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日米センターNPOフェローシップ 月次報告(2007年10月・11月)
フェロー:藤原 航

報告書リスト

藤原 航
日米センターNPOフェローシップ(第8期)
月次研修報告書(2007年10月・11月分)

フェロー: 藤原 航(市民社会研究所 研究員) 
研修テーマ: 自立的なNPOセクターの環境整備に関して
研修先: Common Ground Community
研修期間: 2007年10月1日〜2008年6月30日


研修に関して

私はこの2カ月間、主として1.監査用のサービス品質管理書類作成、2.新規事業関連のミーティングへの参加、3.スーパーバイザーを始めとした管理職クラスへのインタビュー、4.その他施設視察や新人研修への参加を行ない、a.ホスト団体のサービス詳細、b.組織の仕組み、c.取り組む社会問題 の三点に関し、理解を深める事に注力を注いだ。

今回は研修を通じて理解をしたアメリカにおけるホームレス問題とその解決手法である住宅供給のあらましに関して報告をする。

コモングランドコミュニティについて

私の研修先団体であるCommon Ground Community(以下CG)は、1990年にニューヨーク州ニューヨーク市(以下、NYC)に設立されたホームレス問題に取り組むNPOである。ミッションは非常にシンプルで、“to end the homelessness” 、すなわち「ホームレス問題を終わらせること」である。

事業は主として、ホームレス支援としての1.住宅供給(開発を含めた)、2.自立支援のためのケアマネージャー派遣、3.その他、調査・研究・技術開発で構成されている。

ホームレスへのサービスを行なう活動範囲はマンハッタン区のミッドタウンと呼ばれる42番街から59番街のエリアを中心に、クイーンズ、ブルックリン両区全域を始め、近隣の州へもその範囲を広げ始めており、現在NYCは元より、全米における最大の住宅供給団体である。またオーストラリア、カナダなど15を超える他州、他国のホームレス問題に取り組む団体等への技術協力も行なっている。

ホームレス問題の現状

全米には74万人を超えるホームレスがいると推定されており*1、人口が1,900万人とされるニューヨーク州には、全米ワースト2位の、 6万人ものホームレスがいる。CGのサービスを行なうNYCにはその80%を超えるおよそ4万8000人超のホームレスが存在している。

ホームレスは不況による失業を始め、政府の住宅政策の失敗、退役軍人、サブスタンス(アルコールやドラッグ)常用者、仮を含めた出所者、HIV感染者、児童養護施設からの退所など様々な原因の下で発生し、上記に列挙した区分が組み合わされたケースや、上記以外の原因の場合もあり、個人によって様々である。しかし、これらの人々の全体の3割を占める長期路上生活者(クロニック・ホームレス)を中心に言えることは、ほとんどのホームレスが精神的・医療的ケアを必要としており、また、多くの人が自分の場所、すなわち家を持つことにより、安心を手に入れたいと思っている。

*1= National Alliance to End Homelessness. “Homelessness Counts”, 2007

高コストの行政サービス

冬期をはじめ、路上での生活は市民の生命にかかわる問題であると同時に、頻発する健康状態の悪化、サブスタンスによる意識低下などにより、急患を受け入れている私立・公立の病院を始め、シェルターと呼ばれるホームレスの緊急避難場所、その他ホームレス保護にかかる行政コストは少なくない。事実、ホームレスが利用する拘置所、刑務所、シェルター、精神病院、その他の病院における1人あたりのコスト比較をすると、コストの最も低いシェルターで1日あたり$54.42、最も高い病院に至っては1日あたり$1,185コストがかかると言う調査*2が出ている。その結果、政府機関とNPOを中心とした民間部門が協働した「サポーティブ・ハウス」(Supportive House)と呼ばれる住宅供給と自立支援サービスをセットにしたものが、解決策として登場してきた。

*2= The Lewin Group. Costs of Serving Homeless Individuals in Nine Cities,

CGの住宅供給とサービス

CGではサポーティブ・ハウスとして、マンハッタン区中心部にある使われなくなったホテルや提供されたアパートメントビル(日本で言うマンション)等を買収、または管理委託を受け、内装を中心に改装した家具付き集合住宅(Partnered Housing Buildings、以下PHBs)をおよそ1,600戸以上と、同じくマンハッタン区を中心に、市内に点在する空きアパートメントを利用した分散住宅(Scatter Site)をおよそ40戸の、2種類の住宅供給サービスを提供している。

入居審査はケースワーカーによる書類審査・個別の面接を通じ、自立意志の確認、または政府からの助成金プログラムの基準等を確認し、問題がなければ個室住宅が供給される。基本的に賃料はその人の収入の3割と定められており、入居時点から「ホームレス」ではなくなり、“Tenant”(テナント、入居者)、または“Client”(顧客)と呼ばれるようになる。

CGの住宅供給に対する特徴的な考え方として、「可能な限り美しい住宅を提供する」事としている。事実、PHBsはどの施設もNYCの中心部にあり、構造物自体も旧来高級ホテルだった建物や、バブルの遺産とも言うべき豪華で買い手が付かなくなった不動産であり、またそれに加えられた リノベーション(改装)も美しい。これは、決してCGが豪華主義、資金に余裕のある団体であるという理由ではなく、「1人の人間が自立し、二度と路上で戻る気持ちにならないために必要」と考えているからである。また、部屋を訪れた友人(ホームレスだった入居者の友人もまた、そのほとんどがホームレスである)に対しても、「個室」、「美しい内装」、「格式高いエントランス・ロビーや装飾などの付帯設備」、そして「玄関の24時間セキュリティー・ガードマン」という美しく且つ安全な環境が、路上生活からの脱出の動機付けとなるというサイド・エフェクト(副次的効果)も狙っている。

 

※本報告内容は、執筆者の見解によるもので、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の公式見解とは必ずしも一致するものではありません。

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