本文へ 日米センター(CGP)は日本とアメリカにて、助成、フェローシップ、ボランティア、人物交流、情報発信を行なっています。
国際交流基金 日米センター
CGP NY | 国際交流基金 | English | サイトマップ
トップページ
日米センターとは
公開イベント
団体で助成金をお探しの方へ
個人向け支援・ボランティアの機会をお探しの方へ
安倍フェローシップ
日米パートナーシップ・プログラム
Japan Outreach Initiative
NPO フェローシップ
CGPの人物交流事業
情報室(刊行物、寄稿など)
アクセス
お問合せ
FAQ
更新履歴
日米センター公募助成プログラム
CULCON(カルコン) 日米文化教育交流会
メール配信サービス
コラムス
個人向け支援・ボランティアの機会をお探しの方へ

 

NPOフェローはいま
「できない言い訳を探さずに」

>>NPOフェローはいま」一覧

「できない言い訳を探さずに」

フィリピンの孤児を支える会 代表
社会的ひきこもり家族自助会とやま大地の会 代表
山のたまり場 野良里 管理人
井波 純子
第1期(2000年度)NPOフェロー


2000年度のNPOフェローとして渡米したのが、2001年3月でした。帰国してからこれまでの7年間、非営利の社会活動として私が何をしているのかお話しします。といっても、私の暮らしの中で、一人ではできないけどあったらいいな、と思うことを回りの方々にお声をかけて一緒にやっているだけのことです。「NPO活動です!」、と胸をはって言えることではありませんが、地域には、小規模な社会活動の機会がたくさんある方が生きやすいのではないかと考えており、私の立ち位置はそこにあると思っています。

米国研修中に出会った人たちの草の根活動は、小さくは、タバコの吸殻ポイ捨て撲滅や民族のアイデンティティー確保のための劇団、ペットの里親探し、少し範囲が広いのは、同性愛者の人権、ホームレスや障害者他の生活弱者のためのホーム提供と自立支援、精神障害者家族会、そして不特定多数のための放送番組のモニタリング。そんな人たちのやり方に倣ったことがたくさんあります。「できない言い訳を探さず、やるべきと思ったことを実行する。」というのがそのひとつです。

それを肝に銘じて、現在『フィリピンの孤児を支える会』と『社会的ひきこもり家族自助会とやま大地の会』の代表として活動しています。また、山中の廃屋を手に入れ、そこを拠点に放棄された田畑、山林に少しずつ手を入れ始めました。そこを『野良里』と名づけ、自分の体と時間をしっかり使った暮らし体験ができる場として、誰にでも来てもらえるようにしました。

『フィリピンの孤児を支える会』

NPOフェローの写真1フィリピンの孤児を支える会は、1997年3月に発足し、今年(2008年)12年目にはいりました。一孤児院(50名〜90名の孤児。運営資金の集まり具合で子どもの受け入れ数に変動あり)の養育費支援をしてきました。この間、孤児院を離れ、職業訓練や大学に進むまでに成長した子たちがおり、確実に自立に向かっていることに喜びを感じています。寄付は、私の知り合いとマスコミに取り上げられた際に賛同してくださった方々合わせて200名ほどから寄せられています。その年によって違いますが、年間100万円くらいの支援ができています。これは、孤児院で必要な主食代に相当する額です。昨今の値上がりで今年は米代も不足しています。

NPOフェローの写真22007年10月からは、ルソン島ラグーナ州サンパブロ市の小学校の分教場の識字と栄養支援も開始しました。この分教場は、ゴミ捨て場に住むこどもたちのためのものです。生活に必要なものは、食べ物を含めて、そこに集まる廃棄物の中から得ています。

住環境を向上させる第一歩として、リサイクルできるものをゴミ山に運ぶ前に回収するシステムをつくり、ここの住民がそのシステムに従事し、生計が立てられるようにできないか提案しています。すぐには実現しそうにないのですが、住民たちが協力し合ってよりよい方向にもっていけたら、と願っています。現地の行政やNPOも生活向上を模索していますが、計画と実行の間には、乗り越えなくてはならないいくつもの壁があります。 NPOフェローの写真3

ここでの活動のために、マニラに事務所を開設しました。日本とフィリピンの両方で運営資金を調達するためです。また、常時現地の実情とニーズをつかんでおくためには、頻繁に現地訪問をすることが必要で、そのためにも現地スタッフの存在は欠かせません。幸い、25年来の友人がマニラに在住しており、彼女も地域支援をしたいと思っていた矢先だったので、共同で活動することにしました。まだ立ち上がったばかりですが、学力不足のこどもたちの夏休み補習授業と給食を実行することにしました。トイレと給食調理室も建てる予定です。調理は、親が交替で担当する予定です。建築も親に頼むつもりでいます。人件費は、当会が負担します。現地の行政や社会奉仕団体とも協力しあって、今のこどもたちが成長したときには、人間の尊厳をそこなわない暮らしができるようになっていることが目的です。この新しい活動のために、年間の支援額を増額しなけNPOフェローの写真4ればなりません。

