから、こうしたポジショニングには、それなりに慎重な検討を行なっておく必要があると感じた。もちろん、収入に貢献する事業という意味では、単に販売収入というだけでなく、財団助成を適用されているプロジェクトとそうでないプロジェクトという違い、寄付の集まるプロジェクトといったようなことも関連してくることになるというわけだ。

特に興味深かったのは、使命(問題提示)、ニーズ、組織の解決能力や解決法、活動で生み出される成果やインパクト、資金基盤、どのように寄付者が変化を起こせるのか?をストーリー仕立てで、短くコンパクトにまとめた「ケース・ステイトメント」といったツールを使って、どのように各組織の活動・事業内容を一般の人々にアピールすることができるのかといった点を検討していく作業を行ない、自らの事業活動を振り返り、どのような解決方法やアピール方法が効果的なのかといった点を検討するといった作業を行なった点だ。短い言葉で簡潔に活動と組織の要点を紹介するということを行なうことが求められるということだ。多くの場合、寄付者、会員集めといった場面で、こうした準備を行なっておくことによって、効果的にアピールする手法を検討しておくことは重要だと思った。

こうした点は、別途行なわれた理事会機能強化セミナーでも、同様の手法が紹介されていた。というのも、米国の理事会の組織内の大きな役割の一つとして、資金調達への協力活動や寄付集めに協力することがあるために、各理事をいかに寄付集めのために動機づけていくか、寄付集めに対する心理的壁を越えることができるのか、寄付集めの手法としてのケース・ステイトメントの共有が紹介されていたためだ。

リスク・マネジメントセミナーでは、一般的なリスク管理や保険システムや保険商品の紹介もあるなど、実際の活動においては無意識的に行なっているリスク管理をより明示的に示して行くこと、様々なリスクをリストアップしてそれなりの対応策を検討することの重要性などが述べられたが、少し一般的な内容だったので、もう少し個別、詳細な検討をしなければ、ピンと来ない内容だったと感じてしまった。

アドボカシー活動に関するセミナーでは、アドボカシーについては、より政策提言活動に絞った形で、むしろロビー活動というような内容で、いかにそうした活動を実施していくのかといった内容だった。また、先月の報告で書いたような501(c)(3)団体が、どのような政策提言活動が可能なのかといった概要解説が行なわれ、NPO活動にとってのアドボカシー活動の重要性を説明してくれた。
資金調達などに関するプログラムは、いろいろなセミナーや団体があるが、このようにより絞り込んだ形でのセミナーはなかなかないので、参加できてよかったが、やはりワシントンDCなどでは、さらに様々なセミナーも行なわれており、できれば参加したいが、もはや時間的に厳しい状況にあるのは残念だ。

さて、事務局長101というプログラムでは、新任の事務局長に対して、事務局長としての最低限の知識とスキルの概要説明を行なうといった内容だったが、3日間にわたる講師からの講義とともに、議論が行なわれ、リーダーシップ、会計管理、資金調達、戦略計画、理事会管理といった内容を包括的に扱ったプログラムでベイエリアのNGOでも評判のプログラムだった。

特に私にとって非常に有益な知識となったのは、会計管理のところでのnet asset(正味資産)の表記手法についてだ。米国では標準的な表記方法となっているが、net assetの中身を、unrestricted net assetrestricted net assetに区別し、各科目内においてどのように計上されていくのかが詳細に説明された点であった。こうした区別は、NPOに特有に発生してくるものであるが、ただ、米国のNPOでは、こうした区別は当然であって、特に助成金を受けている団体においては、こうした区別がなければ、現時点で自由に拠出可能な資金がどれだけあるのかを判断することができない。
つまり、restricted net assetは、助成を受けて資産となっているものの、拠出先が限定されている資金であるために、正味資産とはいえ実質的には自由に処分することが不可能な資金である。
よって、そうした区別を行なっておく必要があるということだった。AMネットにおいても、昨年度の会計においては、使途が制約されている助成金の前払いのためにこうした状況が発生しており、会計上は黒字であったものの、unrestricted net assetで見たときには赤字の状況にあった。早速来年からは、そうした会計表記を導入していきたいと考えている。

