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日米センターNPOフェローシップ 月次報告(2007年1月・12月分)
フェロー:石川 えり

報告書リスト

石川 えり
日米センターNPOフェローシップ(第7期)
月次研修報告書( 2006年12月・2007年1月分)

フェロー: 石川えり
研修テーマ: 難民支援NGOにおけるプロジェクト・マネージメント
研修先: International Rescue Committee (IRC)
研修期間: 2007年1月21日〜5月20日


1.研修内容について

IRCの中で実際の業務(主要なものは難民受け入れの進行管理及び日米NPO交流のためのアレンジメント)に従事しながら、個々の職員の位置づけの理解、統括するマネジメントサイドの役割、事務所全体の情報共有及びマネジメント手法についての理解を深めることを目的とした。
また、実際のIRC内部における業務のみならず、できるだけシンポジウム、ワークショップへの参加、他団体等の訪問も実施してより幅広くNGOについての情報を集めることを心がけた。

2.携わった業務/会合について

1)5種類の難民受け入れ管理に関する業務、及び現地事務所との調整作業の実施

アメリカに受け入れられる難民の全体の調整(割当の確定、地域事務所との調整、入国前手続き、地域事務所での受け入れフォローアップ)を行なう部署にて、特定の国籍の入国手続きの補佐及び、各事務所で割当を決定するための前提となる情報の収集及び調整を行なった。また、特定のニーズを持つ難民の定住に関するフォローアップを行なった。

2)日米NPO交流のためのアレンジ(IRC内外のNGO/関係機関とのアポイント取り)

日米NPO交流で、日本のNPOが訪問する関係機関とのアポイント取り、及びロジスティックをすべて行なった。最終的には難民支援協会東京事務局及びIRC本部のスタッフと連携し、参加者9人分のロジスティック、12機関とのアポイント取り付け及び同行、帰国後のフォローアップを行なった。

3)職員間で開かれるミーティングへの参加

IRCにおいては、All Staff Meeting(毎月)や部門別のスタッフミーティング(毎月)を通じて情報共有等を行っており、それぞれに参加し、日米NPO交流への協力要請や情報収集を行なった。

3.参加した研修、講演会、イベント等

1)難民再定住室(ORR)シンポジウム(1月20日〜23日)@ワシントン D.C.

アメリカ国内において難民の地域統合を支援する保健・福祉省難民再定住室が主催するNGOとの年次会合に参加した。New Generation for Resettlementと題したこの会合は、アメリカが第三国からの難民受け入れを制度化した25周年を記念し、新しい展望を示していくものであった。
この会合においては、全米から州政府担当者、難民自身、NGO等600人を超える参加者があり、IRCも全地域事務所の所長が参加する会議であった。各政府担当者、UNHCR等のトップクラスも参加し、今年度受け入れる難民の特徴、新しいファンドプログラムの説明、現状の課題についての参加者からの質問・意見をふまえたディスカッション等が行われた。とりわけ主催者のORRは就労の重要性を強調しており、ORRがファンドする期間(入国後4〜6ヶ月)にいかに自立(=職を得ること)を達成するかということが強調されていた。これに対して、NGO、とりわけ難民コミュニティ団体からは就労だけの指標だけではなく、定住していくプロセスそのものを見ていくべきではないか?という指摘がなされ、会場からの多くの支持を得ていた。
印象に残ったのは、いかに時間がおしている場合でも、会場からの意見や質問を必ず受け付けるところで、誰でも手を挙げてマイクを取ることができる。(時間の関係ですべてではないが。)政府の責任者トップがまず、指摘されたことを感謝し、丁寧に回答していることに加え、NGOをパートナーと位置づけ、政府の仕事を積極的に協同して担っていこうという姿勢が印象的だった。

2)ワシントンDC事務所主催、各地域事務所代表のためのアドボカシー・トレーニング(1月24日〜25日)

IRCのワシントンオフィスが主催する、アドボカシー・トレーニングに参加した。午後から夕方までの短い時間であったが、様々な機関(政府、UNHCRNGO)の講師が難民の再定住に関する最新の状況、及び国会の動向の分析を行なった。アメリカの国会においては、共和党・民主党ともに党議拘束が無く、各議員が自身の課題に従って、それぞれの法案について賛成もしくは反対を投票するシステムであり、議員個々人へ働きかけていく必要性が強調された。難民・移民政策のためのロビイスト達は、同テーマについての法案に関する議員の投票行動をすべて把握し、表を作成してターゲットを絞り込んでいる。ターゲットとしては常に反対・賛成を明確にしている議員よりも、Swinging(はっきりしていない)議員により強く働きかけていこうという姿勢が見られた。翌日のHill Visit(各地域事務所長が国会議員事務所を訪問する)へ備えて、重要な点としてBriefing Noteが配られ、特に強調すべき点として3点が確認された。

