本文へ 日米センター(CGP)は日本とアメリカにて、助成、フェローシップ、ボランティア、人物交流、情報発信を行なっています。
国際交流基金 日米センター
CGP NY | 国際交流基金 | English | サイトマップ
トップページ
日米センターとは
公開イベント
団体で助成金をお探しの方へ
個人向け支援・ボランティアの機会をお探しの方へ
安倍フェローシップ
日米パートナーシップ・プログラム
Japan Outreach Initiative
NPO フェローシップ
CGPの人物交流事業
情報室(刊行物、寄稿など)
アクセス
お問合せ
FAQ
更新履歴
日米センター公募助成プログラム
CULCON(カルコン) 日米文化教育交流会
メール配信サービス
コラムス
個人向け支援・ボランティアの機会をお探しの方へ

 

NPOフェローはいま
「糧になった米国のNPO支援センターでの研修」

>>NPOフェローはいま」一覧

「糧になった米国のNPO支援センターでの研修」

社団法人まちづくり国際交流センター
理事長 吉田浩巳
第1期(2000年度)NPOフェロー

生活できるNPOをめざして

NPOフェローの写真1私は、2000年10月から6カ月間、メリーランド州にあるNPOの支援センターであるMaryland Association of Nonprofit OrganizationMANO)で、NPOフェローとして研修させていただきました。その2年前の1998年に家族の反対を押し切って14年間勤めた橿原市役所を退職し、NPOで生活していく道を選択し、夢を追いはじめました。しかしながら現実はというと、長年取り組んできたNPOで思う存分活動はできるものの、社会貢献しているという自己満足だけでは現実は厳しく、生活も含め、将来に不安を抱えた状態でした。なんとか生活していけるNPOを作っていきたい。NPOで働きながら生活が保障されているNPO先進地で学びたいという強い思いでこのフェローに申し込んだのを今でも鮮明に覚えています。

MANOではExecutive Director(事務局長)のピーター・バーンズ氏に「私は日本の所属団体ではCEOなので、今回の研修においては、Executive Directorであるバーンズさんの全ての役割を学ばせてください」と申し出ました。バーンズさんは「いいですよ。それでは、できるだけ私と一緒に行動しますか」と快く引き受けてくれました。

毎朝、7時にバーンズさんが私のアパートに迎えに来てくれて、日によってはMANOの事務所に立ち寄ることなく、理事会への参加、他団体への訪問、行政との会議、州議会でのNPOのプレゼンの傍聴、助成団体との打ち合わせ、企業、NPO、ボランティアが一同に会する交流会への参加、NPOに事務局長を派遣する審査会議、大学での教授との打ち合わせやNPO研究室での聴講、4泊5日のNPOのリーダー会議や3日間開催された参加費が約10万円と高額なNPOの総会参加など、遠慮してくれと断られない限り、貪欲なまでにバーンズさんにお願いして行動を共にさせていただきました。

NPOフェローの写真2そして、毎日MDでその日の行動を録音し、曖昧な部分はMDを聞きなおしながら、いくら遅く帰宅してもその日の出来事をレポートに残しました。

6カ月間という短い期間ではあったものの、参加した会議やセミナーは100以上にのぼり、様々な分野のNPO関係者はもちろんのこと、メリーランド州のケネディー副知事をはじめ多くの行政関係者や議員とも交流をさせていただき、帰国時にはいただいた名刺は300を超えていました。

NPOは非営利の株式会社 〜マネジメントは企業と同じ〜

日本と米国のNPOの“組織”としての大きな違いの一つは、米国では全員がプロであり、ボランティアの精神でとの甘い考えだけではないということでした。MANOでは、コンピューターも一人一台以上の数があり、全員が十分に使いこなしています。また、仕事中の雑談はほとんどなく、自分の役割を黙々とこなしていました。

電話は2コールまでに必ず出る。印刷は専門の担当者がスタッフの指示書をもとに指定期日までに仕上げる。コピー1枚にも費用がかかっている意識を持つなど、バーンズさんは、NPOは非営利の株式会社、株券を持たない株式会社で、企業は営利を目的にするが、NPOはいかによりよい公益サービスを提供するかが目的。それ以外は両者は同じで、マネジメントを考えないNPOは吸収合併されるか、消滅していくのが米国のNPOですと教えてくれました。米国では社会背景がNPOを作り、そこで働くことで生活の保証を求める人が多く、ベンチャービジネス的な要素を持ち合わせています。そして、活動の中身を評価し、社会がNPOを認め、支援していく土壌があります。当然、NPO側には存続、発展のためにきめ細かいサービスや需要への対応が求められます。どの程度プロであるか、どう評価されるのかが最重要であり、常に受益者にとって最高のものを提供し、全てにおいて質を高め、ミッションを明確にして追求していく。この姿勢がもっとも大事であるとも教えてくれました。

