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NPOフェローはいま
「新たなパブリックセクター・シビルソサエティの構築へ(NPOを超えて)」

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「新たなパブリックセクター・シビルソサエティの構築へ(NPOを超えて)」

NPO/NGOWALKER発行人
大阪経済大学客員教授・日本NPO学会理事
元尼崎市参与
末村祐子
第1期(2000年度)NPOフェロー

応募の動機

私は2001年4月から1年、United Way of New York City(UWNYC)Agency Service部門にあるManagement Assistance ProgramMAP)に在籍させていただきました。United Wayは、アメリカ全土に拠点を持つ、非営利組織のための資金調達機関ですが、MAPは資金提供を受けた団体のマネジメント力の向上のためにコンサルテーションサービスを提供するもので、1998年に始まったばかり、古い歴史を持つUWにとって実験的な意味合いも持つ事業でした。

私のNPOとの出会いは1993年のカナダでしたが、それからフェローに参加するまでの10年弱の間に、日本のNPOを取り巻く環境は大きく変化しました。阪神・淡路大震災を経験し、NPO法の施行を経て、NPO法人格の取得数はうなぎ上り、全国に官民双方による中間支援団体も設立されるなど、急速な広がりを見せていましたが、日本社会の構造的な変化や、先進諸国でのNPO台頭の背景を考えると、将来の日本社会やNPOセクターの青写真を市民自身が考えなくてはならない時期が遠からず来ているように感じていました。日本に居ても現場と学問、両方の場から、民間助成財団、資金調達機関、インターミディアリー組織、税制、ファンドレイザー、アドボカシー、etc、アメリカにおける非営利セクターの情報をこま切れには得ることはできましたが、そのうちにアメリカのNPOの現場とともに、国や社会におけるNPOといった全体像について理解したいと思うようになりました。現場の課題は?様々なマネジメントの局面や技術は?社会全体のガバナンスは?こうしたことへの関心がフェローへの応募動機でした。

帰国後の活動の基盤となったフェロー体験(9・11という大惨事を越えて)

MAPでは、サービスを受ける団体の状況レポートの作成やコンサルテーションへの同行の機会を得、各団体やマネジメント力向上のための技術について理解を深めさせて頂きました。そして、次への段階へと理解を進めようとしていたその時、2001年9月11日の世界同時多発テロ・世界貿易センタービルへの惨事が起こったのです。私自身の動揺は勿論ですが、この惨事でUWNYCは9・11基金の事務局になり、日頃は静寂なオフィスが急遽雇用されたスタッフでデスクさえ不足する喧噪の下での運営へ。フェローのためにお世話を頂くことよりも、9・11基金に少しでも力を注いで欲しい、と思ったことから、それ以降の私の研修はUWNYCMAPでの実務から、9・11による影響の少ない団体への訪問という形に方法を変更することになりました。今でも回避されなかったことが残念で仕方がない9・11ですが、NPOの遺族や復興のための献身的な態度は、一人一人の人間の気持ちを原点に、その集合体としてNPONPOセクターが存在すること、そしてNPOセクターの究極の目標は平和な状態を実現することだということも再認識させてもくれました。

その後、UWNYCと同様、NYという地域に根差すいくつかのコミュニティファンド、アメリカNPOセクターの長年に渡る牽引役であるフォード財団、歴史は浅いけれどその活動に評価の高い中堅規模の財団、ヘッジファンドにより得た私財を投じ「開かれた社会づくり」を目指すジョージ・ソロス率いるオープンソサエティインスティチュート、そして、最近日本でも注目されている社会的起業家を育むその手腕で評価の高いアショカ、ホームレス課題への取り組みで名高いコモングラウンドコミュニティを筆頭に、高い評価を得ているNPOや社会起業家たちとの出会いに恵まれました。団体ごとのマネジメント力もさることながら、高い評価に胡坐をかくことなく、各々の団体が発足の経緯や歴史、根底にある哲学を受け継ぎつつ、試行錯誤しながらも問題解決の技術やマネジメント力を磨き続けている姿を近くで拝見できたことが何よりの財産となりました。また、ジュリアーニ市長下で行革の成果について評価の高かったニューヨーク市の行政でも、不得手な領域があることがわかりましたが、同時に行政自身がそのことを認識した上で、NPOや企業と連携している事例もあり、あらゆる連携や協働の先に、社会全体の便益の最大化を意識することがいかに重要であるかを教えられました。

9・11を境に形を変えることを余儀なくされるなど順風満帆なことばかりではなかったフェロー期間でしたが、最初にアメリカのNPOセクターを鳥瞰する機会を与えてくれたUWNYCとその後の多様なNPOとの出会いによって、それまでの和製NGOでの経験、学問上の理論や情報、また、こま切れに見聞していたアメリカNPOに関する情報を、ひとつの線でつなげられたこと、このことがとりもなおさず「アメリカでは・・」にとどまらない日本への含意の基盤となりました。また、もうひとつの財産である、期間中に出会えた方々との今も続く交流は、日本での取り組みに勇気を与えてくれています。少し脱線しますが、こうした交流が8期フェローの受け入れにもつながったことも嬉しい果実の一つだと思っています。

帰国後の取り組み(NPOの新段階へ)

帰国後は、フェロー以前から発行してきた市民活動の情報メルマガ「NPO/NGOWALKER」の発行と、いくつかのNPOへの理事としての参加をNPOセクターの充実に向けた活動の場としつつ、同時に研究者の立場で行政・自治体改革に取り組んでいます。これまでに、独立行政法人化を前にした国立大学で、大学が研究を通じ社会・地域に貢献するための体制づくりを、自治体では、政策・事務事業の立案・評価、外郭団体の整理統合といった行政自身の整理・改革やガバナンス改革とともに行政とNPOの協働や連携のための体制づくりや市民への情報提供の支援などに取り組んできました。ある自治体では政策参与として自治体のガバナンスに直接関与する形での参画の機会を得ましたが、これはフェロー経験がなければ実現しなかったことでしょう。NPOと行革同時に、と書かせていただくと「二つは別のものではないの?」と言われる方もあるかもしれません。ですが、日本のように既に構築された仕組みのある国では、既存の仕組みとともにNPOを公共に携わる主体の一つとして捉えることが重要なことを、フェロー経験を通じて確信するようになりました。少子高齢化やそれに伴う財政状況の変化は、公共にかかわる事柄を専ら行政に託してきた日本の公的部門の形をも変えていくでしょう。そこでのNPOの姿は、現在の特定非営利活動法人のように限定されたものではなく、次代に残せるべく新旧統合の上で再構築されたものであって欲しいと思います。少し大上段に構えた話題になりましたが、ビジョンを描き、次の社会や仕組みを創出すること、それを一部の突出した方々にだけ委ねるのではなく、市民一人一人が考え行動することが大事だ、ということも、フェローでの出会いの中から学んだように思っています。まだまだお伝えしたいことばかりですが、多くの方々の支えで成り立っているこの人的交流事業に参加できた数少ないメンバーの一人として、現在進行形の取り組みが、何かに、誰かに還元できるものであるようにと思いながらの日々であることをお伝えして、メッセージの締めくくりとさせていただきます。


※本報告内容は、執筆者の見解によるもので、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の公式見解とは必ずしも一致するものではありません。

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