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日米センター 地域・草の根交流プロジェクトレポート Vol.7

地域・草の根交流プロジェクトレポート一覧

サービスラーニング(以下SL; Service Learning)とは、地域の課題を解決する体験学習を通して、体験を省察し、生活と学習の連関をつかむことにより、問題解決力、コミュニケーション力、生きる力、地域に貢献する意思を持つ市民性を培う学習活動です。
日米センター「市民交流プログラム」の助成を受けて実施された「サービスラーニング事業」では、SLに取り組む日米の小学校の交流や、理論及び実践事例の普及、事業の成果発表等を行ないました。事業を実施した特定非営利活動法人浜松NPOネットワークセンター主任研究員の山田清美様にご寄稿いただきました。

「サービスラーニング事業」について

特定非営利活動法人 浜松NPOネットワークセンター
主任研究員 山田 清美
 

山田 清美1.はじめに

浜松NPOネットワークセンターがサービスラーニング(以下、SL)に取り組む動機付けとなる機会は、国連の定めた2000年の「国際ボランティア年」に遡る。当時、公募により選ばれた児童に「子どもプレス事業」で、地域の市民団体やボランティアを取材してもらった。その活動情報を広く市民の皆さんと共有し、地域の課題や市民活動に関心を持ってもらうことを趣旨として行なった。

しかしながら、選ばれた少人数の児童の私塾のようになってしまった経験から、より多くの児童に地域の課題や市民活動を知ってもらいたいと願った。また、時期を同じくして浜松市東部を流れる安間川(天竜川の支流で一級河川)の都市型洪水を防止するための河川改修整備の市民原案策定事業を県から受託し住民と共に活動していた。その住民との会議で、流域の小学校長から総合的学習の時間でこの安間川の問題の出前講座を行なってほしいと依頼され、その翌年から2年間に亘る5年生の総合的学習の時間の支援が始まった。

1年目のSLプロジェクトでは児童の成長振りには目を見はるものがあった。手応えを得た先生方と当スタッフは事業2年目には、言葉も住む環境も違うアメリカの児童とそれぞれの地域の課題をテーマにSLプロジェクト交流をすることにより、さらに児童の学びや心の成長を促そうと考えた。

2.事業の実践

1年目の事業では5年生の総合的学習の時間において、SLの手法を用い、1学期は安間川での体験学習、2・3学期は1学期の体験をできるだけ他の教科のカリキュラムと繋げ、体験が科学的、論理的裏づけにより確かな知識へと結びつくよう教員とセンタースタッフが工夫を凝らした。それと同時にSLの日本での理解と当センターのSL活動を普及・共有するため、ホームページにSLサイトを設けた。

2年目も5年生の総合学習を支援したが、前年度の5年担任は持ち上がりとなり総入れ替えとなっただけでなく、校長も転任され、また最初から学校側との関係作り、SLや前年度の活動の説明から始める所からのスタートとなった。前年度の支援に付け加えこの年は米国の小学校と地域の川をテーマにインターネットによるSL交流を行なった。

1年目も多忙な先生方となかなか打ち合わせの時間が取れず苦労したが先生方のご理解とご協力を得て、体験活動がカリキュラムと連関されSLに発展した。2年目は担当された先生方がまだ総合的学習に対して不慣れであったことから、個別に体験学習、調べ学習、発表と決められた枠組みで発表するため学習になり、期待通りのSLに発展しきれなかった事が残念である。2年目の事業の終わりに、日本から先生と共に渡米して、全米サービスラーニング大会において、この2年間の日本の事例として発表し、また、米国の交流した小学校の先生・児童と合同発表する機会を得た。その翌週には静岡市でも日米SLの事例報告と研修、討論を兼ねたフォーラムを開催した。

3.米国のSLと日本の総合的学習の時間

この2年間SL事業を行ない、米国のSLと日本の総合的学習の時間の大きな違いは二つあると感じた。一つ目は、SLは厳格に体験学習が各教科のカリキュラムと連関されていて科学的・論理的裏づけから学び、確かな知識を更に、現実の生活での応用力に導いていることだと感じた。二つ目は、米国のSLは個人ではなくグループで学び、グループ間で情報交換したり(コミュニケーション能力の育成)、共有することにより更に豊かな学びを実現することに重きを置いている。
これこそ生きる力の育成であり、地域という現場でさまざまな人々(ロールモデルとなりうる大人)により支援された学びは単に学習の力を高めるだけではなく、子どもの心も育み、未来の責任ある市民として育つのではないだろうか。

一方、日本の総合的学習の時間では「生きる力を育てる」という漠とした目標しか文部科学省から提示されておらず、年間115時間近く設けられているにも関らず、後は各学校の校長や担任に任されているというのが現状だ。これでは、教員の熱意や知識、学校長の裁量によっていかようにもなってしまい、学校間によって差がついてしまう。その教育現場に課せられた負担と現状を事業で経験し、日本の教育に危機感を抱いた。

また、昨今の学力調査で日本の子どもの学力、応用力の低下が叫ばれているが、マスコミの論調に振り回され、充分な努力や研究もなされないまま総合的学習の時間が学力低下を招いたのだという風潮はいかがなものかと思う。それにより、また現場の先生が政策に振り回され、結果的に子どもにしわ寄せが行なってしまう事にならないだろうか。

4.おわりに

米国の学校関係者やNPO関係者の方々と本事業において一緒に活動していく中で、今まで当然と受け止めていたような日本の教育の良い点に改めて気づかされる場面が幾度となくあった。確かにSLにおいては日本の総合的学習の時間はまだ施行されて若干3年程度であるので、30年近く紆余曲折を経験してきた米国とは比較にもならない。

しかしながら、現実的に米国のSLで地域の川の問題のプロジェクトをしている子どもたちも、日本の総合的学習の時間でやはり地域の川の環境を調べている子どもたちも、国や教育政策は違っても水質を調べたりPhを調べたり基本的にやっている事はほとんど変わらないということに、本事業の日米関係者は共感を覚えた。
そして、SLや総合学習の支援を行なう私たちの願いは、未来を担う子どもたちに、課題や問題に直面しても責任ある社会の一員として解決していけるだけの生きる力(考える力、互いに協力する力、コミュニケーション能力、他人を思いやる心)を発展できるよう地域全体で支え続けることだと思う。

2年間にわたり暖かく見守り続け、SL事業を助成くださった国際交流基金日米センターにこの場を借りて御礼を申し上げたい。

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