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日米センター 地域・草の根交流プロジェクトレポート Vol.9

地域・草の根交流プロジェクトレポート一覧

Art Communication Project(ACOP)とは、知識でアート作品を鑑賞するのではなく、他の鑑賞者とコミュニケーションすることで作品を読み解いていく対話型美術鑑賞プログラムです。日米センター「米国NPOを知ろう」の助成を受けて実施された京都造形芸術大学の「美術鑑賞教育プログラム」では、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で対話型鑑賞プログラムに携わってきたアメリア・アレナス(Amelia Arenas)氏を招聘しました。同氏を講師に迎えて、鑑賞授業の講評会や、教育現場で今後美術鑑賞プログラムを実践するための方法を探るワークショップを開催しました。今回は、このプロジェクトの事業担当者である高橋葉子氏に、ご寄稿いただきました。

「美術鑑賞教育プロジェクト「ACOP(Art Communication Project)

京都造形芸術大学 芸術表現・アートプロデュース学科
福のり子研究室 高橋葉子
 

高橋葉子氏 『この絵の中で何が起きていますか?』
生卵が割れる瞬間を写真と見紛うばかりのリアルさでとらえた絵を前にして、そう聞かれた子どもたちは一斉に手を挙げた。
『この絵は写真みたいだけど、写真じゃないと思います』
『どうしてそう思うの?』
『写真だったら卵を割る手が写っているはずだから』

京都造形芸術大学芸術表現・アートプロデュース学科とNPO「子どもとアーティストの出会い設立準備室」が協力して進める美術鑑賞教育プロジェクト「ACOP(Art Communication Project)」のプログラムを、京都市内の小学5年生を対象に行なったときの一場面である。

ACOPとは、1つのアート作品を何の予備知識も持たずにみて考えたことを言葉にし、グループで意見交換しながら作品への理解を深めるという鑑賞方法を実践していこうというプロジェクトである。アート作品は作品をみて感動を覚える人がいて初めてアートしての生命を持つ。そのような作品と鑑賞者の間のコミュニケーションを促すこと、そのコミュニケーションを周囲の人たちとも共有していくことがACOPの趣旨である。そして1980年代にアメリカで確立されたこの方法を日本で知ってもらい、教育現場や美術館に根付かせることが、私たちの最終目標である。

ACOPを行なう意義とはなにか。
冒頭の子ども達の発言をもう一度見て欲しい。彼らは自分の眼で観察して、生卵が写真ではないことを発見したのである。ただ作品解説を読んでわかったような気になっている人にこのような鋭い発見はできるだろうか。みて、考えて、話す。この作業を通じて得ることができるものは大きい。観察力、思考力、コミュニケーション能力、もちろん古今東西のアート作品が与えてくれる感動も大きな収穫だ。

この方法を日本で実践していく最初のステップとして、京都造形芸術大学芸術表現・アートプロデュース学科では2004年度、学生を鑑賞者を導くナビゲーターとして育てる授業を年間を通じて開講した。同年11月から翌年1月にかけては一般の方を鑑賞ボランティアとして大学に招き、学生がナビゲーターを実践し、好評を得た。2年目の今年は、大学の外に出て社会と繋がりを持とうという方針だ。NPO「子どもとアーティストの出会い」設立準備室という協力者を得て、市内の小学校でプログラムを実施することとした。学生にとってもNPOにとっても大きな挑戦である。

ワークショップの写真1そこで2005年6月27日から7月4日まで、ニューヨーク近代美術館(MoMA)でこの方法論を確立させた中心人物のひとりで20年にわたり美術教育専門家として活躍するアメリア・アレナス(Amelia Arenas)氏を招き、学生やNPO関係者に対する直接指導を請うとともに、教育者・美術館関係者を対象として子どもに対するACOPを実践するためのワークショップも行なった。

前者で具体的な指導を受けたナビゲーターたちは9月以降も小学校でACOPを実践してその成果を生かすこととなっている。

また、後者のワークショップでは、50名の定員を大幅に超える130以上の応募をいただき、当日は対話型の美術鑑賞とはどのようなものかを実際に体験してもらった上で、その有効性や方法論の講義を行なった。

参加者の方々にはおおむね面白いと感じていただいたようで、皆がアレナス氏の言葉にうなずく場面が多くみられた一方、様々な質問も飛んだ。
『本当に作品に関する美術史的知識を教えなくていいのか』
教育者という立場からは当然の質問であろう。それに対するアレナス氏の答えは明快だ。
『子どもたちは目の前にある絵について話したいのです。例えば印象派の意義など美術史について話したいわけではありません。もし情報を与えるなら自分で見たことをAha!と再確認させるもの、Hmm..と更なる観察と思考をうながすもの、Wow!と新たな視点を与えるものだけにするべきです。』
大切なのは直接作品の中にみたものから発展させていくことである。最初に知識や解説をふりかざしては、観察も思考もその場で停止してしまう。みて、考えて、話す。全てはそこから始まる。

ワークショップの写真2

幸いにしてACOPは各所で興味を持っていただいている。今夏には京都市内の小学校の先生を対象に行なう予定であり、また、本大学で高校生を対象としたギャラリートークや、アサヒビール大山崎山荘美術館では中学生対象のギャラリートークとワークショップが行なわれる予定になっている。いくつかの美術館からも要望がきており、夏から秋にかけては、それらでも同様のプログラムを開催する予定である。大学の一教室で学んだことが、大きく外にむかって飛び出し、そして着実に根付きはじめているのだ。大切に育てたい。

最後になるが、ACOP実施にあたって多大なご協力をいただいているジャパンファウンデーション日米センター、衣笠小学校、アサヒビール株式会社を始めとする方々に改めて心からの感謝を申し上げたい。これらのご協力なしではACOPは成り立たなかった。今後ともご理解、ご協力を賜ることをお願いするしだいである。

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