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日米センターNPOフェローシップ 月次報告(2006年10・11月)
フェロー:成田 容子

報告書リスト

成田 容子
日米センターNPOフェローシップ(第7期)
月次研修報告書(2006年10・11月分)

フェロー:成田容子(特定非営利活動法人NPO推進青森会議)
研修テーマ:アメリカのNPOにおける人権教育プログラム—特にLGBTQコミュニティにおいて—効果が期待できるプログラムを企画、運営するための手法
研修先:Amnesty International USA (New York City)
研修期間: 2006年10月1日〜2007年1月31日


1. 研修先の組織について

Amnesty International(以下AI)はロンドンに International Secretariat(国際事務局)を置く国際人権擁護団体である。AIの組織としての大きな特徴は、強力な会員制度によって支えられていることだ。150以上の国と地域で活動する会員の数は180万人以上である。私の研修先は、Amnesty International USA(以下AIUSA)の本部であるニューヨークオフィス。スタッフは約70名。マディソンスクエアガーデン、ペンステイションの真向かいに面していて、地理的にはマンハッタンの中心部に位置していると言える。

私が研修を希望したセクションは、1998年にできたOUTfront Program というAIの中でも特にレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの人たちの人権を擁護するところで、オフィシャルにはこのニューヨークオフィスにだけ存在するセクションである。OUTfront Program の専従スタッフは2人。そのうちの1人がOutfront Programのディレクターであり、私のスーパーバイザーである。加えて、4カ月ごとに入れ替わるインターン2人と私の全部で5人である。フェロー、インターンとはいえ、専用のデスク、コンピューター、電話回線が与えられていて、広いフロアはキュービクルで仕切られている。オフィスで仕事をする5名のスタッフに加え、OUTfront Programは以下の会員によって構成される会員組織により支えられている。

National Steering Committee(7名)
OUTfront Coordinators(8名)
AI and Non-AI student & Local Groups(200 groups
Individual Donor Members(2,000名)
OUTfront E-Action Network(26,000名)

上記の中でも特に National Steering Committee の7名は、OUTfront Program の今後の目標、今何をするべきかなどについて、スタッフと共に考えていく重要な役割を担う。電話会議などにより定期的にスタッフと連絡を取り合っている。任期は3年。

2. 研修内容について

研修初日に、スーパーバイザーを含む OUTfront Programの2人のスタッフとミーティングをし、組織についての説明を受けた。AIUSAは、ロンドンにある国際事務局、アメリカにあるニューヨーク本部と5つの支部が常に連絡を取り合い、協力し合い、活動を展開している。このような世界規模の組織の構成を理解するには、多くの時間をかけ、実際の日常業務に携わりながら理解を深めていくことが必要だと感じた。

スタッフミーティングは、毎週木曜日の午後2時から約1時間半行なわれる。5人全員が出席する。その他に、フルタイムのスタッフ2人と私の3人によるミーティングも平均すると週に1度行なわれる。ここでは、担当業務の進行状況などを確認する。私にとっては、この研修に関わるあらゆる質問ができる場でもあり、こういう時間をもてたのは非常に良かった。もちろんこの他にも不明なことがあった場合は、スーパーバイザー、またはもう1人のスタッフにいつでも聞くようにした。

私の担当については、メールチェックなどの日常業務の他に、次に述べる2つの柱となる業務ということになった。

1. 11月20日のThe Transgender Day of Remembrance についてウェブサイトでその歴史的背景、今年各地で計画されているイベントなどを紹介する。

2. メンバーシップ、ウェブサイト、アクトキット、ニューズレター、ファクトシートについて、内容を検討し評価し、12月末までに報告書を提出する。

1. については、リソースが少なかったので、歴史的な背景を中心に紹介した。The Transgender Day of Remembrance は、憎悪による暴力の犠牲になったトランスジェンダーの人たちを忘れないようにする日で、毎年、世界各地で様々なセレモニー、イベントが行なわれている。また、現在AIでは、警察によるトランスジェンダーの人に対するbrutality根絶のキャンペーンをしているので、そのサイトとリンクさせて、署名を呼びかけた。

2. については、現在進行中である。会員に対するケアが充分になされているか、情報がうまく発信されているかを調べることは、私自身が組織を理解することに繋がる。私にとっても意義のあるプロジェクトだと感じている。

3. 会議出席

オフィスでの業務の他に、10月と11月には以下の2つの会議に出席した。

1. Midwest Regional Conference 2006(Chicago)

10月27日(金)〜29日(日)
これはアムネスティ主催によるもので、毎年10月から11月にかけて、各地区(5カ所)で開催される。今回は中西地区オフィスのあるシカゴでの会議に出席することになった。シカゴオフィス訪問も予定した。

2. Creating Change (Kansas City)

11月8日(水)〜12日(日)
これは、ワシントンDCにあるNational Gay and Lesbian Task Force 主催によるもので、全米の活動家が2千人から3千人集まる会議である。この会議では人権の中でも特にLGBTの人権にフォーカスして話し合われる。