  1. 再定住及び難民認定等を妨げる、非常に広範な「テロリストへのMaterial Support(物資供与)」定義部分の法改正について。
  2. イラクから逃れた難民のアメリカへの受け入れ及び支援を行なうためのUNHCRへの資金拠出。
  3. イラクを含む難民を十分に受け入れ、支援するための予算の確保
    これらの論点の背景説明のため、UNHCR及び政府(難民再定住担当部署)からも担当者が来訪し、IRC事務所にて現状の説明等について講義を行なった。NGOは政府及びUNHCRのための予算獲得についても重要な役割を果たしているということが非常によく理解できた会合であった。
    翌日の25日は、実際に各地域事務所より選出されている国会議員事務所をアドボカシー担当者スタッフ、各地域事務所所長が訪問した。30人以上の議員事務所を訪問し、多くは政策担当秘書が対応した。私はJana Mason氏に付き、3人の議員事務所を訪問した。3人のうち2人の秘書は、「物質供与」の件について初めて知った様子で、テロリストの範囲が非常に広範に定義されすぎており、本来テロリストの被害者まで難民として保護されない状況に対しては非常に関心を持ち、IRCスタッフへ代替案を尋ね、フォローアップを約束していたのが印象的であった。また、初めて訪問する事務所に対しては、IRCからのmonthly briefingの送り先を必ず尋ねており、初めての訪問から次のステップへつなげていこうという姿勢からも学ぶことができた。

3)その他参加したワークショップ等

Workshop for Citizenship (1月27日、IRC NY地域事務所)
Refugee Issues Seminar: A Closer Look at Refugee Resettlement in the US(2月16日、Mailman School of Public Health, Columbia University
The Orison Marden Lecture -The Legal Profession and the Unmet Needs of the Immigrant Poor (2月28日、New York City Bar )
The Protection and Reproductive Health Needs of Refugee and Internally Dispaced Women and Girls (3月2日、Organized by Christian Children' Fund, IRC, Women's Commission for Refugee Women and Children, @ Church Center)
Briefing from the Field (3月6日、IRC HQ)
EMPIRES OLD & NEW:Feminist Perspectives A panel discussion with Elizabeth Castelli, Kim Hall, Natalie Kampen, Anupama Rao, & Neferti Tadiar (3月21日、The Barnard Center for Research on Women)

4.自身が企画に関わった行事

1)ブラウンバッグランチ にて全体パワーポイント作成、プレゼンテーションを実施(1月29日)

日米交流についての全体像と今後の展望について、IRCスタッフ2名とともに、発表を行なった。発表に際して、共同でPPTを作成し、当日は緑茶とおせんべいを参加者へ配った。Senior Vice Presidentも司会として終始ディスカッションに参加し、参加したスタッフからは日本及びNGOの現状について色々な角度からの質問がなされた。フェローシップを始めるにあたり、大変良い自己紹介となった。

2)日米NPO交流

3月11日〜18日まで、日米NPO交流の一環で、添付ファイルのNGO及び機関訪問のすべてのコーディネート(一部同行)をIRCスタッフと協同で行なった。IRC内部の会合では、Director, Senior Vice President, Vice Presidentらの上級職員の出席を得ることになり、企画書作成やタイムテーブルの作成、ランチ・部屋の手配等のロジスティックもあわせて実施した。また、他団体の訪問においてもアポイント取り、交通手段の手配、訪問先での趣旨説明やディスカッションの設定、(必要に応じて通訳)等を行なった。日本からは9名の参加があり、またテーマに応じてグループを分けたため、同時に2グループのアレンジ等が必要でロジスティックの課題が大きかったが、特に問題もなく終えることができた。

5.関連職員へのインタビュー

1)ジェンダーに基づく暴力(GBVプログラム)担当職員

GBVプログラムの概要及び、被害者の保護及び防止についてのプログラム実施について意見交換。日本でも同様の取り組みがあることを説明し、今後の連携の可能性を検討した。

2)Commission for Refugee Women and Children

MISP(Minimum Initial Service Pack for Reproductive Health)についての概要説明と、現場でのGBV防止及びプロテクションの実施についての重要性について、意見交換。国際的に発表されているプロテクションに関するガイドラインについて、現場レベルですぐに実施できる実用的なものとするために必要なステップ等について話し合った。日本のNGOによるプロテクションについての取り組みも紹介し、日本のNGOが中心となって作成したガイドラインを提示、意見をもらう。

