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日米センターNPOフェローシップ 月次報告(2005年10月)
フェロー:谷 裕子

報告書リスト

谷 裕子
日米センターNPOフェローシップ(第5期)
月次研修報告書(2005年10月分)

フェロー:谷 裕子(Rape Crisis Survivors Net Kansai 事務局長)
研修テーマ:コミュニティで作る支援−性暴力被害者サポート
研修先:Bay Area Women Against Rape (BAWAR) (Oakland, California)
研修期間:2005年3月29日〜2006年3月15日

◆ドメスティック・バイオレンスを考える月間

イベントに参加して

10月は Domestic Violence Awareness Month(DVを考える月間)だった。全米でさまざまなカンファレンスやイベントが行なわれた。オークランドだけでも、数十種類の催しがあった。

BAWARはレイプクライシスセンターで、直接ドメスティック・バイオレンスの被害者支援は行なわないが、性暴力という共通性から、イベント会場でブースを持って数回、活動紹介をした。一番印象に残ったイベントは、10月28日(木)にオークランドにて行なわれた、「A Day of Remembrance」だった。イベントの目的は次の3つがあげられる。

1)過去10年間、DV被害により命を奪われた老若男女の命に祈りを捧げる
2)被害を生き抜いたサバイバー達を称える
3)あらゆる暴力を無くす努力を誓う
オークランドを含むアラメダ郡の被害者支援団体、教会、警察、地方検事事務所が集結し、一般公開で行なわれた。アラメダ郡において、DV月間を締めくくるイベントと言ってもいいだろう。オープニングは黒人のソウル歌手が、夫や恋人、家族から受ける暴力被害者の心を美しい詩に綴り、力強く唄う。『今、私は自由。私の心は空高く、飛び回ることができる』この詩は、暴力で生命を終えた人と、生き抜いた人にも共通する意味があるのではないだろうか、と感じた。命を失った事実はとても辛く、憤りを感じることだ。しかし、痛みと苦しみ、屈辱の中で生きていくことから解放されたのも事実だといえる。

新しいテーマ

歌の後は、2人の女性が壇上で、それぞれの体験を語る。今回、興味深いのは2人とも「警察官同士の結婚によるDVサバイバー」であることだ。アメリカでは、軍隊や警察機関内における性暴力とDV被害が注目されるようになってきている。
このテーマは、ここ数年になってやっと「氷山の一角」を現したようだ。「今ごろ注目され始めたのか?」という印象はある。しかし実際は抑圧され、語ることができなかったのだろう。被害を訴えても、内部で揉み消されている可能性は容易に想像がつく。厳しい訓練に耐える体力と精神力が必要とされるからこそ、だろう。
このテーマが表面化されていくことは、とても大きなチャレンジだと思う。2人の女性は、「私達は職場では完璧なカップルを演じてきた。痣や傷が見えても、まさかそれが夫からの暴力だと、誰も想像がつかなかっただろう」と語った。1人の女性は20年間、暴力的な夫と暮らしたという。1人の同僚が信じてくれたことから、暴力的な環境から脱出できたと語った。

祈りを捧げて

最後に、中国の琴の演奏をBGMに、1996年から2004年まで、DV被害で亡くなった170人の被害者の名前と年齢を読みあげる。これはあくまで通報されて「事件」として取り扱われたケースであり、実際に過去10年間に死亡したDV被害者はこの数をはるかに上回る。読みあげられた名前には、胎児も居た。母親が妊娠中に殺害されたか、暴力により堕胎したのだろう。6ヶ月の乳児、78歳の女性と男性まで、幅広い。年齢や性別に関係なく、これらの名前を聞くことは、胸をしめつけられるようだった。今後、1人でも多くの人が支援にアクセスできることを願う。

