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日米センター 地域・草の根交流プロジェクトレポート Vol.2

地域・草の根交流プロジェクトレポート一覧

ヒラリー・ビンダーアヴィレス氏は、ワシントンD.C.に本部を構え、NPOのキャパシティ・ビルディング(能力の開発・向上)を行なっているNPO(非営利団体)「MOSAICA: The Center for Nonprofit Development and Pluralism」の移民・難民プログラム担当シニア・スペシャリスト兼ディレクターです。

槇ひさ恵氏は、日本で新しく設立されたNPO「ニンジン(NINJIN)」の事務局長です。同NPOは、アジア特にモンゴルを中心にそれぞれの地域で活動している組織との協働および、こうした組織がコミュニティに一層貢献できるよう、きめ細かい支援を行なっています。
国際交流基金日米センター(CGP)の「日米センターNPOフェローシップ」により、槇氏は、2003年10月から2004年の4月にかけての6ヵ月間、MOSAICAの創始者で代表のエミリー・ガンツ・マッケイ氏をはじめ、上記ビンダーアヴィレス氏や他のメンバーと活動を共にしました。

CGPは、このほど槇氏とビンダーアヴィレス氏の両名に、同プログラムで得た経験について、話を聞きました。

「キャパシティ・ビルディングについて互いに学んだこと: 日米センターNPOフェローと受け入れ団体に聞く」

ヒラリー・ビンダーアヴィレスの写真
ヒラリー・ビンダーアヴィレス
槇ひさ恵の写真
槇 ひさ恵
「私たちが地元の団体と充実した活動を行なっている理由のひとつに、国際的な視野を持っていることがあげられます。すなわち、米国に限らず、地球規模でNPOについて真剣に話ができるということです。そういうわけで、エミリーが私に“フェローを受け入れようと思う”と切り出したとき、それは面白そうだ、素晴らしいと思いました」。
このように語るヒラリー・ビンダーアヴィレス氏は、「日米センターNPOフェローシップ」のもとで槇ひさ恵氏のスーパーバイザーとなることを引き受けた時点では、日本はもとより、アジアの事情についてほとんど知らなかった。
しかし、交流の重要性については前向きにとらえていた。「米国で、移民のグループと共に活動しているので、彼らの母国での経験をいろいろと聞けるのです。数多くのトレーニングにおいて、米国におけるNPOの意義は何か、また、それが彼らの母国の場合とどのような点で似ているのか、あるいは違うのかといった問題がとりあげられます。」

槇氏は、キャパシティ・ビルディングに関するMOSAICAの価値観や取り組みについて、当初から強い関心を持っていた。彼女が初めてこのコンサルティング組織に出会ったのは、1995年に米国のNPO中間支援組織の調査を行なっていたときだった。NPOフェローシップの機会を得ると、槇氏はMOSAICAに自分を受け入れてくれるよう依頼した。「(MOSAICAは)組織の方針に対して確固たる使命感を持っています。また、小規模な草の根団体のキャパシティ・ビルディングのために対象団体に即して組み立てる個別の専門的援助に関して豊富な経験を有していることがわかっていたからです。」
槇氏は、フェローとしてMOSAICAで学んだ知識や技能を、急速に発展しつつある日本の非営利セクターに応用したいと考えていた。「日本では、キャパシティ・ビルディングの必要性についてまだあまり認識されておらず、支援するために必要な専門知識を持つ人材もほとんどいないのが現状です。そのため、MOSAICAで、NPOのためのコンサルティングやトレーニングについての知識を深めようと考えました」。

日本の非営利セクターは、1998年に成立した特定非営利活動促進法(NPO法)により転機を迎えた。この法律により、NPOとして法人格を取得するためのハードルが低くなったのである。2004年11月30日現在、新しい法律のもとでNPOとなった組織の数は合計19,523に達した。
しかし、こうした組織を支援するための資金は十分ではなく、急速に増えつつある数に追いついていない。「資金源が限られています」と槇氏は説明する。「しかも事業への助成はあってもキャパシティ・ビルディングのための助成はほとんどありません。実際、日々、新たなNPOが設立されてはいますが、組織基盤が脆弱なため、わずか2、3年で運営が立ち行かなくなるところも出ており、こうした草の根団体のキャパシティ・ビルディングを支援するための資金源が、とても必要だと思っています。」

米国でも、資金援助は、キャパシティ・ビルディングよりも事業自体を対象にする方が一般的である。しかし、ビンダーアヴィレス氏はコメントする。「キャパシティ・ビルディングに助成を行なう財団が増えています。ただ、(キャパシティ・ビルディングへの資金は)確かに増えてはいますが、事業への支援に比べると、まだかなり少ないのが現状です。」

キャパシティ・ビルディング再考

日本からのフェローである槇氏は、国際的な専門知識を持つ客観的な部外者という独特な立場にあった。このため、ビンダーアヴィレス氏は、積極的に質問に応じ、MOSAICAの仕事、具体的には、キャパシティ・ビルダーとしての役割についてあらためて考えるようになった。
「槇さんは、私たちの考え方をはっきりと聞きだそうと一生懸命だったと思います。たとえば、私たちがキャパシティをどのように定義しているか、といったことです。私たちは使い慣れているので、普段から口にしていますが、これから内容についての理解を深めようとする人にとっては、私たちがその言葉で伝えたいものは何でしょうか。そして、一緒に活動するグループにとっては、どのような意味を持っているのでしょうか。」