NPOフェローの写真3現在、米国ではNPOが地位を確立し、ますます行政とのパートナーシップが構築されています。さらに、財団法人は年間運営基金の5%以上をNPOに寄付しなければならないとの法律や、NPOで活動するボランティアの交通費や駐車場代などが税控除の対象となること、個人の寄付は税控除になるといった制度的な後押しも、NPOの拡大に拍車をかけていることも学びました。

 

帰国後の取り組み 〜奈良での実践と政策提言〜

米国での研修を終え、2001年3月に帰国、帰国後すぐに青年会議所のメンバーと地域のNPOと一緒に会議を重ね、私が所属するまちづくり国際交流センターは事務局を担うことで、翌4月には奈良県で初めてのNPOの中間支援組織である「大和まほろばNPOセンター」を立ち上げ、私は、常務理事・事務局長に就任いたしました。その後、奈良県知事や銀行の頭取らをパネリストにNPOフォーラムを開催したりするなど精力的に活動をしてきました。また、米国においてはNPOとの協働は経済委員会で審議されていたことから竹中平蔵、当時の経済財政政策担当大臣をお招きし、経済の視点から県内のNPO代表者を集めてネットワーク会議開催したりしました。また、1年かけて、県内47市町村の全ての市町村長とお会いし、NPOと行政との協働の必要性を訴えました。訪問後、職員を数名、NPOセンター主催のセミナーに派遣していただいた町長さんや、一方で1時間ほど面談させていただいたけれども何のことかさっぱりわからないといった村長さんもおられました。奈良県知事にはたっぷりと時間を取っていただいて、米国のNPOについて帰国報告をさせていただきました。その甲斐あって、すぐに県庁内にNPOと行政の協働推進グループが立ち上がり、その職員研修の講師を務めさせていただいたり、奈良県や奈良市の「NPOと行政の協働の指針」作りの委員として委嘱を受け、取り組ませていただきました。現在においても、奈良県とNPOの協働事業提案の選定審査員の一人として委嘱を受けています。また、複数の新聞社からNPO関連の連載記事の寄稿を依頼され、それぞれ数十回の新聞の連載もさせていただきました。

2002年には橿原市ボランティアセンターの設立に関わり、初代運営委員長、2006年12月には、全国のセブンイレブンの店舗の募金を運用しているセブンイレブンみどりの基金とパートナーを組ませていただき、近畿2府4県の環境NPOを支援していくために設立した近畿環境市民活動相互支援センター(エコネット近畿)の初代理事長にも就任させていただくなど、米国で学んできた知識と経験をできるだけ多くの皆さんと共有するために東奔西走しています。

2008年4月には、2007年に引き続き議員会館で開催された超党派の国会議員で構成するNPO議連との意見交換会に全国の支援センターの仲間とともに参加し、市民税の1%をNPOに寄付する制度の推進を柱に、意見交換をしてきました。

NPOの展望 〜今が次のステップへの踏ん張りどころ〜

現在のNPOを取り巻く環境は決して望ましい状態ではなく、むしろ、NPO法人の解散の相談も増えてきています。今後、NPOセクターが発展していくためには、NPOが常にミッションを明確にし、質の高いサービスを提供し続けるのは勿論のこと、米国の選択税制のようなNPOにお金が流れるシステムの構築が不可欠だと思います。

NPOは豊かな市民社会構築の最も有効なツールの一つだと確信しています。引き続き、NPO先進地で得た貴重な経験を生かし、さらに多くの方をまき込んでいけるように微力ながら邁進していきたいと思っています。


※本報告内容は、執筆者の見解によるもので、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の公式見解とは必ずしも一致するものではありません。

Top

TOKYO OFFICE
国際交流基金(ジャパンファウンデーション) 日米センター
160-0004 東京都新宿区四谷4-16-3
Tel (03)5369-6072 Fax (03)5369-6042
NEWYORK OFFICE
The Japan Foundation Center for Global Partnership, N.Y.
1700 Broadway, 15F, New York, NY 10019, U.S.A
Tel (212)489-1255 Fax (212)489-1344