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NPOフェローはいま
「しくみを創り続ける米国市民パワー~青少年プログラムからみえたもの」

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「しくみを創り続ける米国市民パワー〜青少年プログラムからみえたもの」

Japan Youth Treasure House 代表
LLP再生塾YAR 代表
 吉見 れい
第1期(2000年度)NPOフェロー

市民力の衝撃

2001年3月から半年ずつWashington, DCの2つの団体(Center for Youth as ResourcesNational Network for Youth )にフェローとして参加しました。テーマは「プリベンションプログラムの開発・運営手法」。1999年夏に参加した1カ月のインターンシップ・プログラムを通じて衝撃を受けたのが、米国の市民力でした。日本では到底参画できそうにない領域のイニシアティブを明らかに市民が担っているのです。その活動の幅の広さと実践力をさらに追究したいというのがフェローシップ応募の動機でした。

上記の2団体は、全米のNPOをサポートするヘッドクオーター、つまり青少年NPOの中間支援組織であり、これらを通じて全米各地の現場を視察したり、またアドボカシーの一端である国会議事堂での議員向け研修などに参加したりすることで、地方と全米レベルにおける青少年政策の構築のプロセスを垣間見ることができました。

私自身のフォーカスは、青少年、特に非行・高校中退等の若者たち。米国には、問題を抱えた若者たち(Youth at Risk)をサポートするNPOが多種多様にあります。翻って当時の日本では、個人的な財産・生活をなげうって、個人の魅力(一部は自己犠牲)で展開する共同生活スタイルでの若者自立支援の担い手たちが、ようやくNPO法人の形をとり始めようと転換し始めている時代でした。

米国の市民力のすばらしさは、プログラムの枠組みそのもの、必要な法整備そのものの多くがNPOCoalition(連合) による政策提案から産み出され、成果ある実践に法律の枠組みをつけるという発想であるため、その展開の現場での主導権が市民、NPOの側にある点で、とにかくその影響力に驚くばかりでした。

米国における青少年支援のNPOの姿

たとえば、少年が犯罪で捕まれば、必ず弁護士はNPOに依頼しその処遇についてのコーディネートをNPOに依頼します。NPOは自らの組織や他のNPOのプログラムも組み合わせ、その少年にとって必要な環境をコーディネートし、それが審判の強力な参考意見となり、その後の少年をNPOが地域で見守ることになります。

このために、青少年に関わるNPOのネットワークは、このことの意義を理解できる裁判官、警察官、弁護士の人材養成をするために共同で学習会を組織し、より適切な裁判官を少年審判担当として指名するなど、NPO参画型の少年審判をしくみにしています。

カンファレンス受付風の写真

2003年National Network for Youth
カンファレンス受付風景(真中 吉見)

年に一度の全米ネットワークのカンファレンス(右写真)では、薬物依存だった若者がNPOのシェルターで自立生活にこぎつけ、今やNPOの担い手となり、「青少年政策へのあなたの貢献が私を立ち直りのチャンスを提供してくれたのです。」と国会議事堂の研修室に国会議員を呼び出し表彰するという場面がありました。(下写真)それを受けた議員はもちろん、彼の回復と人生を再生させている勇気を称えるのです。
若者を非行・家出・虐待などの環境から救出し、シェルター運営その他のプログラムを通じて、一時保護から自立生活までのステップを最後まで支えているのがNPOです。
スピーチする若者と見守る議員の写真

同カンファレンスメニュー、国会議員会館・
スピーチする若者と見守る議員


また、Youth as Resourcesのプログラムは、少年院の中にいる間からプログラムに参画できるしくみを持っています。卒院する頃にはNPOのリーダーになっていることもめずらしくありません。かつてホームレスだった若者が今やNPOの若者自立支援のリーダーとして担い手になっているということも30年以上の歴史を持つ米国NPOのサイクルとなっています。この積み重ねられた実践の層の厚さに圧倒された研修でした。