お米や文房具を買うお金をあげるだけではなく、国際協力は心のつながりも大事にしたいと思っています。そこで、4年前から、ささやかな音楽の交流を始めました。知り合いのプロのミュージシャンとともにフィリピンの孤児院の子どもたち、そして離島の人たちとの合同音楽会です。最初は、フィリピン在住の日本人が中心に準備してくれて、ボホールの高校と文化センターで開催しました。600人以上が集まって楽しい音楽会になりました。もちろん私たちが支援する孤児院でも、訪問のときは夕食後は音楽会になります。昨年、フィリピン行きに同行してくれたシンガーソングライターは、ゴミの山に住むこどもたちのために曲をつくってくれました。それにタガログ語の歌詞をのせて、プレゼントする予定です。こどもたちにはまだ内緒です。

『社会的ひきこもり家族自助会とやま大地の会』

私の娘が心に不調をきたした当初、助けを求めて東奔西走しました。残念ながら、適切に対応してくれる機関(精神医療機関を含む)も人もみつからず、親としての苦しさを自分の胸におさめておくしかありませんでした。それがおさまりきらなくなり、新聞に2行のおしらせを載せました。「子がひきこもっている家族の方、集まりませんか。」と。それに応えて集まった人は30人。すぐに「毎月集まりましょう。」と全員一致で家族会が発足しました。2001年3月、私が渡米する直前でした。帰国してから私が代表となり、これまで、月例会と月報を欠かさず継続してきました。特に広報はしていませんが、現在50名の会員がいます。月例会では、話し合いや情報交換、関連映画上映、講演会、訪問サポート士養成講座などを行なっています。残念ながら、「親の育て方が悪い」という世間の目は、ひきこもりがちな青少年の犯罪が報道されるたびに強くなるように感じています。親はそうでなくても自責の念が強く、さらに世間の不適切な批判に苦悩は深まる一方です。行政も動いてはいるのですが、この問題は歴史が浅く、これといった解決策がまだみつからず、個々に試行錯誤を重ねている状況です。その試行錯誤がジグソーパズルの1ピースとなって、それが組み合わさってやがて全体の解決策が現れることを強く望んでいます。それまで、親の会では、決してあきらめずに前に進み、親も子も活き活きと生きられるよう助け合い、励ましあっています。

山のたまり場 『野良里』

夫の定年後は、二人で山奥で晴耕雨読の生活がしたいとかねがね思っていたので、廃屋を探していました。夫の定年にはまだ少しありますが、4年前知り合いの空き家を譲ってもらえました。老夫婦家族一軒を残すばかりの廃村寸前のところでした。回りの田畑は荒れ放題で、植林された杉林も放置されています。まず、家の改修を始めました。知り合いが聞きつけて、一緒にやってくれました。すっかり片付いて空っぽになった家に、自宅で不要になったまだ使える家具を運び込んでくる知り合いもいました。台所用品もつぎつぎに集まってきました。あるホテルが捨てると言った大量の寝具をもらいました。住めるようになると、小学生のグループ30名がCD制作を名目にお泊まり会をしにきました。都会のご家族が夏休み2週間、山暮らし体験をしました。ピースウォークのために数カ国から来日した若者たちもここで静かな2日間を過ごしました。フリースクールの子達がお昼ご飯を食べに来ます。伸び放題の木々の剪定や薪づくりに、定年退職後のおじさんたちがきます。自然農法まがいの方法で、野菜や米もつくり始めました。私が知らない間に畑を耕してしまってくれる人もいます。種や苗を玄関前に置いて行く人もいます。『フィリピンの孤児を支える会』の協力者たちがそば打ちをしたり、山菜を食べに来ます。ひきこもりがちな若者が「人に会わなくてもいいから」と『野良里』に昼寝に来ることもあります。ひきこもり親の会で昼食会や農作業をすることもあります。大学生のバンドが狸やカモシカを観客にリハーサルをします。森のコンサート、合宿、山歩きのベースキャンプ・・・自然発生的にいろんな人がここを利用するようになりました。声高に叫ばなくても、自然と命の大切さを実感し、環境問題の深刻さを理解し、心の平安が得られる場所になっているようで、嬉しいです。


※本報告内容は、執筆者の見解によるもので、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の公式見解とは必ずしも一致するものではありません。

Top

TOKYO OFFICE
国際交流基金(ジャパンファウンデーション) 日米センター
160-0004 東京都新宿区四谷4-16-3
Tel (03)5369-6072 Fax (03)5369-6042
NEWYORK OFFICE
The Japan Foundation Center for Global Partnership, N.Y.
1700 Broadway, 15F, New York, NY 10019, U.S.A
Tel (212)489-1255 Fax (212)489-1344