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RIPS・CGP安全保障研究奨学プログラム
第13期生 沖縄研修(フィールドトリップ)報告


2007年1月3日から1月6日
日米センター知的交流課

RIPSCGP安全保障研究奨学プログラムでは、2007年1月3日から6日にかけて、沖縄へのフィールドトリップを実施しました。これは、理論と実践の両輪をバランス良く学ぶという本プログラムの趣旨に照らし、第12期生(2004-2006年)からプログラムに追加されたものです。

沖縄に赴き、現地の様子を直接感じることによって、各奨学生が個人の研究に新たな視点を獲得することを目的としています。以下、随行した日米センター担当者による報告を掲載します。

【概要】

日程: 2007年1月3日水曜日から6日土曜日
参加者: 第13期奨学生(一般フェロー7名、特別フェロー2名)、土山實男・山本吉宣両プログラムディレクター、RIPSおよびCGPより担当者各1名。
訪問先: 1月3日水曜日 比嘉幹郎氏(ブセナリゾート(株)代表取締役)との懇談
  1月4日木曜日 外務省沖縄事務所訪問、普天間飛行場・辺野古周辺視察
  1月5日金曜日 防衛施設局訪問、海上自衛隊那覇空港基地幹部との懇談、同基地訪問、沖縄県庁知事公室基地対策室訪問、沖縄タイムス諸見里道浩編集局長・屋良朝博編集委員(本プログラム第9期生)訪問
  1月6日土曜日 西銘恒三郎氏(衆議院議員)との懇談

◇ ◇ 1日目 ◇ ◇

●比嘉幹郎氏(ブセナリゾート(株)代表取締役社長、前沖縄県副知事、RIPS評議員)との懇談

比嘉氏より、副知事時代を振り返って沖縄の政治・経済について講演いただきました。同氏からは、第二次世界大戦後のガリオア基金の奨学生として米国留学し、博士号(カリフォルニア大学バークレー校。政治思想史)を取得した後、日米の大学で教鞭を取りつづけたことがまず紹介され、政治家というよりむしろ、本プログラム奨学生の若手研究者と同じ「教育畑の人間」であることが強調されました。その上で、沖縄人について、県民所得が全国平均の70%、失業率が7-8%(本土の約2倍)という数字をあげ、「ヤマトンチュ(大和人)になりたくてなれない人たちと言える」と説明がなされました。
奨学生からは、サミットの経済効果や、北朝鮮のミサイル発射による沖縄県民の対米軍意識の変化について質問があり、議論が行なわれました。
最後に比嘉氏より、本プログラム奨学生の訪沖を歓迎し、ぜひ知見を持ち帰り研究に役立ててほしい、と激励を受けました。奨学生グループにとっては、沖縄と米国の直接の関係に触れたことにより、ともすると「東京—ワシントン関係」として分析しがちな日米関係について、沖縄の歴史と県民感情を感じながら見つめ直す機会となりました。

◇ ◇ 2日目 ◇ ◇

●外務省沖縄事務所訪問 先方:倉光秀彰副所長

東アジア地域における沖縄の地理的意味および沖縄事務所の設立のきっかけとなった1995年の米兵による暴行事件に象徴される基地問題等が概説され、特に沖縄を考える際には本土からは掴みづらい沖縄の雰囲気を感じ取ることが重要であるとされました。
奨学生からは、事務所設置後に米兵関係の事件・事故は減ったのか、米軍基地が減ると地元の雇用も減るが県民は承知しているのか、など質問がなされ、意見交換を行ないました。

●米軍施設近辺視察  随行説明:那覇防衛施設局

普天間飛行場(嘉数高台より展望)および辺野古周辺(普天間からの代替移設先)の2箇所を視察しました。普天間飛行場は周辺に学校施設、病院も多数あり、沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故およびラムズフェルド前米国国務長官の視察による危険の公認以降、移設協議が急進した旨説明を受けました。
辺野古沖(キャンプ・シュワブ周辺)では、地元住民人口の数倍の約18,000人が反対運動に県内および本土から集まったと説明を受け、基地問題は、地元の負担を超えた大きな政治問題であり、さらに環境保護の観点からも議論されていることを学びました。

