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NPOフェローシップの様子の写真4

日米センターNPOフェローシップ 月次報告(2006年4月)
フェロー:岩附 由香

報告書リスト

岩附 由香
日米センターNPOフェローシップ(第6期)
月次研修報告書(2006年4月分)

フェロー:岩附由香 (特定非営利活動法人ACE(東京) 代表) 
研修テーマ: 児童労働分野のNGOのアドボカシーとプログラム、資金調達とネットワーク活動
研修先: Winrock International (Arlington, Virginia)
研修期間: 2006年3月29日〜2006年12月28日


●いよいよ研修スタート

NPOフェローシップの様子の写真1

研修先のNGOWinrock International(ウィンロック・インターナショナル)はワシントンDCから地下鉄に乗り、川を渡って1つ目のRosslynという地下鉄の駅のほど近くにある(バージニア州アーリントン)。
ボーイング社などが並ぶビジネス街の裏通りにあり、12階のビルの12階と11階にまたがってオフィスを構える。所属団体である特定非営利活動法人ACEの事務所のある東京・御徒町の町並みや丸幸ビルとは雰囲気がかなり違い、服装も決まったドレスコードがない割には皆綺麗な格好をしているように思う。
あてがわれたスペースは、キュービクル(壁で囲まれてたスペース)のひとつで、L字型に並べた机の中心にデスクトップ・パソコンがあり、専用回線及び留守番電話が設けられている。部外者の出入りはほとんどない。お互いの顔が見え、3団体の寄り合い事務所で人の出入りも多いACE事務所と比べると、とても静かで考えをまとめるのには最適だ。

Winrock International(ウィンロック・インターナショナル、以下ウィンロック)概要

ウィンロックは毎年約65カ国で、約150のプロジェクトを実施し、700人のスタッフを抱える国際NGOである。1985年に3つのNGOが統合してできた。元々はウィンロックの名前の由来でもある、Winthrop Rockefellerの始めた国内の農業関係の研究機関であることから、活動分野は農業、クリーンエナジー、森林やエコシステムなどの自然系が強いが、途上国での活動は時がたつにつれ農業以外の問題へも焦点が広がっていった。私の所属するEmpowerment and Civic Engagement部門はその広がりの部分であり、比較的新しい。本部はアーカンソーにあるが、ワシントンDC近郊にあるこのアーリントン事務所がプロジェクトの管理等を行なう実質的なオフィスとして機能しており、スタッフ約60名がこの事務所で働いている。

●組織の財政と構成

ウィンロックの年間予算は5,000万〜6,000万ドル(60億円〜72億円、1ドル=120円換算)で、収入源の75%が公的機関(USAID(United States Agency for International Development), USDOL(United States Department of Labor, 労働省), USDOS(United States Department of State, 国務省)など)である。

組織の構成は理事が17人(任期5年間)、年に3回の全体理事会があり、その他委員会の開催がある。"Members contribute their time and financial support"(理事は時間を提供し、財政支援を行なう)とホームページには書いてある。その下にシニア・マネージャーが8人(うち女性は1人)いて、そのうちの1人が私の所属する部署のディレクターを兼任している。

●団体のミッション

ウィンロックのホームページより抜粋したミッションは以下。
「ウィンロック・インターナショナルは、米国を含む世界の人々とともに経済機会向上、天然資源の保存、また環境の保護のために活動をする非営利団体です。農業、天然資源管理、クリーンエナジー、リーダーシップ開発の分野でパートナーそれぞれのニーズに革新的なアプローチを合わせていきます。現地の個人及びコミュニティーと新しいアイディアや技術をつなげることで、ウィンロックは長期的な生産性、平等、責任ある資源管理を高めて世界の貧しい人々及び不利な立場にある人たちに利益をもたらします。」

●キャッチフレーズ

"Putting ideas to work"がこの団体のキャッチフレーズ。
新しいアイディアを既存の手法に取り入れること、またそれを途上国の人々、とくに貧しい人々のよりよい生活を実現させるために活用すること、それらの新しい技術、手法を確立させること、新しいアイディアを現実的に日常的に使えるものにすること、いろいろな解釈ができる。そのため、広報担当の人に「どれが本当の意味?もっと良い説明の文章がありますか?」と聞いたところ、逆に「あなたの解釈はどれもすばらしいので今後使わせてもらうわ」とのこと。規模が大きく多様なプロジェクトを抱える団体にとって、ひとことで説明できるキャッチフレーズを考えることは難しいと想像するのだが、このキャッチフレーズはこの団体のあり方を良く表していると思う。