6.他機関の訪問

1)My Sisters' Place

2月13日訪問。DV被害者のための生活及び法的支援の提供を行なうNGOGrant WriterMedia Relations担当のEllen Waldman氏と面会。ファンドレイズやGrant Writing、情報発信における写真の取り扱いについての意見交換を行なう。

2)Catholic Charities

2月12日訪問。事業概要について意見交換を行なったほか、NPO交流についての協力依頼を行なった。

3)上記に加えて、日米NPO交流の一環として9つのNGO/機関を訪問した。

7.研修を通じての気づき

1)難民が活躍する事務所

業務を開始してすぐに、事務所で活躍する(元)難民の多さに驚いた。現在の部署は5人のスタッフが手続きのコーディネートを行っているが、全員が元難民(もしくは両親が難民)という経験を持つ。とりわけ、出身国の言語について堪能であるため、渡米を控えた(もしくは渡米直後の)難民と支援関係者をつなぐ貴重な存在である。また、難民の抱えている背景を非常に良く理解していることが、採用される背景としてあることが伺えた。これは、IRCのみならず、他のNPOでも同じ傾向であり、難民のもつ能力を積極的に活用していくNGOの姿勢が理解できた。勤続年数も20年〜30年と非常に長く、社員からも一定の信頼を集めている様子が理解できた。
日本においても、難民の一番の理解者である難民自身が支援できる仕組み作りがどうあるべきかについて考えさせられる良い機会となった。一番の難関は日本語の習得だと思う。

2)「合理的な」事業体としてのNGOの選択

複数の団体での訪問・意見交換を通じて、アメリカの難民支援に関するNGOの多くが、事業体として非常に合理的な選択を行っていることを実感した。多くが連邦政府/州政府からの資金援助によって事業を行っており、その割合は5割を超える。そのため、公的資金援助が得られる事業のみを行なうという傾向が強く、ファンドがつかないがニーズがある分野に対しては、自身で民間からファンドレイズをしてまで実施するという取り組みをしているNGOに出会うことはなかった。アメリカは優遇税制の仕組みが(日本と比較して)容易であるので、政府が資金援助をしない多くの分野についてもNGOが自身で民間からファンドを集め、ダイナミックに事業を展開しているであろうという予想とは大きく違う実態であった。
その「合理的な」選択には驚かされると同時に、問題提起をしようとも考えた。
関係者に会うたびに、自身が所属する難民支援協会の取り組みを紹介し、ニーズに答えるために民間から資金を集めている実情を紹介し、そういった活動をするように勧めることを続けた。これは驚きを持って受け入れられたと考えており、少しでもこのような考え方が関係者の意志決定に影響を与えることができたらと考えている。

3)自立を重んじる社会制度

NGOというよりは、社会保障政策として「政府資金を極力使わずに自立を実現する」という傾向が強く見られ、それが現在の難民支援においても非常に特徴的に表れている。難民支援のNGOは、いかに早期に自立を実現するかという点に非常に集中しており、企業との様々な連携が模索されていることは印象的だった。アメリカに再定住する難民の航空券についても借金としてまず難民自身に貸し付ける制度にも非常に驚き、「自立」を重んじているということが理解できた。

4)政府とNGOの関係

政府主催のシンポジウム及び政府関係者との意見交換を通じて、その合理的な事業マネージメントとオープンさに感銘を受けた。とりわけ資金援助については、申請は比較的容易であるが、明確にゴールが定められており、確実にそのゴールを達成することが資金援助を受けたNGOに求められている。例えば、保健・福祉省難民再定住室が実施している「マッチング・グラント」に関していうとNGOが1ドルファンドレイズをすると連邦政府側が2ドルを払うという仕組みになっている。NGOは1ドルのうち8割程度をボランティア・物資の提供等で担うこともでき、民間の多様な資源を投入しなくてはいけない。また、資金提供を受けたNGOは7〜8割の自立(=就職)の達成というゴールを必ず毎年達成しなくてはならず、これを達成できない場合は資金の返却や翌年度の契約において非常に不利となる。政府の仕事というのが非常に合理的かつ明確に定められており、プログラムの立案、NGOへの資金提供、モニタリングという部分に徹しているということが理解できた。このルールの透明性、公正さについては非常に感銘を受けた。

 

※本報告内容は、執筆者の見解によるもので、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の公式見解とは必ずしも一致するものではありません。

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