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日米センターNPOフェローシップ 月次報告(2006年5月)
フェロー:岩附 由香

報告書リスト

岩附 由香
日米センターNPOフェローシップ(第6期)
月次研修報告書(2006年5月分)

フェロー: 岩附由香 (特定非営利活動法人ACE(東京) 代表) 
研修テーマ: 児童労働分野のNGOのアドボカシーとプログラム、資金調達とネットワーク活動
研修先: Winrock International (Arlington, Virginia)
研修期間: 2006年3月29日〜2006年12月28日


ILOグローバルレポートの発表

2006年5月4日に、国際労働機関(ILO)がグローバルレポートを発表した。これは、1998年に採択されたILO宣言を受けて、4つのテーマのうち毎年1つずつILO総会に報告されているものであり、今年のテーマは児童労働だ。この文書は総会で採択されれば、正式文書となる。

児童労働の統計や現状、課題をまとめた今回のレポートのタイトルは“The End of Child Labour: Within Reach”。邦題は「児童労働のない世界:手の届く目標」(ILO駐日事務所ホームページ参照)。この詳細についてはACEホームページ等に詳しく書いたのでここでは割愛するが、

1) 児童労働は世界的に見て減少傾向にある (4年前の2億4600万人に比べて11%減の2億1800万人)こと
2) 児童労働のアドボカシーの重要性(貧困削減、基礎教育実現との関連)
3) 2016年までに最悪の形態の児童労働をなくすという目標を設定したこと、を紹介している点が今回の特徴であると思われる。 アメリカでも日本でもこの発表については報道があった。

●児童労働連合 Child Labor Coalition

ネットワーク活動も研修テーマのひとつである。その主な対象として考えていた児童労働ネットワークの会合に、今回参加することができた。
児童労働連合は1989年に設立された。事務局はNational Consumers Leagueが勤めており、専任のコーディネーターが1名いる。共同代表を、American Federation of Teachers(教職員の組合)とNational Consumers Leagueから出している。ウェブサイトには30団体がアドボカシー会員、3団体が非アドボカシー会員、14団体が関係団体として名前を連ねている。年会費は25ドルで、個人でも会員になることができる。営利団体は会員になることはできない。基本的に会員ではなくてもミーティングに参加することはできるが、場合によっては会員限定とする。

このネットワークのミッションは以下である。

児童労働の情報交換を目的とした国内ネットワークの形成。
フォーラムを形成し働く子どもの保護、また搾取的な児童労働の廃絶について統一見解を示すこと。
児童労働に関する法律のよりよい施行について政策提言を行なうこと。これは、雇用主の法律遵守(コンプライアンス)を確保するための革新的方法の考案、推進を行なうことも含む。
アメリカ国内及び国外の児童労働に関する意識及び理解の促進。児童労働と法律に則った若年雇用の違いを明らかにするよう、市民、企業、政府に対し、教育を行なう。
議会及びアメリカ政府に対し、児童労働に関わるILOと国連条約の批准と施行に対し即時に行動することを促すこと。

この日の会合では、教育のためのグローバルキャンペーンのアクションウィークの報告、ILOのグローバルレポートを受けてILOジュネーブのレポート担当者との電話会議、また国内の児童労働についての法案である“CARE BILL”について、現状報告とアドボカシーの方向性についての議論などが行なわれた。このネットワークには国内グループと国際グループがあり、それぞれミーティングを行なっている。国際グループは最近はあまり活発ではないが、数年前にココア生産における児童労働に反対するキャンペーンを行なったときなどは、頻繁に会議を開いていたようだ。

●所属ユニットのスタッフミーティング

所属ユニットのスタッフミーティング

私が所属するユニットであるECE(Empowerment & Civic Engagement)において、スタッフミーティングが開かれた。参加者はこのオフィスに勤めるスタッフだけではない。アーカンソーにある本部とはビデオ電話で、自宅勤務のスタッフとは電話をつなぎ、総勢14人程度で月1回ミーティングを行なう。

ミーティングの内容はそれぞれのプロジェクトの進捗状況などの報告と情報共有がメインで、理事でもあるこのユニットの部長からは先日開かれた理事会の報告もあった。

このユニット名は最近の組織変更に伴いできた比較的新しい名前であり、以前はLeadership Developmentと総称されていた。14人程度の小さな部署であるが、様々なプロジェクトを行なっている。

この部門はウィンロックが長い歴史を持ち得意とする農業/環境分野とは少し趣が異なる。他のユニットでのプロジェクトは農業、クリーンエナジー、環境、森林管理など、専門的、技術的な自然科学分野のプロジェクトであるのに対し、このユニットはより人にフォーカスを置いたプロジェクトを行なっている。農業/環境分野のプロジェクトの中で女性の組織化を行なってきた長年の経験があり、女性のトラフィッキングの防止の取り組み強化に伴い、このようなユニットが誕生したようだ。現在はユニットの中に3つのセクション、女性のエンパワーメント、市民社会の強化、子ども及び若者のリーダーシップがあり、それぞれプロジェクトに取り組んでいる。

具体的には、奨学金のプロジェクト(African Education Initiativeというアフリカ各国の女性への奨学金制度や、世界各国の女性を対象にした大学院博士課程への進学を支援するための奨学金など)、人身売買の予防やシェルター運営、そして児童労働のプロジェクトである。Winrockは長年フィールドでのプロジェクトマネージメントの経験があり、また世界7カ所に地域オフィスを構えグローバルに展開していたこと、コートジボワールの児童労働の文献調査などを既に行なっており児童労働の問題についても関心を深めていたことから、アメリカ労働省が児童労働のグローバルプロジェクトの案件を募集した際に申請を行ない、資金を獲得した。