●資金調達

資金調達という名前がつく担当や部署はないが、New Business Groupというグループがあり、5−6人がすべての新しいプロジェクトのプロポーザルなどをサポートすることになっている。資金調達源のほとんどを公的機関に頼るウィンロックであるが、2005年には民間からの資金調達を増やそうと人員配置をしたらしい。しかし人の異動に伴い芳しい結果も出ていなかったことから、民間の資金調達は財団や企業など限られた一部にとどまり、一般的な市民からの寄付を集める行為は行なっていない。

●受け入れ団体選定の背景

私の研修の当初の目的は児童労働のアドボカシー、資金調達とネットワークであったが、ウィンロックはアドボカシー団体ではない。これは、当初受け入れを期待していたアドボカシー団体が、規模、スタッフ、事務所など受け入れ条件を満たすことができなかったため、選定が困難を極めたこと、ウィンロックは児童労働のプロジェクトを行なっており、私が貢献できる部分が見つかった唯一のNGOであったことによる。ウィンロックについては既知であった他団体のスタッフの紹介で知り、渡米して事務所を訪問した際、話し合う中でお互いのメリットを確認できた。
その後、実際に受け入れをしてもらうことが決まった後、研修内容にWinrockで私が担う活動、すなわち児童労働のプロジェクト関連業務を盛り込んだ。このように、受け入れ団体によって研修内容の変更を余儀なくされることは想定外ではあったが、受け入れ団体としてもある程度の貢献を求めるのは当然と考える。スーパーバイザーとは研修内容について時間配分を含めて確認をした。

CIRCLEプロジェクトについて

ここで私が関わる児童労働のプロジェクト、サークル(CIRCLE)・プロジェクトを紹介したい。
CIRCLEとはCommunity-based Innovations to Reduce Child Labor through Education の略で、「教育を通して児童労働を削減するコミュニティ・ベースの革新的手法」とでも訳すのであろうか。

アメリカ労働省から資金を得て2002年から2008年まで行なわれる予定のこのプロジェクトは、労働省が出す中でもユニークな取り組みだ。このプロジェクトはウィンロックが資金提供者となり、サブコントラクトをするローカルNGOから申請を受け付けて、審査を通ったプロジェクトに資金を提供する。

CIRCLEプロジェクトの目的は
1) 正規または非正規教育システムの強化
2) 世論の喚起
3) 国内の教育および労働に関する機関、政策の強化
4) 持続可能性の確保
である。

●労働省の国際児童労働プログラム

CIRCLEプロジェクトの目的は、労働省の国際児童労働プログラムの目的と重なっている。

上記1)から4)の目的のいずれかに資するプロジェクトを現地NGOが行なうことになり、ウィンロックは下請けという形で実施している。

この労働省の国際児童労働プログラムは1993年に議会からの要請をうけてBureau of International Labor Affairs (ILAB)内にできた。

国際児童労働プログラムは児童労働に関する研究と文書化、また技術協力としてILO-IPECのプログラム(29,200万ドル、1995年より)、教育イニシアチブ(14,800万ドル、2001年のみ)、世論喚起(1999年より)を行なっている。

CIRCLEプロジェクトは、このプログラム中の教育イニシアティブにあたる。

●労働省主催の児童労働 理論と実践 シンポジウム
"Linking Theory and Practice to Eliminate the Worst Forms of Child Labor"

NPOフェローシップの様子の写真2

2006年4月11日、12日の2日間に労働省主催の児童労働に関するシンポジウムが開催された。これは、労働省の国際児童労働プログラムの研究助成事業の発表会である。6つのプレゼンテーションがあり、それぞれディスカッサントからのコメントが後に続き、質疑応答が行なわれた。

研究内容は政府の貧困政策による児童労働への影響を計量経済学を使い計測した学術色が強いものから、カトマンズの子どもポーターの身体検査の結果の分析まで、手法及び分野は多岐にわたった。

