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NPOフェローはいま
「米国NPOで学ぶ理由、学んだこと~個人が決める、組織が動く、社会が変わる」

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「米国NPOで学ぶ理由、学んだこと〜個人が決める、組織が動く、社会が変わる」

高橋直子
第2期(2001年度)NPOフェロー


私が非営利組織(NPO)に興味を抱いたのは、大学在学中に、東京で開催された「パグウォッシュ会議」(核兵器開発に従事した科学者らが核廃絶に向けて議論を続ける国際会議)の手伝いをしたことに始まります。個人が集まり、組織をつくり、社会をよりよい方向に動かす力を知り、それをライフワークにしたいと強く思いました。同会議の東京開催を実施したのが非営利組織であったことから、私は非営利組織での就職を希望しました。非営利組織は新卒よりも経験者採用と聞いていたことから、まずは金融機関に就職し、経済や社会について実務経験を積むことにしました。

しかし、「個人は決めない」「組織は動かない」「社会は変わらない」の壁にぶち当たり、金融機関勤務をやめてしばらく違う仕事をしながら、非営利組織で働ける機会を探し続けました。1997年に「日米コミュニティ・エクスチェンジ(JUCEE)」(日米のNPO交流を通じて社会変革をコーディネートする非営利組織)の東京スタッフとして働くことになりました。その経験を通じ、さらに自分自身が非営利組織業界全体の底上げに微力でもお手伝いできることは何だろう、と考えた末、数年の営利企業経験と3年半におよぶ非営利組織経験を生かして、企業と非営利組織間のコーディネートをすることができたら、と2000年国際交流基金日米センターのフェローシップに応募し、参加が決まりました。

当時、米国ではITベンチャーブームが到来し、起業家たちが営利企業の成功だけでなく、非営利組織の支援や運営を通じて社会変革を巻き起こしていました。私は、企業と非営利の間をとりもつコーディネーション・ノウハウを学ぶために、NPower NY(マイクロソフトが創設したNPower(エヌパワー)のニューヨーク市支部)に所属し、2001年11月から1年間、営利と非営利の混在経営手法について実地研修しました。

NPower NYの理事会は、ニューヨーク市で名の知れた富裕の若手ベンチャー投資家のほか、マイクロソフトやITコンサルタント会社のアクセンチュアらの経営層で構成され、スタッフには、NPO経験豊かな有給スタッフのほかマイクロソフトやアクセンチュアの社員が企業から派遣されて働いていました。そして事務局長はNPOで長年勤め、非営利経営手腕のある女性でした。これほど多種多様な構成メンバーによるコラボレーションがなぜ形成されたのか、その背景をきいてみると、「理事会メンバーはみんな昔から親しい友達なんだ」とのことでした。日本では、とかく、友達の縁は趣味の範囲で終わりますが、アメリカ人は友達の縁を社会変革のために転換してしまうのか、と単純な話ですが驚きました。社会変革をももたらす友達力や家族力が、「ソーシャル・キャピタル」として存在し、機能する、というわけです。

ただし、営利と非営利の混在経営手法を学ぶ上で、その「ソーシャル・キャピタル」がもっとも根付いているのは、日本であるとも知りました。キャノンの元会長の「共生」という哲学は、日本に根付く「思いやり」や「団結力」などが5つの段階を経て社会や世界の問題解決につながると紹介したものですが、”Kyosei”として、営利・非営利共存モデルとして世界で非常に高く評価されています。日本では、すでに自然に「ソーシャル・キャピタル」が長い歴史の中で根付いているので、人工的に友達が集まって「社会変革」を起こす必要にも迫られていない、というのも現実だと思います。

帰国後からこれまで〜NPO仲間との連携、金融業界での「信頼関係」の開拓・構築

帰国後は、広報コンサルタント会社に勤務し企業PRに従事しながら、週末はNPO仲間との連携に励みました。私は、「ジャパン・リリーフ・フォー・カンボジア」(カンボジアの貧困農村の子どもたちの教育機会提供や住民生活の向上支援を行なうNGO)の資金調達担当オフィサー(ボランティア)として、3年間で計1,000万円近くの助成プログラムの申請から報告までを統括してきました。

現在は、NPO仲間の絆を深め翻訳ボランティアなど続ける一方で、ある金融機関で広報職をしながら、金融業界で知り合う広報担当者や社内の金融専門家らといかに信頼関係を築けるかを課題にしています。なぜなら、いきなり見ず知らずの者から、「私は社会をよりよくしたいので一度集まって話しませんか。私たちの会社でNPOに寄付をしましょう」と言われても、寄付したいモチベーションは生まれません。一方で、信頼関係のある間柄であれば、「実は、アジアの貧困の子どもたちに何かしたいと思っているのだけれど」と切り出してみれば、誰かから「では、ちょうど当社で社会貢献に力を入れているので、どこかのNPOに寄付するか、一緒に事業をしてみよう」という展開がより簡単に実現できるのではないかと期待しているからです。

今後〜金融業界の広報パーソンとして認められることを目標に

金融業界で知り合う広報担当者や社内の金融専門家と信頼関係を築くためには、やはり、それ相当の金融業界関連の広報知識や経験がないと、存在を認知されないし尊重もされないのでは、と考えます。人間関係は一方通行で成り立つ場合もありますが、通例、双方向のギブ・アンド・テイクで成り立ちます。ですので、今自分の多くの時間を費やしていることは、金融業界のキャリアパーソンとして信頼される知識、技能、経験を身につけることです。

現在勤務する会社の広報部は、「評判向上のための広報」と「みんながみんなを知っている社内環境づくり」を目標に掲げています。特に後者について、1,000名を超す社員がより円滑なコミュニケーションを図り、業務成果の最大化を図るには、これも、お互いがお互いを知り、信頼関係を築くことが肝要です。そのことにより、不必要な感情論争や政治的闘争もなくなり、チームワークと連携がうまく機能し、業務目標を達成しやすくなります。

私が担当するのは、「評判向上のための広報」のほうで報道対応などが専らの業務ですが、「みんながみんなを知っている」業務を推進する企画チームとも連携します。企画チームは、最近、「みんながみんなを知っている」環境づくりの一環として、NPOと協働したボランティア活動を社内展開しました。私はその広報活動に取り組み、『アエラ』(朝日新聞社)をはじめ、その活動はさまざまな媒体でとりあげられました。今後も、金融業界の広報分野に身を置きながら、営利と非営利の混在経営手法を駆使し、少しでもNPOの基盤強化につながるきっかけづくりのお手伝いをできたら嬉しく思います。そのことによって、自分がどこに身をおこうとも、「個人が決め、組織を動かし、社会が変わる」ための調整役としての担い手になれるよう努力していきたいと思います。


※本報告内容は、執筆者の見解によるもので、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の公式見解とは必ずしも一致するものではありません。

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