普天間基地を視察 の写真 辺野古周辺にて の写真
普天間基地を視察 辺野古周辺にて

◇ ◇ 3日目 ◇ ◇

那覇防衛施設局でのブリーフィング の写真
那覇防衛施設局でのブリーフィング

●那覇防衛施設局訪問

先方:佐藤勉局長
基地をめぐる沖縄と東京の温度差について、沖縄側の「機能強化と固定化には断固反対」「軍隊は県民を守らない」「なぜ沖縄か」という強い意識に対し、東京側の「日本の防衛のため」「沖縄を守ることにもなる」という認識があるため、平行線のままになっている、と解説を受けました。
沖縄では第二次世界大戦の経験によって「軍隊は市民を守らない」という考えが根強いとの説明もあり、軍隊や戦争に対する人々の認識の違いによって、地域や国ごとに異なる安全保障観があることを改めて再認識する機会になりました。

 

海上自衛隊那覇空港基地を見学 の写真
海上自衛隊那覇空港基地を見学

●海上自衛隊那覇航空基地 第五航空群訪問

那覇空港は、国土交通省管轄の民間利用、防衛庁管轄の自衛隊利用、海上保安庁利用、そして米軍港としての利用、と複数の利用が行なわれているとの説明を受け、P3-C 2機を見学しました。

●沖縄県庁知事公室基地対策室訪問

先方:府本禮参事監兼基地防災統轄監
沖縄の基地関係の県業務について、国政と地元住民の間での難しい立場を含め概要説明を受けました。
日米政府間で大方針が決定された後に、県に結論だけが知らされることもあるとの話には、国際政治と国内政治のせめぎ合いの現場を見ることになりました。
奨学生からは、県が住民の声をまとめて国や米政府へ訴えることができないかと提案する声もありました。

●沖縄タイムス訪問

先方:諸見里道浩編集局長、屋良朝博社会部編集委員
諸見里氏からは、戦後の沖縄のメディア史概観を講義いただき、沖縄タイムス、琉球新報がともに県民の立場に立ち、反戦・反基地の立場を一貫して通していることの説明を受けました。全国紙が沖縄ではシェア1%程度であることの考えられる一因として、沖縄に残るコミュニティの強さについても言及がありました。
屋良氏からはイタリアの米軍基地を取材し、沖縄の基地と比較した取材記事の概要と、米軍基地の国際比較の視点が提供されました。

◇ ◇ 4日目 ◇ ◇

●西銘恒三郎衆議院議員との懇談

県議会議員として16年間活動後、現在、衆議院議員四年目である西銘氏より、自身の関心事として、(1)基地問題(特に日米地位協定)および(2)台湾問題である、と紹介した上で、毎年5月にはワシントンDCでアメリカの安保関係者と意見交換をしており(CGP助成事業)、米国側の視点を直接・間接的に知るために大変有意義であると紹介されました。中国および台湾については、沖縄は中国とも台湾とも付き合いが深いため、中台対話を沖縄で開催の可能性を含め、日中台交流への期待が述べられました。
奨学生からは、米軍基地の任務が国際協力や国連関係業務であれば県民感情は変わるのか、など質問が出され、それらについて議論が行なわれました。

◆ ◆ 終わりに ◆ ◆

第13期生9名にとって、第1回目のフィールドトリップとなりました。東京の会議室でこれまで行なってきたセミナーでは、理論的思考を鍛えると同時に、実践については文献や講演という文字情報から学びを重ねてきていまいしたが、今回の訪沖では現場ならではの、具体的な話を直に聞くことができ、効率よく学ぶことができました。
行く先々で「若手研究者・実務家の来沖を歓迎したい」と激励を受けることがしばしばあり、今後の各自の研究や実務に、非常に限られた短い滞在ではありましたが沖縄での経験を生かしていくことに対する期待も感じられました。奨学生9名は、これからも共同のセミナー出席を続けると同時に、2007年3月に個人研究テーマの中間報告を行なうなど、2008年7月の期間終了まで個人研究も進めてゆくことになります。引き続き、奨学生の意欲的な取り組みを引き出すプログラム運営を目指したいと思います。

(i)
2007年1月

 

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