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日米センターNPOフェローシップ 月次報告(2005年11月)
フェロー:谷 裕子

報告書リスト

谷 裕子
日米センターNPOフェローシップ(第5期)
月次研修報告書(2005年11月分)

フェロー:谷 裕子(Rape Crisis Survivors Net Kansai 事務局長)
研修テーマ:コミュニティで作る支援−性暴力被害者サポート
研修先:Bay Area Women Against Rape (BAWAR)(Oakland, California)
研修期間:2005年3月29日〜2006年3月15日

Alameda County Family Justice Center (ACFJC)

・ファミリー・ジャスティス・センターとは

2006年8月31日(水)、アラメダ郡ファミリー・ジャスティス・センター(以下ACFJC)がオークランドにオープンした。ファミリー・ジャスティス・センターは、開設が決定している段階のものも含めると、現在、全米で15都市に存在する。
その役割は、NPOと行政が協働して、地域住民の家庭内の問題解決のために必要な支援を提供することである。地域の安全対策にも関わるほか、例えば、ホームレスのクライアントにはシェルター入所手続きを行ない、職業訓練なども提供する。

全米初のセンターはサンディエゴにある。サンディエゴの事業成果は高く評価され、政府はほかの都市にも同じようなセンターを開設する資金助成を決定した。全米のあらゆる郡が応募したが、採用されたのは14都市。ワシントンDCを含む東部都市が多く、ミシシッピー州以西は、ここカリフォルニア州アラメダ郡だけだ。

サンディエゴのセンターでは、サービスを開始して以来、ドメスティック・バイオレンス(DV)の被害者が支援を求めて来ることが多い。しかし、残念ながら、サンディエゴのセンターにはDV被害者支援のNPOは入っていないため、ほかの機関にリファーされることになる。

配偶者やパートナーによる暴力から逃れるには、どうしても危険が伴う。子どもが居ると、法的な問題や、子どもの心理的な影響への不安など、さらに危険度が高い。身の危険というリスクを負ってまで、救いを求めてセンターにたどり着き、「うちではお手伝いできませんので、他のところに行なってください」と言われるのは、相当の精神的打撃である。私自身、アメリカでDVシェルターに助けを求めたら、「あなたは外国人だから、うちでは保護できない」と帰らされた経験があるだけに、嫌というほど理解できる絶望感である。

ACFJCは、DVの深刻さを重視し、国籍、性別を問わず、DV被害者、性暴力被害者、そしてその周囲の人への直接支援の提供を趣旨とした。BAWAR と共に、センターの必要性を10年以上啓発してきた地方検事アシスタントのナンシー・オマリー氏は、今回の助成金申請の過程から全体コーディネートを行なっている。

・センターの様子と、パートナー団体

ACFJCの建物2階部分には、オンサイト&オフサイト・パートナーとしてNPOが入っている。オンサイトはBAWAR、聴覚障害者の性暴力被害者支援団体DeafHope、虐待された子どものインタビューセンターCALICOなど。3階はオークランド市警、被害者と目撃者のための支援組織Victim/Witnessが居る。警察とNPOが一つの建物で協働し、被害者支援のコーディネートを行なう。

例えば、レイプ被害者からの通報への対応や加害者への接近禁止令要求を一箇所で行なえる。依頼があれば2階のBAWARからスタッフが付き添いする。将来的にはセンター内でレイプ検査も実施する予定である(現在工事中)。
子どもが居る場合、2階のキッズコーナーに保育サービスもある。被害者がシェルター情報等を検索できるように、インターネットカフェ・コーナーも設置され、就職支援の一環としてパソコンのトレーニング室、電話が使える個室もある。

この建物は、元保健所だった。予算をかけすぎないように、少し改装して利用している。元警察官の男性が、ボランティアで開設までの責任者になり、センターに必要なソファ、会議用机、冷蔵庫からオフィス用品まで、全て寄付を集めてくれた。
外観は以前のままである。DVの支援センターであることが分かりにくいようにするため、看板も出していない。加害者が銃を持って乗り込んでくるかもしれない危険性も予想されるからだ。センター入口は常時施錠されている。1階部分はガラス張りだが、通りから中が見えない窓ガラスに取り替えられた。オープン前に私が夜遅く建物を出ようとすると、不審者が外に現れて、警察に連絡したこともあった。BAWARはオンサイト・パートナーとして7月にセンターに引っ越した。

オープンまでの2カ月は改装工事と運営会議、パートナー団体の勉強会などが続いた。実際のオープン予定日は何度も延期された。公開しないと一般人に知ってもらうことができないが、あまり大々的に公開すると、今度は危険も生じる。
結果、あまり目立ちすぎないよう、シンプルに宣伝をして、オープンの当日はセンター前の駐車場で開所式を行なった。一般市民とメディア、そしてワシントンDCのセンター関係者を招待し、軽食を提供してツアーを行なった。式には200人以上の人が集まった。

・その後

ACFJCがオープンして3カ月あまりが経過した。10月は大きなポスターが掲示された。キャッチコピーは「a one-stop center for families experiencing domestic violence」(one-stopとは、そこに行けば必要な支援が何でも受けられるという意味)。なかなか目を引くポスターで、街で見かけると少し嬉しい。

BAWARの業務自体は以前とあまり変わらない。現在、オンサイト・パートナーで常駐しているのは BAWARだけである。最初の1カ月は静かだったが、少しずつクライアントが訪ねてくるようになり始めた。
実は、準備期間の2カ月間、どこからか噂を聞きつけた被害者が支援を求めて来て、対応をしたこともあった。どのような状況でも柔軟性をもってサバイバーに対応する。これは長年の経験を持つBAWARの素晴らしいところだ。虐待を受けた子どもが警察官に調書を取られている間、廊下で待っている父親に、通りがかった私が「クイック・カウンセリング」を行なうこともあった。
被害者の家族や知人達も、話をきいてくれる人が必要だ。センターが、今後ますます「市民が安全な環境で支援を受けられる場」となり、DVのサバイバーが自立に向けて支援を受けられる場になることを、祈っている。

 

※本報告内容は、執筆者の見解によるもので、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の公式見解とは必ずしも一致するものではありません。

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