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日米センター 地域・草の根交流プロジェクトレポート Vol.1

地域・草の根交流プロジェクトレポート一覧

日米センターでは、「市民交流プログラム」において、共通の課題に取り組む日米両国の市民が、対話を積み重ね、相互理解を深めるようなプロジェクトに助成を行っています。今回は平成15年度助成事業のうち、財団法人岩手県国際交流協会によって実施されている「ペアレント・プロジェクト セミナー」をご紹介いたします。

「ペアレント・プロジェクト〜教育をベースとした新しい日米交流〜」

(財)岩手県国際交流協会 宮 順子

「ワルーン・セミナー」への参加−アメリカの教育の背景を学ぶ

宮 順子 この7月、岩手で「ペアレント・プロジェクト」(保護者が積極的に学校教育に参画するための実践手法)の推進に取り組んでいるメンバー8名は、アメリカ中西部で毎年開催されている教育関係者のセミナー「ワルーンセミナー」(Walloon Institute)に参加した。今年で15回目を迎えるこのセミナーは、幼稚園、小中高・特殊学校の教員、大学関係者、教育行政職、NPOなど多様な教育関係者が一堂に会する。日本からの参加は初めてで、しかも語学のハンディが伴うだろう異国のセミナーに、他の参加者と全く同じ立場で参加することは、わたしたち参加者にとって、大きな挑戦だった。

 わたしたちが2年前から取り組んでいる「ペアレント・プロジェクト」は、保護者と教員が「子どもの学びをよりよくする」という共通の目的を持ち、今ある課題をテーマに、その解決に向けての話し合いを参加型ワークショップの手法で行われる。シカゴ周辺で実践されている。保護者と教員が対等な立場で話し合うことにより、ワークショップが成り立つアメリカの文化また教育の背景にあるものは何か。それを学ぶことを目的とし、このペアレント・プロジェクトの提唱者であるジェームズ・ボパット教授らが立ち上げ、実行委員として関わっているこのワルーンセミナーに参加することになった。

「ワルーンセミナー」でわたしたちがワークショップを企画

ワルーンセミナーの様子の写真1 参加者8名は、中学校教頭、県総合教育センター職員、評価を担当する大学教員、大学で異文化理解教育専門のアメリカ人教員、PTA関係者など。ワルーンセミナー参加の成果の普及を視野に入れ、多様な人材でチームを作った。

 わたしたちは、ワルーンセミナーでさまざまなワークショップなどを受講しただけでなく、実際にわたしたちがワークショップを企画し、日本の教育やPTA活動、わたしたちのペアレント・プロジェクトの実践活動を紹介した。

 最初に日本の学校教育を紹介する基本的な項目をクイズ形式で考えてもらう。笑いの中にも意外な回答に驚きの表情。引き続き、学校と家庭や地域との関わり、PTA活動などをわたしたちが英語でプレゼンテーションを行う。価値観が大きく異なり、またこのワークショップ参加者が日本の教育について知る初めての機会でもあるがゆえに、次から次へと質問が飛び出す。アメリカの教育にはない「何か」を見つけ出そうという意欲が感じられる手ごたえある1時間半だった。

ミルウオーキーのペアレントリーダーとの意見交換

 ミルウオーキーで長くペアレント・プロジェクトを実践しているペアレントリーダーらと話題は、「学力」や評価、活動の資金繰り、ペアレントプロジェクトの推進についてと多岐にわたっての意見交換が展開された。そして最後には、日本のPTAとペアレント・プロジェクトの連携について提案もしていただいた。

「教育」をテーマに国際化を考える

 岩手県国際交流協会は、平成13年度に「教育」をテーマとした国際化のリーダー育成を目的とした「地球市民のまちづくりコーディネーターセミナー」を行った。このセミナーは、地域の課題を改善し、地域を変えていくために、国際交流を「手段」としてとらえるという考え方で企画したものだった。その背景には、従来の「国際交流」の捉え方とは異なる視点にたち、地域の国際交流活動の活性化を図ろうという考えがあった。参加者は、教育関係者だけでなく、保護者特に父親、地域住民、学生など多様な顔ぶれだった。この点については、教員に限定せず、広く「教育関係者」を対象としているワルーンセミナーと共通するものがある。

