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NPOフェローはいま
「長期的視野をもった教育活動の推進」

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「長期的視野をもった教育活動の推進」

(特活)開発教育協会 事務局長
中村絵乃
第6期(2005年度)NPOフェロー

第6期フェローとして2006年1月より1年間、ニューヨークのNPO「モーニングサイドセンター〜社会的責任を教えるために(以下モーニングサイドセンター)」(*1)でNPOの組織強化と国内の教育活動をテーマに研修の機会を得ました。私の所属団体、(特活)開発教育協会(*2)は、日本における開発教育(地球市民教育)の普及・推進を目的に活動していますが、日本の学校教育では主要教科以外の教育活動は重視されず、総合学習やゆとり教育への批判とともに、開発教育への関心も低下傾向にありました。そこで、低学年からの児童・生徒を対象とした「コミュニケーション力」や「問題解決力」の獲得を目的とする「対立解決教育」がどのように組み立てられ、学校教育にも受け入れられているのか、と、国内の教育を扱うNPOの組織運営について学ぶことを目的にしました。

研修では、実際に小・中学校に足を運び、NPOスタッフの働きを観察する中で、プログラムを学校に根付かせる攻略と具体的な方法を学びました。また、他の教育団体との協同や政策提言などを含めた長期的戦略、資金調達の工夫や、理事会運営など組織基盤強化についても貴重な学びがたくさんありました。それらは、現在の活動に活かされていると感じます。

1) 中期方針の策定
中期方針検討委員会の様子の写真

中期方針検討委員会の様子

2007年1月に帰国し、開発教育協会の事務局次長として組織運営にも積極的にかかわることになりました。2007年4月より中期方針策定を役員やスタッフと共に1年間かけて行ないました。2008年から2012年の5年間に組織や活動をどのような形にしていくかをじっくり話し合いました。2007年12月に設立25周年を迎えたこともあり、社会状況や会員のニーズの変化なども感じていたので、改めて当会の役割やミッションを認識し、その上で新たな方向性を作っていくための取り組みでした。会員や役員にアンケートやインタビューを行ない、当会の役割への期待や意見をまとめ、最終的には5つの方針に落とし込みました。その作業も米国で学んだことが活かされていたと思います。特に方針2の「学校教育への開発教育モデル事業の提案」は、今まで開発教育が長期的にプログラムを提案できていなかったという反省が背景にあります。具体的な事業計画のなかには「対立解決教育」の実施も含まれています。

2) 協力体制の強化
モーニングサイドセンターの理事会を傍聴させてもらい、感じたことは、理事が明確な役割を認識し、建設的な協力体制ができているということでした。帰国した2007年度はちょうど理事・評議員改選の時期でもあったので、候補者選考委員会などでも、役割を見据えた人選を進めました。忙しい方が多い中で、それぞれ中期方針のひとつの柱には関わってもらえるような人選をし、積極的にそのことを伝えました。前任者の移動により、2008年4月からは事務局長に就任しました。組織の情報共有を積極的に行ない、理事や他の役員に具体的な協力の要請をすることで、協力体制が強化されつつあると感じています。

3) 対立解決教育の推進
2007年5月より6回連続で「対立解決教育研究会」を開催しました。参加者は教員やNGOスタッフなど様々で、関心の高さが伺われました。ただ、米国の社会を反映したプログラムなので、日本でも活用しやすいプログラムの開発が求められました。より日本的なプログラムの開発・促進を目的に、現在当会の内部に「対立解決教育研究会」を立ち上げ、研究会や研修会を定期的に行なっています。2007年8月には、国際交流基金日米センターの助成金を得て、モーニングサイドセンター事務局長のトム・ロドリック氏を日本に招へいし「開発教育全国研究集会」では基調講演をお願いし、その後2日間のワークショップを開催しました。この招へいは日本に米国のNPOや対立解決教育の現状を伝えると共に、ロドリック氏をとおして米国に開発教育や日本のNPOの状況を伝えることも目的のひとつでした。労働環境も設備も整った米国のNPOと比べて、脆弱な基盤ながら、大勢のボランティアが関わっている日本のNPOを見てほしかったこともありました。また、フェローの時に散々話していた開発教育や国際的視野を教育内容に取り入れる意義も実感してほしいという願いがありました。ロドリック氏はとても熱心にワークショップや分科会に参加し、ボランティアスタッフとも話をし、帰国後はその内容を会報に細かく報告していました。

対立から学ぶワークショップの写真

対立から学ぶワークショップ

07年8月のワークショップの報告として、『対立から学ぶワークショップ報告&アクティビティ集』(*3)を作成しました。また、研究会主催のワークショップは07年8月以降、4回開催しています。そのほか、講師派遣の依頼も増え、静岡、沖縄、京都、大阪、金沢、横浜、仙台、と様々な地域に出向き、ワークショップを行なう機会を得ました。さらに09年3月にはモーニングサイドセンターが作成した『Resolving Conflict Creatively』(*4)の翻訳本『創造的に対立解決 〜教え方ガイド』(*5)を作成しました。本誌が完成したことで、プログラムの全体像を広く共有できるようになりました。

現在は、より長期的なプログラムの提案、そして学校における研修の可能性を探っています。モーニングサイドセンターで実施していた、包括的かつ長期的な戦略を参考にしています。

4) 協同して社会を動かす
モーニングサイドセンターが、他の教育団体や研究機関と共に「社会的感情的学習」の推進を進め、政府に働きかけていることがとても印象的でした。そこまで大きな活動はまだできてはいないですが、最近、ESD(持続可能な開発のための教育)やMDGs(ミレニアム開発目標)など大きなテーマについて他団体と協同する機会が増えており、広い視野で教育や活動をとらえていく必要性を感じています。他団体、他分野との協同・連携を通して、社会をより公正で持続可能な方向に動かしていきたい、と考えています。

  1. Morningside Center Teaching for Social Responsibility www.morningsidecenter.org
    研修時はEducators for Social Responsibility Metropolitan Area (ESR Metro) 2007年1月に名称を変更した。
  2. (特活)開発教育協会
  3. 『対立から学ぶワークショップ報告&アクティビティ集』(特活)開発教育協会、2008
  4. Resolving Conflict Creatively - A Teaching Guide for Grades Kindergarten Through Six 1997, Morningside Center for Teaching Social Responsibility
  5. 『創造的(クリエイティブ)に対立解決—教え方ガイド』(特活)開発教育協会・立教大学ESD研究センター、2009

※本報告内容は、執筆者の見解によるもので、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の公式見解とは必ずしも一致するものではありません。

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