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NPOフェローはいま
「ヒューマン・ライツ・ウォッチの東京事務所を立ち上げて」

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「ヒューマン・ライツ・ウォッチの東京事務所を立ち上げて」

ヒューマン・ライツ・ウォッチ
東京ディレクター 土井香苗
                             第7期(2006年度)NPOフェロー


2006年9月から10カ月間、国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)のニューヨーク本部で、フェローとして活動する機会をいただきました。このフェローシップは、私の人生を大きく変えてくれました。

HRWは、アムネスティ・インターナショナル(本部ロンドン)とならんで、世界の二大人権NGOのひとつ。世界80カ国の人権状況をモニターし、世界的な影響力をもっています。私の研修の大きな目的は、HRWの資金基盤とファンドレイズ手法を学ぶこと、そして、アドボカシー(政策提言とロビーイング)手法を学ぶこと。

フェローシップの最中には、HRWから学んだファンドレイズとアドボカシーの手法は、当時、私がボランティアでかかわっていた日本のNGOヒューマンライツ・ナウの活動に役立てようと思っていました。しかし、それだけでなく、まさか、将来、自分がHRWを日本に上陸させるとともに、日本法人を設立してこれを率いることになるとは思ってもいませんでした。

HRWニューヨーク本部オフィス前にての写真

HRWニューヨーク本部オフィス前にて

大変幸運にも、私は、2007年にNPOフェローシップが終わって東京に戻ってくると同時に、HRWのコンサルタント(パートタイム)となり、2008年9月には、東京ディレクター(フルタイム)となることができました。HRWの求人に対する倍率は平均300倍と言われています。夏休みのインターンさえ倍率は100倍近いものです。私が「大変幸運にも」HRWのスタッフになることができたと説明した意味がおわかりいただけるのではないかと思います。 

そして、今年(2009)年4月、1年半の準備期間を経て、とうとう、HRWの東京事務所を設立。本格的に、NPOフェローシップで学んだファンドレイズとアドボカシーを日本で実行に移しています。(日本のNGOヒューマンライツ・ナウには、引き続き、理事としてかかわり続けています)

■ファンドレイズ

HRWは、世界各地に、約300人のフルタイムスタッフを有し、年間40億円程度の寄付・助成をうけて運営されています。独立性を保つため、プライベートな資金しか受け付けず、政府からの助成は直接にも間接にも受けません。寄付・助成金の半分以上は、年間に10万ドル(約1千万円)を寄付している大口寄付者からの寄付となっています。つまり、HRWのファンドレイズ戦略は、主に、大口寄付者にターゲットを絞ったものとなっており、年に1度、11月に欧米の世界各地で開催されるディナーは、一晩で億を超える金額をファンドレイズする都市もあるなど、ファンドレイズの中心的な仕組みとなっていました。

私は、かねてより、日本の市民社会セクターの最大の弱点は財政基盤が弱すぎることだと考えていました。財政基盤さえしっかりすれば、もっと質の高いプロダクトを生むことができるとともに、影響力を増すセクターになれると考えています。そんな私にとって、大口寄付者(多くの場合は、成功したビジネスパーソンたち)を主なターゲットにすることや、一席10万円もするディナーというHRWの仕組みは、日本にいたころは考えたこともなく、大きなショックを受けました。

2009年4月のHRW東京オフィス開設記念チャリティーディナーの写真

2009年4月のHRW東京オフィス開設記念
チャリティーディナー (六本木ヒルズクラブ)

HRWを日本に上陸させることを目指して活動を開始するにあたり、日本でも、ビジネスパーソンたちにHRWのご支援をお願いしはじめました。幸いなことに、マネックスグループの松本大社長をはじめとする日本のビジネスパーソンたちのご支援をえることができ、2009年4月、HRWの東京事務所開設にこぎつけることができました。また、ニューヨークで度肝をぬかれたディナーについても、2009年、とうとう、第一回を東京で開催することができたのです。

HRW的ファンドレイズ手法の日本への適用はまだ始まったばかりですが、日本の市民社会に、新しいファンドレイズの手法を根付かせるべく、今後ともがんばっていく所存です。

■アドボカシー(政策提言・ロビーイング)

さらに、ニューヨークでは、HRWのアドボカシーにも、度肝を抜かれました。まず、世界各地で進行中の危機について、専門家のリサーチャーたちからの情報インプットを中心に、刻一刻と、詳しい情報が組織内でシェアされています。おそらく、世界で最も詳細で質の高い人権情報がシェアされている団体だと思います。政府も持っていないような情報をもっているからこそ、世界のポリシーメーカーたちから、重宝されているのだ、と合点がいきました。情報を世界各国の政府にブリーフィングし人権問題解決のための政策を提言する際には、世界各地の首都にいるアドボカシー担当スタッフ(アドボケットと呼ばれています)たちが、世界各地で連携しながら同時にアドボカシーをします。その世界的なネットワークと機敏な連携にも驚かされましたし、世界各地のアドボケットたちが、各国の政府や政治家、メディアに深く食い込んでいるプロ中のプロのロビイストであることにも大変驚かされました。日本では、まだ、アドボカシーが根付いていないことはもちろん、アドボカシーという概念自体がまだ理解されていない状況ですし、霞ヶ関をしのぐ情報を持ち、世界的なロビーイングを行なえる能力のある独立したNGOは存在しないといっても過言ではない状態ですから、私が、ニューヨークでの研修でいかに度肝を抜かれたか、きっとおわかりいただけると存じます。

今は、HRWの東京ディレクターとして、HRW式のアドボカシーを東京で実践しはじめています。HRWの持つ質の高い情報を駆使しながら、外務省や国会議員たちにロビーイングを行なうと共に、メディアにも情報提供をしています。また、HRW単体でアドボカシーを行なうよりも、他のNGOとも共同でアドボカシーを行なうほうが有効な場面も多くありますので、関係する日本のNGOに働きかけて一緒にアドボカシーをすることも多々あります。結果的に、HRW式アドボカシーを、日本のNGOにも共有していただくきっかけになっているのではないかと思います。

今後も、こうした活動により、日本の市民社会の中で、アドボカシー、とくに、外交政策に対するアドボカシーが根付いていくよう、努力して参る所存です。日本の人権NGOがよりしっかりしたアドボカシーを外交政策に対して行なうようになって、日本の外交が人権を重視しはじめれば、世界中の被害者を傍観するのではなく、保護するために動き出すようになります。そうなれば、理不尽な人権侵害に苦しむ世界各地の多くの人たちにとって大きなひかりになると思います。この目標の達成にむけて、HRW本部で学んだファンドレイズとアドボカシーを、日本でさらに進めて参りたいと存じます。

◆関連のウェブサイト


※本報告内容は、執筆者の見解によるもので、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の公式見解とは必ずしも一致するものではありません。

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