1. のシカゴ出張については、以下の通りである。
10月27日(金) 10:30am - 12:00pm
Midwest Regional Office(中西地区オフィス)訪問
まず、会議初日の午前中は、中西地区オフィス(シカゴオフィス)を訪問した。午後から始まる会議の準備で忙しい中での訪問だったが、スタッフ、インターン、ボランティアの方々とお会いし、ニューヨークのオフィスとはまた違ったオフィスの雰囲気を感じることができた。

12:30pm - 3:00pm
The Night Ministry訪問
現在、AIでは、アメリカにおける警察によるLGBT当事者へのbrutality根絶のためのキャンペーンをしている。この出張にあわせて、Lakeview Action Coalition(LAC)というコミュニティ組織グループのスタッフと会うことができた。LACは警察によるホームレスの若者に対する嫌がらせや虐待をなくすための活動をしている。

お会いしたのは、The Night Ministry という組織の方で、ホームレスの若者にアウトリーチをしている。LACによると、彼らがアウトリーチをしているホームレスの若者の60%はLGBTであるそうだ。彼らの警察に対する最近の働きかけや、警察による嫌がらせの新しい事例について話し合われた。数カ月前には無抵抗の若者が警官数名にアウトリーチ担当者の前で殴られるということもあったそうだ。この団体では、毎週火曜日と金曜日の夜に、通りでホームレスの若者たちにスープ、軽食、生活必需品などを支給している。この日の夜に1時間半ほど立ち会って、何人かの若者の話を聞くことができた。

さて、会議では、以下のパネルディスカッションとワークショップに参加した。

10月27日(金)
7:30pm - 9:00pm
Multicultural Program and reception
これは歓迎のレセプションだったが、その中でExecutive Directorのスピーチがあった。「人権を語るとき、除外される人は一人もいない」という言葉が強く印象に残った。

10月28日(土)
9:15am - 10:15am
Opening Plenary
Torture and Interrogation: An Insiders' Perspective
現在のダルフールの状況について説明された。そして実際に夫が拘束され、拷問をうけたという女性の話を聞いた。拷問を受けた前と後では、人格が変わってしまう。家族としての話には胸を打たれた。「このようの状況をなくしていくには、とにかく事実を隠さず公表することが一番大事」と何度も繰り返していた。

10:30am - 12:00pm
Workshops Session I
Video, Film and Human Rights Education

ビデオとフィルムは人権教育として有効な手段である。どのように使用していくのがいいのか。注意するべきことは何か。かつて、アフリカで制作されたSesame Street で、HIVポジティブの人形が登場した時、かなりの論争があった。その時のことを題材にしたThe World According to Sesame Street というドキュメンタリーのクリップを見ながらの意見交換もあった。

1:15pm - 3:00pm
Film Festival
Darfur Diaries” (57 minutes)
3人のフィルムメーカーがダルフールを訪れ、難民や被害にあっている人たちの話を聞くドキュメンタリー。ダルフールの紛争や文化の歴史についても紹介している。

Blood Diamond”, Trailer(2:25 minutes)
レオナルド・デカプリオ主演。アフリカが舞台。ダイヤモンドの密輸で得た資金で武器を調達し反政府行為を続け、国際的な話題になったストーリー。12月8日に全米で公開。

3:15pm - 4:45pm
Workshops Session II
Collaborating with Trauma Survivors in AI Advocacy Work

拷問や暴力のトラウマからのサバイバーをどう支援していくかについてのワークショップである。拷問を受ける前と後では、本人の人格はもちろんのことだが、家族、周りの社会環境、近所の人たちの対応なども変化する。それによって、本人が受ける影響もまた大きい。また、拷問には肉体的なものもあるが、精神的なものもある。精神的なものの方が癒えるのに時間がかかる場合が多いことも忘れてはならない。

ワークショップでは、そのような当事者を招いて講演をしてもらう場合に心がけるべきことなどを学んだ。グループに分かれ、渡されたシナリオについて何が問題なのかを話し合った。

10月29日(日)
8:00am - 9:00am
Roundtable Discussions
Stonewalled
OUTfront Programのスタッフがファシリテーターをした。このワークショップでは、AIの報告書 Stonewalled: Police abuse and misconduct against lesbian, gay, bisexual and transgender people in the US についてと、現在のOUTfront Program の取り組みについて中心に話し合われた。このディスカッションへの参加者は20名ほどで、質問も多く出て、関心の深さが感じられた。

9:00am - 10:00am
Closing Plenary
Crisis in Darfur
ダルフールの現状について、数名の研究者からそれぞれの立場で話がなされた。