そしてさらに、このプログラムには、戦略計画(strategic planning)プロセスに関するセクションもあり、これは私のフェローシップ計画の達成においても重要な内容を含んでいると考えていたものだったので、私としては、非常に期待をして参加した。ただ、ここでは概要説明で終わってしまった感があり、やはり、戦略計画に特化したセミナーに参加しないとなかなか時間的に無理だという印象を受けた。とりあえず、それに関する書籍を購入したので、とりあえずは概念的に学んでいこうと思っている。
この手法のことについて教えてくれたのは、デービッド・ゴードン氏だったが、彼が事務局長を務める Pacific Environmentや他のアドボカシーNGOでも、こうした手法を取り入れて、3年後を見越しつつも、各年度の見なおしをするという形で、戦略計画プロセスを実践しているという話が聞け、ベイエリアのNGOにおいては、比較的こうした考え方が広まってきているんだとの印象を受け、この成果達成に向けた戦略的な計画づくりを進めるというマネジメント手法が、明示的に活動の中に取り組まれていることを知ることができた。
ただ、IFGにおいても、年間計画は存在するものの、明示的な形でこれを取りいれているわけではなかった。むしろ、理事会主導での意思決定スタイルで計画立案がなされているために、むしろimplicitに立案が行なわれていると言えるかもしれない。

さて、一つ面白いなあと感じたのは、この団体は、ニーズのある団体に対して臨時の事務局長派遣を行なうといったサービスなども行なっていることだ。日本では考えられないことに思えるが、こうしたレンタルサービスを受け入れている団体だった DataCente に、たまたまインタヴューに訪れたが、その事務局長のリーダーシップ力は高く、うまく組織をまとめているとの評価だった。

●シアトル訪問

シアトルにおいては、EarthJusticeEarth Economicsという団体、また、World Temperate Rainforest Network(WTRN)といった団体を訪ねた。特に、Earth Economicsについては、廃棄物の貿易問題等を通じてグローバリゼーション問題に取り組む団体で、最近は中国へのゴミ輸出による環境被害・健康被害問題に取り組んでいる。
WTRNは、温帯雨林の森林保護団体の国際ネットワーク団体で、ネットワーク自体が一つのプロジェクトという感じのネットワーク組織であった。その代表者を訪ね、概要説明を受けたが、この団体は、基本的にはボランティアベースのネットワーク組織であるために、プロジェクトベースで資金確保を行なっていくというスタイルの団体で、これまでの組織や事務所がきっちりとある団体とは異なり、個人ベースでの関わりが重視される雰囲気の団体であり、米国にもこうした形での取り組みがあることを学べた。

一方、EarthJusticeは、米国内の各地に支部を持っている環境弁護士を中心とした団体であり、環境問題に関して非営利団体等に向けた法的活動支援サービスを行なっている。財団からの資金助成を受けることによって、廉価にリーガル・サービスを行なっているという。情報発信も行ないつつ、専門的スキルを社会、NPO活動支援という形で実施している。

EarthJusticeEarth Economicsへの訪問は、短い時間だったので深い話はできなかったが、シアトルでは、様々なスタイルで、問題にアプローチしようという団体を訪問できて、それぞれの問題に対して一定の専門性と活動を行ないながらの活動は、それぞれがユニークで興味深かった。

 

※本報告内容は、執筆者の見解によるもので、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の公式見解とは必ずしも一致するものではありません。

Top

TOKYO OFFICE
国際交流基金(ジャパンファウンデーション) 日米センター
160-0004 東京都新宿区四谷4-16-3
Tel (03)5369-6072 Fax (03)5369-6042
NEWYORK OFFICE
The Japan Foundation Center for Global Partnership, N.Y.
1700 Broadway, 15F, New York, NY 10019, U.S.A
Tel (212)489-1255 Fax (212)489-1344