The International Conference on Attitudinal Healing

Center for Attitudinal Healing

10月21日から23日まで、Sausalito にあるCenter for Attitudinal Healingというセンターの30周年記念カンファレンスに参加した。アティテューディナル・ヒーリングは日本語では訳しにくい言葉である。「生き方を変えるヒーリング」と訳されているのだが、あまりしっくりこない。カンファレンスのキャッチフレーズとして「Your attitude is everything」と書かれていた。自分の行動や視点を変えることで、生き方が変わる。自分が変わると、おのずと周囲にも変化が生じるということだ。これは行動して初めて認識できることなので、文章による表現は難しい。代表のジェラルド・ジャンポルスキー氏の著書は数多くあり、数ヶ国語に翻訳出版されている(日本語でも何冊も出ている)。

5年前に図書館で借りた1冊の本がきっかけでジャンポルスキー氏の理念を知った。それは、「恐れを手放す」「自分をゆるす」ことで自分自身を愛し、他人を愛することができるというもの。氏のセンターは設立当初の1975年、末期がん患者が安らぎを得て最期を迎えるためのサポートを提供することから始まった。「死ぬ瞬間」という著書で知られるエリザベス・キューブラー・ロス氏とともに、死を迎える子供たちと関係を作っていくプロジェクトを行なっていた。
末期がん患者のみならず、「恐れを手放し、自分をゆるす」ことが、社会のさまざまな問題の解決に役立つことに気がついた氏に共感する人たちが集まり始め、プロジェクトの範囲が広がり、現在は非行少年の社会復帰支援、被虐待児の心のケア、刑務所内での加害者介入、薬物依存者への介入などで、世界各国で実現されている。

30周年記念カンファレンス

週末を利用した2日半のカンファレンスには、250名以上の参加者が居た。

参加者の国籍もさまざまで、私の席の隣にはインドのセンター・スタッフ、反対隣にはインドネシアから来た女性が座っていた。日本人の参加者は全部で5名だ。ほかにはメキシコ、アルゼンチン、カナダ、ロシア、オランダなど。センターには「12の理念」がある。この理念を基盤に、地域のニーズに沿う独自のプロジェクトをそれぞれのNPOで開発・提供しているようだ。

1日目の夜は前夜祭で、歌あり、スピーチもあった。2日目は2つの分科会で、各センターや活動の内容を体験できるものがあった。私が参加したのは、アルゼンチンの被虐待児ケアNPOのプログラムと、アート・セラピーの分科会。前者は、ジャンポルスキー氏が仲間と考え出したすごろくゲームで、立ち止まるマスの色と同じ色のカードを1枚取る。
例えば、「看護婦か、患者か、どちらになりたいか」と書いてあるとする。自分がどう思うかを述べ、その理由を皆に説明する。なんらかの暴力被害にあって自己肯定感を持てない子ども達が遊びながら「自分の気持ち」に気づいていく事に役立つ。被害によるトラウマを見つめなおし、傷に気づいていくという意味では、大人にも十分使える。
実際に、薬物依存者や性被害にあった人にも活用されているという。アート・セラピーは、静かに目を閉じて「今、この瞬間の自分」の心情を絵にするというもの。これも、過去の被害の記憶とトラウマに縛られて現在と過去を切り離せずに苦しむ性被害サバイバーの癒しに使えるセルフワークだ。日本での被害者支援に紹介できるエッセンスとしてのアクティビティを体験できた。

3日目、午前中はゲストスピーカーが平和と許し、非暴力について語っていた。午後からは短い分科会があり、カンファレンスは幕を閉じた。

ジャンポルスキー氏に話しかけてみると、とても気さくな方だった。なんとご自宅にご招待いただき、各国のセンターの方がたと夕食のピザをいただいて、交流を深めることができた。センターの1日ワークショップが11月に開催される予定なので、参加してみようと思う。性暴力被害者支援だけではなく、さまざまな暴力に終止符を打つことを目的に、同一の理念を基に幅広い活動を行なうNPOの人々と一度に出会えたことに驚きつつ、視野を広げられたことに感謝している。

 

 

※本報告内容は、執筆者の見解によるもので、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の公式見解とは必ずしも一致するものではありません。

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