参加者はNGO関係者や研究機関から30人〜50人程度であった。
このようなシンポジウムを労働省が主催し、児童労働についての真剣なディスカッションが政府、NGO関係者が同じ空間にいる中でなされる、ということ自体が大変新鮮で、感慨を覚えた。
印象に残ったのは、アイルランドからディスカッサントとして招かれていたニコラス・グレイスウッド(Nicholas Grisewood)さんのコメント。理路整然としたパワーポイントのプレゼンテーションが続いたため、その場に活気をもたらそうとあえて用意したプレゼンテーションは用いず、マイクを片手に歩き回りながらスピーチを行ない、「情報がないわけじゃない、情報は余るほどある!問題はそれをどうやって使えばいいかわからないことさ」と訴えかけていた。彼はコンサルタントとして国際労働機関(ILO)で開発教育教材SCREAM (Supporting Children's Rights through Education, the Arts, and the Media)を開発した人である。彼の言葉どおり、様々な研究や調査結果が発表されている中で、それをいかに活用するかということが課題であると思う。

●インターアクションフォーラム "The Power of Global Campaigns"

NPOフェローシップの様子の写真3

期日が労働省のシンポジウムと重なってしまったことや、通常の登録ができなかったこともあり、インターアクションのフォーラムは部分的な参加となった。インターアクションとは米国NPOのネットワーク組織で160団体が加盟している。

今回のフォーラムで一番期待していたセッション"The Power of Global Campaigns"ではアクションエイドのポリシーオフィサーである有馬純枝さん(写真)が壇上に上がり、プレゼンテーションを行なった。このプレゼンの前に有馬さんにインタビューする機会があり、日本のアドボカシー力を高めるための課題を聞いた。

有馬さんによると、今回のようなグローバルなキャンペーンの中で、各国の代表が北と南というそれぞれの立場をとって意見を述べることになるが、日本はその中で微妙な立場になる。
というのも地域で分けた場合日本はアジア(南側)となるが、立場としては北(北、ドナー側)であり、欧米と比べてポジショニングが難しい。今後世界会議などで日本人が活躍するには、政策に詳しく、個性がぶつかり合う中でネットワーキングを行ない発言機会を捉えることができる人が必要、ということであった。日本の中で政策研究を行ない、かつ活動家として行動できるNGOスタッフの人材の育成の必要性を感じた。

オックスファム・アメリカのヴィッキー・ラトゥ(Vicky Rateau)さん、Council on Foreign Relations のジーン・スペリング(Gene Sperling)さんがこのセッションでプレゼンテーションを行なった。スペリングさんは以前経済アドバイザーとしてクリントン政権下で働いていたためアドボカシー/ロビングの働きかけられる側であったが、今は働きかける側にいる。両方の経験から効果的なアドボカシーは1)コミュニケーションを密にとること 2)業界の人脈を活用すること 3)高いビジョンを掲げつつも、追加的/付加的なメリットも追及すること によってもたらせるという。また、理想と現実のギャップをはっきりと示すことも重要だという。例えば教育に対する現在の支出と望まれる支出の差の大きさを伝えることが重要であり、それをしないとこれまでの実質ベースで判断されてしまいかねないという。

インターアクションのフォーラム期間中に「アドボカシーセッション」なるものが開かれた。私は参加しなかったが、実際に自分の関わる問題をこの機会に議員へ働きかけるための相談セッションと実行の時間が設けられていた。ワシントンDCに来たからには何か実際に働きかけをしたいと思っていた人がいたとしたらちょうどいい機会になりそうだ。

●ミレニアム開発目標グッズ

NPOフェローシップの様子の写真4

インターアクションのフォーラムでは企業がブースを出しており、ペンなどのグッズを無料で提供していたのだが、その中で運送会社らしき会社がミレニアム開発目標の達成年である2015をナンバープレートのように印刷したキーホルダーを発見!日本ではまだこういったグッズはないのでは。

同じ期日に行なわれていた世銀の会議でも、ミレニアム開発目標の達成に向けた企業の協力は不可欠、という認識が示された(インターアクションのフォーラムで会った日米センターNPOフェローの黒田かをりさんからの情報による)とのことで、今後日本においても2015グッズが出てくるかもしれない。

NPOフェローシップの様子の写真5

また、インターアクションがミレニアムキャンペーンとの協力で作成しているポストカードもミレニアム開発目標の8つのゴールをテーマにしている。

 

※本報告内容は、執筆者の見解によるもので、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の公式見解とは必ずしも一致するものではありません。

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