これがCIRCLE(Community-based Innovations to Reduce Child Labor through Education)プロジェクトである。

CICLEプロジェクトのBest Practice

5月に一番時間を費やしたのが、CIRCLEプロジェクトのベスト・プラクティスの準備である。CIRCLEプロジェクトはアジア、アフリカ、ラテンアメリカのローカルNGOとの契約を結び、現地NGOへ資金を提供してプロジェクトを実施するグローバルなプロジェクトであり、2002年の開始から60以上のプロジェクトが実施されている。

このプロジェクトの評価を行ない、そこからベストプラクティスを導き出そうというもので、最終的な成果物を作るまで、毎月いくつかのNGOのプロジェクトを評価していく。この評価には、CIRCLEのスタッフだけではなく、地域マネージャーの他、ボランティアとして各地のNGOや国際機関の関係者などが関わっている。

私の担当は、それぞれのNGOがこれまで提出したレポート(隔月、最終、4半期レポート、ケーススタディー、視察報告書など)を確認し、それをひとつのファイルにまとめて、地域マネージャーに送付することと、全体のスケジュールを管理することである。4つの地域のマネージャーと同時に複数のNGOについてやり取りを行ない、決められた期日に評価者へ送付できるように準備を行なう。これから6月を除いて毎月このやりとりが続いていく。

●経営戦略説明会議

Winrock Internationalの代表より、理事会決定についての説明が行なわれた。今後の団体の方針が共有される大事なミーティングとして全員出席との指示があり、事務所にいたスタッフ約40人弱が会議室に集まった。

パワーポイントを使ったプレゼンテーションの中で、まず団体の性格の確認が行なわれた。この団体はMission-Drivenの非営利ビジネスを行なう団体である、と。これは営利追及や布教を目的として援助を行なっている営利団体や宗教団体との区別を意図したものだと捉えられる。つまり、団体の存在意義はミッションを追求することであり、活動がこのミッションに沿って行なわれるべきという確認である。

そして、この団体が提供するものは、「技術的、あるいはマネージメントのサービス」である、と代表は説明した。

このように団体の性格を定義することは、よく言われる経営の「選択と集中」を前提として、資源の分散から集中にシフトするには欠かせないプロセスだと思う。NPOの取り扱う問題の性質にもよるが、活動が多岐にわたり広がりを見せてくると、そもそもどのような活動を主に行なっているべきなのか、ミッションとどう結びつきがあったのか等がうやむやになってくるからだ。自分の立ち位置を今一度確認し、周りを見渡し、戦略を練るプロセスの確認という印象を受けた。

●生き残り戦略と米国国際開発庁へのアンケート

NPOといえども、競争がある。とくにWinrockはその収入の7〜9割以上を米国政府の機関(国際開発庁、労働省、国務省など)に頼っており、同じパイを奪い合うNPOや企業がたくさんいる。そのため「効率的であること」「優秀な人材を持つこと」を重視してる。効率性を高めるために組織変更を行ない、これまで5つあった部門を3つに統合した。さらに、支出の見直しを行ない、削減に成功している。

興味深かったのは、最大の顧客である米国国際開発庁をもっと知るためアンケートを行なったという報告だった。企業が消費者に対して製品についてアンケートを行なうように、NPOもサービス提供者として顧客へのアンケートを行なうというわけだ(※もちろんNPOの場合はそのプロジェクトの受益者が第一の顧客であるべきだが、現実的には資金提供者の満足度も無視できない)。
50人から得た回答からは、ウィンロックの提供するサービスについて平均的に高い満足度を得ていること、またサービス提供者に求める素質としては

1) スタッフの専門性
2) 特定のプロジェクトに対応できる柔軟性
3) 予算内で実施できる能力 

が比較的優先順位が高いということがわかった。興味深い。日本の場合はどうなのだろうか。

●ワシントンDC ILOオフィスを訪問

ワシントンD.C.のILOオフィスは、スタッフ5、6名の小さなオフィスである。アメリカ国内のリエゾンオフィスはニューヨークにあるオフィスが行なっているため、D.C.オフィスは主にILOと米国政府のやりとり、またカナダを含むメディアからの問い合わせなどの対応を行なっている。ここでAssistant Directorのジェシカ・シーコア(Jesica Seacor)さんに話を聞いた。アメリカ政府は1995年から2005年までにILOに対して3億9,000万ドルの拠出を行なっており、そのうち2億9,500万ドルがIPECILOの技術協力部門、国際児童労働撤廃計画)への拠出である。
他国と比べると、オランダが9億2,000万ドル、イギリスが7億6,000万ドル、イタリアが6億1,000万ドル、ノルウェイが5億4,000万ドルである。アメリカが突出しているが、この理由について意見交換をするとやはりトム・ハーキン議員の熱心な取り組みの話になった。アメリカの財政制度上、議員が予算配分に影響力を及ぼせる余地が日本より高いため、これが可能なのかもしれない。

●アメリカ労働省の書籍

アメリカ労働省の書籍

アメリカ労働省が出しているレポートを取り寄せた。分厚い報告書を毎年出しており、その内容も経済的観点から児童労働を分析したもの、アメリカ国内の輸入農作物、鉱物や製造品の児童労働についてなどテーマ別のものから、児童労働がある各国の法制度や児童労働への取り組みをリサーチしたもの、最近は最悪の形態の児童労働についてのレポートなどカバーしている領域も幅広い。ほとんどウェブからダウンロードができるようになっている。

 

※本報告内容は、執筆者の見解によるもので、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の公式見解とは必ずしも一致するものではありません。

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