帰国後の活動

圧倒され感動したものの、正直言って何から始めればいいのかと途方にくれたのが帰国後でした。当初は任意団体Japan Youth Treasure House として、青少年問題を考えるための講演やワークショップを各地で開催し、関心ある人たちとのネットワークに乗り出しました。フェロー期間中からホームページを通じて米国のNPOの情報を発信し、関心を寄せてくださった家庭裁判所の元調査官の協力もいただき、少年事件を専門にされている弁護士、薬物依存症者のサポートをするDARC(ダルク)、非行少年に関わる元ヤクザの牧師、自立援助ホーム・・・等々と、とにかく顔を売って歩いたのが当初の数年です。

「市民力」の新たなスタイル

平行して、行政でのNPO担当の経験を生かし、高齢者NPOのコンサルティングや、NPO起業支援の組織「NPO法人 おおさか元気ネットワーク」の業務のサポートにはいることで、ややベクトルが変わり始めました。この頃から、大阪では、市民力を体現する方法論として、「コミュニティ・ビジネス」という概念が浸透し始め、非営利・営利を問わず、福祉、教育、商工労働その他の領域が乗り入れたビジネス展開の発想にシフトしていきつつありました。

この環境の中で、高齢者NPOの地域のつながりでたどりついたのが『再生塾YAR』という塾のスタイルです。家出少年・少女を24時間預かるまでの力はありません。まずはビジネスとして、塾経営の要素を取り入れ、個人負担のできる層からのニーズの掘り起こしをしようというのが発想です。

また組織運営の側面では、幅広い民主性よりは、機動力・迅速な意思決定が必要な現場であるため、手続きのもっとも簡単なLLP(有限責任事業組合)の形をとりました。(2006年1月オープン、4月登記)今では、LLPで公益的活動を実践する組織も増え始めています。

改装ガレージでの卒業パーティの写真

再生塾YAR 改装ガレージでの卒業パーティ
就労支援施設職員も参加

塾を開いたとたん昼夜逆転遊び三昧で誰も手をつけられない高機能自閉症の青年のケースが舞い込み、てんやわんやの闘いをしながらも、塾を卒業して障害者就労支援施設へつなぐというところにようやくこぎつけたのが最初の成果でした。(右写真)

ここには公的サービスだけではカバーできない民ならではのソーシャル・ワークのスキルが必要なのですが、そうした視点は、米国NPOで学び、さらに日本の高齢者NPOでのコンサルティングを通じて実証できていたことが大きな自信となっています。

さらに昨年(2007年)、少年審判付添人の補助者として保護観察所に少年を訪問できたことは画期的なことです。その少年もしばらくはさんざんわがままを繰り返したあげく、やっとアルバイトに落ち着き、定例の保護司面接に自主的に通うようになっています。

昨秋からは、広域単位制通信高校代々木高校と提携し、そのサテライトとして機能し、高校卒業資格取得も可能になりました。 さらに、大家さんのご好意で近隣の空き家を改装させていただき、中・長期滞在できる寮(シェルター)もこの7月にオープンさせました。

フェローシップから得たもの

フェローシップを振返って思い出すのは、「君たちは社会の人材なんだよ」と少年院の子どもたちに暖かい眼差しを送り続けてYouth as Resourcesのプログラムを展開し始めたJack Calhoon(カーター政権時の青少年政策長官)の偉大なる貢献、まちに繰り出し家出少年・少女に声を掛け続けるアウトリーチをする元家出少年の若者や、少年院経験者、元ホームレス等などの当事者の若者たちの生き生きとした表情です。

私たちの実践は、米国の実践には程遠く、取り組みがようやく緒についた段階です。
箕面市役所時代、人権、市民活動、地方分権など幅広い分野に関わりながら、ある中学生の羽ばたきをボランティアで支援したことがきっかけで、青少年の自立支援を仕事にしよう、と決意しました。そしてちょうど10年目にして、ようやくそれを小さな形として生み出すことができました。このフェローシップが大きな財産となっていることは言うまでもありません。すばらしい機会をいただけたことに改めて感謝申し上げます。そしていずれは青少年政策への貢献ができるような実践へと積み上げたいと、小さな出発から大きな夢を育んでいます。


※本報告内容は、執筆者の見解によるもので、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の公式見解とは必ずしも一致するものではありません。

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