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日米センター 地域・草の根交流プロジェクトレポート Vol.6

地域・草の根交流プロジェクトレポート一覧

「日米の草の根NPO強化に向けた協働型支援基盤の構築」事業について

特定非営利活動法人 パブリックリソースセンター
理事・事務局長 岸本 幸子
 

事業の目的

岸本幸子

本事業は、社会変革をめざすNPOに対して、地域のNPO支援センター、マネジメント・コンサルティングを提供する専門的技術支援組織、財団等の資金提供組織などが連携して、専門的技術支援(テクニカルアシスタンス)を提供する「協働型支援基盤」(collaborative support infrastructure)を、日米のNPO支援組織の連携のもとで実現化することを目指しています。

つまりNPOが、資金的支援を得て、専門家のコンサルティングを受けることによって、組織体力の向上や運営体制の構築を実現し、ミッションをよりよく実行していけるようにしたいということが、プロジェクトの目指す最終的な目的となっています。
このような組織力強化のための専門的支援の仕組みは、日本のNPOの強化のために今後整備が必要なインフラであると私たちは考えています。

事業の背景

第一に、現在の日本のNPOについての状況認識です。現在NPO(特定非営利活動法人)は2万団体を超え、事業規模の上でも多様化しています。しかし特に中規模〜大規模の団体の抱える課題については、現在対応が十分ではありません。例えば、事業規模1,000〜3,000万円前後の団体が、運動性を維持しつつ独自事業をもった組織へテイクオフしていくためには、組織としての中期目標の明確化と組織内での共有、事務局長の能力向上、財源の多様化などが重要となり、このような課題の解決を支援する仕組みが必要とされています。
第二の背景は、米国でもこのような専門的支援を質の良いコンサルタントが無料で提供しつづけることは困難で、財団等の資金提供者と支援専門家との協働によるサービスの提供がなされていることを知ったことです。つまり、現在全米で300組織以上あるといわれているMSO(マネジメントサポートオーガニゼーション)では、MSOのクライアントの多くが、助成金や補助金を受けてMSOのサービスを利用していることが、「協働型支援基盤」を考えるヒントとなりました。

事業の内容と成果

本事業は2003年3月から約2年間にわたり、次のような調査活動と実験事業を展開しました。
【第1年度】
(1)米国における「協働型支援」の実態の把握
(2)日本の自治体によるNPO支援策、および地域支援センターにおける、専門的技術支援の現状把握
(3)国内のNPOが持つ専門的技術支援に対する要望に関するアンケート調査
(4)NPO組織診断ツールの設計・開発
(5)上記ツールを用いたNPO組織診断の実施

【第2年度】
(1)専門的技術支援の手法の開発と試行
(2)専門的技術支援の効果に関する評価方法の開発
(3)日本における「協働型支援体制」の諸モデルの提案
(4)研究結果の報告(フォーラムの開催)

これらを通じ、第一に現状についての認識を深めることができました。つまり、NPOの専門的支援に対するニーズが、「中期計画策定」「資金調達」「会員、運営協力者の拡大」「組織評価、ミッション見直し」「会計・財務処理」「事業企画のためのニーズ調査、マーケティング」にあることが明らかになりました。

Environmental Support Centerで評価手法開発のワーキング
Environmental Support Center
評価手法開発のワーキング
第二に課題把握のための組織診断プログラムの開発を行い、3団体で実施しました。診断ツールは、団体の運動性の社会変革へのインパクトの視点、事業運営の適切性の視点、環境変化への適応の視点の3つにもとづき、「基本的性格診断シート」「組織診断シート」「戦略検討ワークショップ用ワークシート」の3種類で構成されています。
診断は自己診断も可能ですが、コンサルタントが関わってファシリテーションを行なうことで、団体側の参加メンバーの気づきを促す、診断結果および提言の内容についての納得性を高める、提言内容の実行意欲を高めるなどの効果を生むことがわかりました。

第三に課題解決のためのコンサルティング手法を開発し、5団体で実施することができました。コンサルティング手法は、ひとつのNPOに対してコンサルティングを行なう「1対1型」と、共通の課題をもつ複数のNPOがグループで学びながらコンサルティングを受ける「グループコンサルティング」の2通りを開発しました。
前者はどちらかといえば大型の組織や歴史の長い組織を対象とし、当事者が普段できない調査、情報収集をコンサルタントが代わって行い、情報や分析結果を当事者の判断材料として提供することに特徴があります。
後者は比較的歴史の浅い団体を対象とし、座学、ワークショップ、ピア・ラーニング(同じ立場=ここではNPO=同士の学び合い)、個別相談などを複合的に実施し、参加団体の担当者が自ら改善策を策定するトレーニングを同時に行なうものです。
両者とも、内部環境分析や外部環境分析にもとづき、目標と現状のギャップを把握し、目標実現に必要な課題を明らかにし、課題解決に向けてやらねばならないことを、実施可能なレベルにまで小規模のステップに分解して計画に落とし込むという流れは共通です。参加したNPOからは、「ステイクホルダーからの情報収集」「現状の課題の整理」などが可能になった点に加え、コンサルタントの第三者としての視点や「考える時間をとる強制力」としての効果に高い評価が出ました。

第四に、コンサルティング結果の効果の測定のための評価手法の開発にも取り組みました。評価は、短期的な結果(output)の評価と、長期的な効果(outcome)の評価からなりますが、後者についてのコンサルティングとの因果関係の証明は大変に困難です。
この点について、本年3月に開催したフォーラムで講演した米国のマイヤー財団のリチャード・モイヤー氏は、「効果測定は定量的把握だけでなく、定性的把握を主とする」「(効果測定が困難であっても)NPOに良い事業を展開してもらおうとするなら、組織強化に助成するのは財団として自明の理である」と述べていました。

最後に、これらを通じて、私たちが痛感したことは、NPOに対するコンサルティングとは、団体のミッション、思想や活動に対する相互共感にもとづいて成り立つ協働関係であるということでした。コンサルタントはサポーター・コーチとしての基本姿勢をもち、NPOのミッションの実現に向けて伴走する支援者であることが必要であると思います。

次のステップ

コンサルティング手法を改善するとともに、資金提供者との協働によって実際にプログラムを実施していきたいと考えています。開発されたコンサルティング手法は、助成財団がグループコンサルティングへの参加費の助成や、組織診断のコンサルティング費用の支援を行なうケースに加え、地方自治体が事業委託先のNPOに対して運営能力強化を支援する、金融機関がNPO融資の健全回収のためにコンサルティングをする、大学院でNPOへのコンサルティングの実践を修士論文などに相当する卒業制作とみなすなど、多様な導入形態が考えられます。

今回の調査、実験事業は、日米の協働作業によって進めることができました。コンサルティング手法・評価手法の開発に米国側で協力してくれた Environmental Support Center, Institute for Conservation Leadership, CompassPoint, Meyer Foundation, Grantmakers for Effective Organizations等の支援組織、および Robert Bothwell, Jan Masaoka, Richard Moyers各氏をはじめとするコンサルタント、財団関係者等の皆様に心から感謝します。
チャンスを下さった国際交流基金日米センター、コンサルティングの実践の場を提供してくださったNPOの皆様に、この場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。

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