シカゴでの「ペアレント・プロジェクト」との出会い

 このセミナーの一環で実施されたシカゴ研修では、シカゴ周辺の学校が抱えている課題を解決すべく取り組まれているさまざまな先進的な教育実践を学んだ。連日、学校訪問や教育NPO団体、教育委員会の関係者との面会で、改革的な実践に取り組んでいる人々との意見交換を重ね、その実践の背景にある確固たるビジョンや強烈なリーダーシップに大きな衝撃を受けた。その中でも、参加者が特に刺激を受けた実践の一つがが「ペアレント・プロジェクト」だった。そして、この「ペアレント・プロジェクト」を岩手に紹介し推進していくことになった。これは、「教育」をテーマとした新しい日米交流のへとつながっていく。

「ペアレント・プロジェクト」とは?

ワルーンセミナーの様子の写真2 「親は子どもにとってかけがえのない存在であることは世界共通。子どもたちにとって親は、生涯にわたって影響を与え続ける存在であることも洋の東西を問わない。親と学校、地域の懸け橋となり、子どもの本質的な学びを支援するのがペアレント・プロジェクト」というボパット教授の言葉にわたしたちは感銘を受けた。親と教師だけでなく、親同士、教師同士の仲間作り、そのために欠かせないコミュニケーションや信頼関係を築くために、絵本の音読やジャーナル(書くこと)などを取り入れた実践的な手法である。

 平成14、15年度の2年間にわたり、「ペアレント・プロジェクト」の提案者であるボパット教授をアメリカ・ミルウオーキーから招き、県内各地で市町村教育委員会との共催のもと、「ペアレント・プロジェクト」を紹介するセミナーや今後の活動に向けてリーダーとなる方々を対象としたリーダー育成セミナーを開催した。

 これらを機に、シカゴ研修参加者を中心に「ペアレント・プロジェクト ジャパン」の結成、ボパット氏の著書の翻訳・出版、紹介ビデオの作成など一歩ずつ、「ペアレント・プロジェクト」についての学びを深めていった。また同時に、学校での「ペアレント・プロジェクト」の実践にも取り組み始めた。

「ペアレント・プロジェクト」のこれから・・・

集合写真 帰国後、ワルーンセミナーを再現するようなイメージで「ミニ・ワルーン」報告会を開催した。今後は、それぞれが参加したワークショップをテーマに、個別の報告会を企画している。ここでは、ワルーンセミナーで学んだことを伝えると共に、ペアレント・プロジェクトを岩手でどのような形にアレンジし、岩手の教育の改善に活用していくかも考えなければならない。

 どんなに情報化が進んでもface to faceでしか得られないものがある。
 外国人としての扱いではなく、アメリカ人と同様一参加者として、5日間丸ごとアメリカでの研修を参加できたことは、価値ある体験だった。

  セミナーの内容以前に、「研修」や「学び」そのものの捉え方、研修スタイル、セミナーの構成など、日本とは発想そのものが異なる。ともすれば、日本人は背景が違う異文化からの学びを視野からはずしがちだ。しかし実は、その異文化にある発想を大きな力に変えることができる。思えば、3年前のシカゴ研修の際、学校やNPOの人々との意見交換の中で、直面した問題がある。手ごたえのある意見交換にするためには、質問の仕方一つとっても、文化背景の違いを意識する必要があることを学んだ。

 「教育」という共通テーマをベースとした新しい視点での日米交流が始まっている。
これまでの経験を生かし、今後、アメリカの教員の岩手への訪問や姉妹都市交流の中などで、従来とは異なる交流プログラムを提供するつもりである。


 5日間で議論しきれるほど、教育の課題は簡単ではない。今回の参加によって、参加者それぞれが、お互いが抱える課題を共有する仲間と出会った。今後は、この顔の見える相手と共に、情報交換や議論を重ねていきたい。

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