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日米センターNPOフェローシップ 月次報告(2006年9月)
フェロー:中村 絵乃

報告書リスト

中村 絵乃
日米センターNPOフェローシップ(第6期)
月次研修報告書(2006年9月分)

フェロー:中村絵乃(特定非営利活動法人 開発教育協会)
研修テーマ:NPOの組織強化/国内の教育活動
研修先: ESR Metro (New York City)
研修期間:2006年1月20日〜2007年1月19日


今月はESRのスタッフ全員に日本での活動の紹介をする機会を得た。それから助成センター50周年記念のセミナーに参加したので、その2つを報告をしたい。

1.スタッフ研修

9月5日(火)の3時から5時まで、ESR Metroの事務局スタッフと、トレーナー約30名を対象に開発教育のワークショップを行なった。ディレクターのトム・ロデリック(Tom Roderick)氏とは、以前からこの研修のことを話していた。日本の団体(開発教育協会)のアクティビティを紹介し、フィードバックをもらうことと、私がNYで学んだこと、気づいたこと、提案などの共有をテーマにした。

世界がもし100人の村だったら

最初のアクティビティは、日本でベストセラーとなった絵本『世界がもし100人の村だったら』のメッセージをもとに作成した『ワークショップ版世界がもし100人の村だったら』(開発教育協会、2002)を使い、実際に体を使って動くことで、世界の多様性や貧富の差などを体感してもらった。まずは目をつぶって、世界に住む約63億の人々の様々な価値観、暮らしを想像する。役割カードに従い、性別や年齢、大陸などに分かれて見ると、子どもの数が意外に少なかったり、アジアに人口の6割が集中していたり、とそのたびに感嘆の声が上がった。言語の部分では、カードに書いてある挨拶をしてまわり、同じ挨拶同士でグループになった。さすがアメリカ人、参加型学習はお手の物なので、とても盛り上がり、時間は日本で行なうときの2倍かかった。

最後、富の分配の場面で、興味深いことが起きた。全体の8割のクッキーを一人占めする最富裕層がいるなかで、中間層で、割り当てとなった約半分のクッキーを分けなければならないグループがあり、なかなか同意に至らなかった。グループの一人が、1/3を税金として取り上げたからだ。いかにもアメリカらしいと思った。そしてグループでいろいろな意見を出し合い、賑やかな雰囲気の中、最貧困層は1/4のクッキーを5人で分けなければならず、声も出ないほど落ち込んでいた。それぞれのグループから意見を聞き、最後にメッセージを全体で輪読した。

このアクティビティが実際にNYの学校でできるかどうかについては様々な意見が出た。世界のことが分かりやすく、理解できる。参加型で意見が出やすい。印象に残りやすい。言語の部分はこれからもっと深めることができる。こうした前向きな意見の一方で、実施は難しいと考える人も多かった。とくに「富の配分」に関しては意見が分かれた。実際に貧困家庭にいる子どもたちには現実的すぎる。教員が次のステップを考えていないと難しい。低学年は何が必要で何が欲求かが分かっていないので難しい。こうした慎重派と、現実的すぎるからといってその現実から目をそらすことはできない、子どもたちもシステムの中に既に取り込まれているので一緒に考えていくことはできるという推進派の意見もあった。

上記に応えて、日本での経験、(生徒や教員の準備状況にもよること、前後のアクティビティの重要性、低学年向けの工夫)を共有し、例えばNYが100人の村だったら、アメリカが100人の村だったらなどの、応用編もできることを共有した。

私の学び

時間がかなり押してしまったので、もう一つのアクティビティは簡単に行なった。これは日本で出版されている『レヌカの学び』(土橋泰子、2003)を参考に自分で作成したものだ。日本の文化、アメリカの文化、と国をベースに文化が語られることが多いが、文化は一人一人で異なり、同じ人間でも環境が変われば価値観、態度、行動も変わる、ということを理解するカードゲームである。全部で18の文章を、東京にいるときの私(中村)か、NYにいるときの私(中村)か、に分けてもらい、なぜそう思うか、を話し合ってもらう。確定できたら、カードを裏返すと絵が描かれていて、どのカードが間違えていたか、分かる。私がこれを行なったのは、移民が多いNYで、他の文化から来た子どもたちの戸惑いや心の変化を注意して見守る必要があるということを理解してもらいたかったからだ。同じ中国人でもどのくらいNYにいるのか、親の意識、そして本人の関心などで、その子の態度は異なる。それは中国という文化を超えてその個人の文化である。

このゲームは思ったよりも盛り上がり、参加者も早速作ってみると言っていた。結局時間が足りなくて、私がNYで学んだことの共有はできなかったが、1月に帰国するまでにまた別の発表の機会を設けてもらえるように頼んだ。

新年度のスタートの時期に、新しいトレイナーも含め、一緒に研修ができたことはお互いを良く知るきっかけにもなったようだ。多くの前向きなコメントをもらい、非常によい経験になった。参加型学習に慣れている彼/彼女たちの反応はとても肯定的で励みになった。日本にも形だけはかなり入り込んでいる参加型学習だが、参加する側の意識が「情報を得る」というより「自分の中の変化・学びを重視する」という方向にあるので、ファシリテーターに対する感謝の気持ちがとてもストレートに現れていて、気持ちがよかった。日本でも新しい手法を編み出すよりも、学習者の意識や学習のあり方を変えていくことが重要なのでは、と強く思った。

2. 助成センター50周年イベント

9月27日(水)は助成センター(Foundation Center)の50周年の記念イベントに参加した。助成センターは、NPOや助成団体の活動を支援するNPOで、アメリカ全国の助成情報や企業からの寄付の情報を収集整理した情報センターや充実したウェブサイトを運営し、助成金の申請書の書き方、NPOのマネジメント講座なども無料で行なっている。

基調講演はニューヨーク地域助成協会のマイケル・シェルツァー(Michael Seltzer)氏であった。シェルツァー氏は、ここ数年経済界がNPO界に非常に高い関心を寄せはじめていることについて、昨年のTIME誌の表紙がゲイツ夫妻とU2のボノだったり、最近のFortune誌の表紙はクリントン財団のビル・クリントンであったことなどに言及しながら、強調した。以前は手にした財産で新しいビジネスを始める富裕層が多かったが、今は既にある助成団体が投資先の一つとして考えられているようだ。

シェルツァー氏は、さらに、助成団体の役割は新しい分野の開拓者であるべきで、団体や個人に機会を与えていくことが重要であると強調していた。そして、今後助成団体が支援するべきは、増え続ける様々な移民のコミュニティであり、世界中で起こる災害や紛争の被害者への支援だという。世界中から人が集まるNYはこれら全ての問題に応じる責任と使命があると述べていた。助成団体は、その時代や社会のニーズを敏感につかみ、支援の対象を考えていく必要があると話していた。

講演後、日本のいわゆる裕福層を動かすためのアドバイスを求めた。重要なのは、様々な「ストーリー」を語っていくこと。そこで、新しい助成者、寄付者が生まれるかもしれない。寄付に対する税制控除は大きな課題だが、これだけフィランソロピーが経済界に注目されている中、日本に大きな財団が生まれないことを残念に思う。シェルツァー氏がこれから出される冊子に多くの成功話を書いたというのでそれを見てもらうのは一つの手であろう。

 

※本報告内容は、執筆者の見解によるもので、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の公式見解とは必ずしも一致するものではありません。

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