「キャパシティ・ビルディング」は、「コンサルティング」と同じものとしてとらえられていることが多い。しかし、組織強化・発展への取り組みについて、二つの言葉が持つ意味にはかなりの違いがある。ビンダーアヴィレス氏は、「キャパシティ・ビルディングは、コンサルティングと全く別のものです」という。
「誰かのために何かをするのではなく、その人たちが自分たちで行動するための能力を養うことなのです。たとえば、MOSAICAは助成申請書の書き方についてトレーニングをしたり、活動資金の準備計画を手伝ったりしますが、申請書を代わりに書いたりはしません。MOSAICAは、クライアントの活動計画の立案に始まり、理事が自分たちの役割や責任を理解することや、組織力強化の手段を考えるための手助けまで、さまざまな活動を行なっています。私たちは、実用的な手段を開発しているのです。インタビューの手引きもそのひとつで、理事や出資者、スタッフに話を聞く際に使います。また、情報の収集や分析のほか、理事やスタッフの研修のファシリテートなども行なっています。」

MOSAICAのキャパシティ・ビルディングへのアプローチは、組織の力や質の向上、チームワーク、そして共同作業に責任を持って取り組む姿勢の核心となっている価値観に直接結びついている。
ビンダーアヴィレス氏の説明によると、「キャパシティ・ビルディングは、組織が一番に必要とすることでなければなりません。つまり、自分たちが必要としているものを見出すプロセスでなければならないというのが、私たちのアプローチです。私たちは、知識を授ける専門家ではなく、人びとが既に持っているノウハウを互いに共有するための支援を行なっているのです。この点が、私たちの活動姿勢のなかでも非常に重要な部分であり、特に小規模な組織、また活動を始めたばかりの組織に協力する際には大切です。」

槇氏にとって、キャパシティ・ビルディングの内容や米国の状況を理解し、実際に活動を体験して、日米の架け橋となることが重要課題であった。
MOSAICAが行なうコンサルテーションやトレーニング・セッションに同席させてもらい、クライアントの生の声を聞くことができました。これは、私にとって、米国のNPOの実情を理解する最高のチャンスだったと思います。クライアントは、自分たちが最も課題だとしていることをどうするかという話をするわけですから、短時間の訪問などでは聞くことのできない本音が聞けました。組織運営にかかわる課題は、日米間であまり変らないように思いました。」

将来へ向けて

槇氏は、昨年の4月にMOSAICAでの研修が終了して以来、ニンジンの事務局長として、アジア各地のNPOと共に活動し、彼らが「より成果をあげることができる組織となるため」の支援を行なっている。ちなみに「ニンジン」は、モンゴル語で「人道」を意味している。現在、ニンジンは、モンゴルの障害児を支援するNPOと活動している。
その傍ら槇氏は、東京を拠点とするシンクタンクでコンサルティングを行なっている特定非営利活動法人パブリックリソースセンター(CPRD) の理事でもある。CPRDでは、プロジェクトのひとつとして、2003年から「草の根団体のキャパシティを向上させる支援手法の開発を行なうとともに、財団、政府機関および中間支援組織等に、NPOのキャパシティ・ビルディングの重要性を理解してもらい、協働型支援基盤の構築をめざす」ことを進めている。

ビンダーアヴィレス氏にとって思いがけない収穫だったのは、槇氏のおかげで米国のNPOコンサルテーションの状況について、彼女自身の知識が広がったことである。というのも、槇氏が外部のワークショップに出席して関係者に話を聞き、また、他の組織の公開プログラムにも参加することが多かったからである。
「槇さんは、この国で誰が何をしているのか、その人たちはどんなことに取り組んでいるのか、どうやってそれを実行しているのかについての全体像を真剣に理解しようと努めていました。それで私も、彼女が得た知識や情報から学ぶことができたのです」とビンダーアヴィレス氏は語る。「ふだんは、とても忙しくて自分がしていることについて振り返る余裕などなく、また、同じ仕事をしているほかの人びとと交流する時間を作ることがなかなかできないのです」。

最近、MOSAICAは、全米の主なキャパシティ・ビルディング組織同士のつながりを作るためのプロジェクトに参加した。ミネソタ州にあるアムハースト・ワイルダー財団が発案し、資金提供を行ったこの共同プロジェクトでは、難民や移民のコミュニティに特化したキャパシティ・ビルディングやノウハウの提供を対象にしている。
「槇さんは、以前、この分野で活動している団体の情報を教えてくれたことがあります。それで、ワイルダー財団のプロジェクトに参加して、私はそのスタッフと知り合い、交流を深めることができ、彼らの取り組み方についていろいろと学んでいます。このように、それぞれが学んだことが波及効果となって伝わっているのです」。

槇氏とビンダーアヴィレス氏は、専門家同士の交流を通じて、否応なく互いの文化に深く係わり合い、世界規模の相互関係をそれまで以上に実感することになった。槇氏にとって、MOSAICAのような組織で働くスタッフと活動をともにできたことは、フェローシップで得た最大の成果であった。彼らは、仕事や生活の中で、クライアントの支援や能力向上という使命に全力で取り組んでいる。「幹部のエミリーやヒラリーをはじめ、他のスタッフも皆、まるで”MOSAICAスタイル”という名のライフスタイルを生きているような感じでした」。ビンダーアヴィレス氏も、人と人とのつながりにかけがえのないものを感じたという。
「私たちはNPOについてだけでなく、自分たちの生き方についても語り合い、それぞれが自分の仕事だけでなく、広い意味でコミュニティにどう関っているかをお互いに知りました。日本に新しい仲間や友達がたくさんできた思いです。将来、是非とも日本に行なってみたいと思っています」。

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