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NPOフェローはいま
「帰国後、政治の世界へ」

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「帰国後、政治の世界へ」

衆議院議員丹羽雄哉事務所 秘書
吉田りえ
第1期(2000年度)NPOフェロー


米国では、ボストンのEducation Development Center, Inc.(以下EDC)で、サービス・ラーニングの政策体系と具体的な実践方法について学んできました。帰国後、東京大学大学院教育学研究科の佐藤一子先生の研究に参加し、「NPOの教育力〜生涯学習と市民的公共性」(東京大学出版会)や、ボランティア白書2003(日本青年奉仕協会)の執筆を担当させて頂くなど、米国のNPOでの研修の後、日本のNPOの実践活動の学術的な分析と考察の機会を頂きました。その後、政策担当秘書の資格をとり、現在は、丹羽雄哉衆議院議員の秘書として、政治参加のルート開発に携わっています。社会参加の形態は多岐に亘りますが、現在、参加形態のひとつでありながらも、最も市民にアレルギーのある政治参加の促進という分野で、議員秘書の立場で取り組んでいます。

米国に滞在中の記憶の中で、私には、今でも、はっきりと鮮明に浮かびあがってくる光景が2つあります。それは、ニューヨークのある学校のサービス・ラーニングの授業です。子ども達がストリートで、「選挙登録をしましょう!」というプラカードをもって、大人達に呼びかけをしているシーンです。ご承知の通り、米国では、市民が投票資格を得るためには、まず選挙人登録をしなければなりません。投票率の低下に心を痛めた子ども達が、サービス・ラーニングの授業の中で、投票率を上げるための試みの実践として、選挙人登録を促す活動を行なっていました。

もうひとつは、EDCスタッフの会議の光景です。ステークホルダーとして位置づけている政治家、政府、自治体等へのロビーのあり方について議論をしていました。偶然にも、私のスーパーバイザーのDr. Leslie Hergertは、叔母様がケネディ大統領の秘書をされていたこともあり、政治とNPOとのビビッドな関係を教えて下さいました。この2つの光景は、今の私の政治活動に学術的レベル、そして実践レベルにおけるフレームワークを与え、政治参加のルート開発を進めるにあたって、根幹のイメージとなっています。

フェロー研修中によく話題となったトピックに、「青少年の社会参加におけるパラドックス」というものがありました。これは、青少年のボランティア活動への参加率が高くなる一方で、社会学習への関心が著しく低くなる減少のことです。例えば、1996年のデータでは、約86%の青少年がボランティア活動をしていましたが、社会的事象、公的事象に関心がある青少年は、1998年には約38%であり、約10%の子どもしか、現在の政治システム或いは政治家に関心を持っていないという結果でした。そこからの考察は、「青少年が今、学んでいることが価値があることだと、自ら位置づけることができたとき、本当の学びになる」ということです。これは、サービス・ラーニングの根幹となる考え方であり、現在の日本の子ども達の教育のあり方にも通じることではないかと思います。

私が、秘書として担当している「つくば研究学園都市」は、NPO活動が盛んです。同じ県南地方でも、他の地域とは異なります。その理由は、国の研究機関が多いこともあり、人の転出入の流動性がとても高いことから、地縁組織が脆弱であること、そして近年のTX(つくばエクスプレス)の沿線開発の影響を受けた人口増加によって、多様な社会参加プログラムが求められているからだと思います。

NPOフェローはいまの写真1秘書活動を通して、地域社会では、様々なところを訪問します。NPO活動、公民館活動、イベント活動、主婦の方々の集まり、学生の方々の集まり等々、いろいろなお声を伺うことができます。その中で、政治と市民の距離の遠さを感じると共に、市民社会の形成にむけ危機感を強く感じます。それは、市民ひとり一人が、「公」という概念について考える機会がないこと、また、公共の分野で責任をもつ機会がないことに対する危機感です。

今、市民が主体的に責任を持ち社会参加する仕組みが、地域社会の崩壊とともに崩れてきています。公と個の関係が、希薄となってきている状況下、社会参加のひとつの形態である政治に、市民が無関心な傾向を強くもつことは、自然の流れだと思います。こうした流れを急激に変えることには、非常に困難を伴いますが、政治と市民のよい関係づくりが必要です。まず、あらゆるチャネルから政策情報をお届けする努力を徹底して行なうとともに、政治は、国づくりにどのような役割を果たしているかについてご説明する、そして、生活者である市民ひとり一人の皆様のニーズをお伺いしながら課題解決にむけて共に動く作業を行なっています。

NPOフェローはいまの写真2市民社会にむけて、市民と行政の協働の仕組みづくりは、大きなハードルですが、つくば市でも、市民と行政の協働のガイドライン等、徐々に形となってきています。政治家も市民社会にむけた構成員として、具体的にどのような働きができるかを学ぶために、昨年は、丹羽雄哉議員と共に、つくばを中心としたNPOの方々と交流させて頂く機会を多く持ちました。そこでの成果として、丹羽議員は、「NPOと私」という小冊子をまとめました。そこでは、丹羽議員が肌で感じたNPOとの交流を中心に、課題と今後のNPOへの想いを綴っており、いろいろな機会を通じて、選挙区の方々にお配りしています。

市民の意思を反映しながらまちづくりを進めていきたいと思っている政治家、行政職員は多くいると思いますが、市民の意思の反映の仕方について、市民側の認識と行政側の認識、政治側の認識が異なるため、誤解が生じたり、実際に課題が解決されないことも多くあります。地域社会でも、ロビー活動の方法論の開発等、市民参加と政治参加との連動によるステージにきているのではないでしょうか。

NPOで活動をしている時も、政治の属性で活動している時も、私の想いはただひとつ。市民ひとり一人が抱える課題を、具体的に解決していくことです。すぐに解決できることもあれば、大変時間がかかることもあります。しかし、そうした社会参加の方法を、市民ひとり一人、その方法が異なるわけなので、お手伝いすることが、私は、わが国における民主主義の前進に繋がっていくと信じています。

政策決定過程の最終ステージは、政治です。NPOと政治の協働、いよいよスタートです!


※本報告内容は、執筆者の見解によるもので、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の公式見解とは必ずしも一致するものではありません。

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