10:15am - 12:30pm
Resolutions Voting Plenary
AIでは、組織の方針、運営などについて、会員が提案できるResolution というプロセスがある。ここでは、その提案事項を会員が認めるかどうかを投票して決める。その場は、会員以外の参加者にもオープンにされている。それぞれの事項について徹底的に話し合うという姿勢が印象的で、とても興味深かった。

私にとって、この研修では初めての大きな会議出席であったが、期待していた通り、とても学ぶことが多かった。会場が大学のキャンパスであったこともあり、学生時代に戻ったような気がした。シカゴオフィスのスタッフが中心となって運営した会議だが、至るところで出席者へ気配りされていて、大変参考になった。

2. のカンサスシティ出張についてであるが、詳細については後日報告書で述べたい。5日間にわたる大規模な会議であり、トータルで150のワークショップと14の研修会が行なわれた。20ものワークショップが同時進行する時もあり、どれに参加するかかなり悩むこともあった。情報量は膨大だった。私が参加したものは以下の通りである。

11月8日(水)
9:00am - 6:30pm
People of Color Organizing Institute
様々な人種の人たちとともに活動していく場合に大切なこと。どのようなことを心がけるべきかなどについて学ぶ。

11月9日(木)
9:00am - 6:30pm
The Trans Generation
Developments in Transgender Youth Activism, Service and Culture

トランスジェンダーの当事者たちがパネリストとなり、自分の経験、家族との関係などについての話がなされた。その後、特にトランスジェンダーの若者たちをどのように支援していくべきなのか、について話し合われた。

上記2つは、1つのテーマについて1日がかりで研修をする。いずれも、前半は講師、パネリストによる話があり、その後はグループに分かれてワークショップがなされた。

金曜日以降は、以下の3本のスピーチまたはパネルを聴講し、4つのワークショップに参加し、6本の映画を観た。

<スピーチまたはパネル>
1. Welcome to Kansas City!
  Panel: One movement or Many?
2. Plenary: State of the Movement Address
  by Matt Foreman(ED of the Task Force)
3. Plenary: 25 Years of AIDS

<ワークショップ>
1.True Facts About Anti-LGBTQ Myths
2.LGBT Youth Centers for Dummies
3.Sri Lanka: The War and Its Fallout on the LGBT Community
4.How the Christian Right Promotes Anti-LGBT Politics Internationally

<映画>
1. Shades of Gray
2. Call Me Malcolm
3. Rainbow's End
4. The Same, But Different
5. Screaming Queens
6. Cruel and Unusual

この会議では、参加団体が資料を展示するコーナーが設けられた。AIとして資料を展示し、署名を集めるテーブルも担当したので、休憩時間はそこで参加者へのアウトリーチに努めた。多くの会員、支援者が来てくれ、数多くの署名を得ることができた。直接彼らの声を聞き、AIが多くの人々によって支援されていることを実感した。

4. スタッフインタビュー

インターンの2人をインタビューした。初めに、メールで質問事項を送り、その回答に基づいて話を聞いた。2人とも20代前半の若者ではあるが、国際的な人権問題についての知識があり、しっかりとした考えをもって活動している。1人はドイツで育っており、ドイツのAIオフィス(Amnesty International Germany General Secretariat)でのインターン経験もある。

また、National Steering committee の1人にもメールで質問事項を送り、回答をもらった。

5. 2カ月を振り返って

オフィスの環境に慣れるにはそれほど時間がかからなかった。これは周りのスタッフ、インターンの協力のお陰であると感謝している。到着してまもなく、2つの会議のレジスター、ホテル、飛行機の予約をしなければならなかったのは精神的に大変だった。しかしながら、結果的には、最初の月にアムネスティの会議に出席できたのは、組織を知る上で、とても良かったと思う。多くのスタッフ、ボランティアと会うことができたし、オフィスの中では得られない経験もした。会員制度についても、実際にボランティアのリーダーたちと会えたことによって、より構成についての理解が深まったと思う。

そして、次の段階として、11月にLGBTの人権にフォーカスした会議に出席できたのもタイミングとしては良かった。人権の中のひとつとして、LGBTの人権を考えることができたし、その幅の広さを改めて感じた。アメリカ国内、そして国外のLGBT支援団体についても多くを知ることができた。一度にこれだけ多くの団体の人たちに会う機会はなかなかない。

2カ月の前半は、AIの組織内でAIを理解することに集中したが、カンサスシティでの他の団体主催の会議を通して、AIの存在意義をより強く感じることができた。国際的な人権問題を取り上げたワークショップで、AIの名前が出てくることが何度かあった。また、会員組織の中で重要な役割を持つ、National Steering Committee のメンバーと共にテーブルでアウトリーチができたのも、組織をより深く理解する上で大変良かった。

これからの後半の2カ月は、担当業務はもとより、組織についてより理解を深めていきたい。また、市内にある他の団体をいくつか訪問することも予定している。

 

※本報告内容は、執筆者の見解によるもので、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の公式見解とは必ずしも一致するものではありません。

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