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日米センター 地域・草の根交流プロジェクトレポート Vol.10

地域・草の根交流プロジェクトレポート一覧

「第57回日米学生会議を終えて」

国際基督教大学 教養学部国際関係学科3年
杉田道子

 
杉田道子氏日米学生会議は、1934年に日米関係の悪化を憂慮した日本人学生4人が日米の学生の対話を実現しようと始めた、「学生の、学生による、学生のための会議」である。
戦後60年を迎えた今年は、前回会議以来の課題である歴史認識についての問題と、良好とされる日米関係の将来における不透明さに光をあてつつ、「共に創る明日〜戦後60年を今日振り返る〜」というテーマのもと、第57回日米学生会議を滋賀・京都、広島、沖縄、東京で開催した。
アメリカからは、Harvard University、Stanford University、Cornell University、ほか、南部や中西部からの大学生・大学院生が38名、日本からは、関東を中心に、九州や中国地方などの大学からも様々なバックグラウンドを持った39名が参加した。

京都での散策の写真
京都での散策
会議中は、分科会という小さなグループに分かれて勉強会のように進める活動を軸に、全体でのパネルディスカッション、フィールドトリップ、文化交流イベントなど、多様な活動を行ないながら、「戦後60年を迎えて日米の歴史(過去〜現在)を同じ視点に立って振り返ること」、そして「今後(未来)の日米関係のパートナーシップを探ること」を目指した。ここでは1カ月に及ぶ会議の中で特に印象的だった2つの個人的体験をご紹介したい。

まず、戦争を知らない私たちが日米の過去を学ぶため、広島では「はだしのゲン」の作者である中沢啓治氏や長崎国際大学名誉教授の中根允文教授、在日韓国朝鮮人の李実根氏をお招きして講演していただき、広島平和記念資料館の見学をしながらディスカッションを行なった。
また、沖縄では嘉手納米軍基地を訪問したり、辺野古での基地反対座り込みの見学など基地問題を考えると同時に、地上戦の際に使われた防空壕を見学したり、ひめゆり学徒隊員だった方のお話を聞いたりした。
以上のような活動を毎日のように行ないながら、連続的に仲間と議論しつつ、平和について考えたわけだが、そうした思考の過程で戦争の直接的な体験者から語られる「平和」メッセージが、現在の国際情勢とは若干共存し得ないもののように思え、「ではどうすればよいのか」が見えないことに悩み、無気力感に襲われさえした。

しかし、私は沖縄の辺野古で基地反対運動の座り込みをしているおばあさんと、非常に力強い対話をした。おばあさんは、基地問題の根幹ともいえる政治、そして経済問題についての私の質問には何一つ答えなかった。しかし、「生活がかかってるんじゃ」と力強く環境への思いや基地に対する不満を語るのを聞き、私は非常に感動し、戦争/基地問題の直接的な体験者に打開策まで求めていた自分に腹立たしくなった。
戦争で家族を失った世代から受け取った力強いメッセージを基に、戦争を経験していない私たちがどう行動しなくてはならないのか。それは、メッセージを鵜呑みにすることではなく、想像力を駆使しながら精一杯悩み、冷静に現実的なアクションを起こしていくことだと実感した。

次に、日米関係の未来を考えるきっかけとして、中国との関係という視点を取り入れたことにふれたい。そもそも、日米学生会議は「世界の平和は太平洋の平和にあり、太平洋の平和は日米関係の平和にある。その一翼を学生も担うべきだ」という信念のもとで設立されたのだが、「日米関係は十分改善されたのでは?」という問いが発展し、今後太平洋でも影響力を増していくであろう中国について、三カ国の視点から考えるべきなのではないか、と思うようになったからである。このため、北京大学から11名の学生を迎え、東京で三日間の会議を行なった。
予算の関係上、中国の学生には「交通費は自己負担。東京で三日間の会議に参加」という条件で募集したのだが、なんと24名もの応募があり、これには非常に驚いた。後になって聞いてみると、やはり中国の学生にとっても今春行なわれた反日デモの標的にもなった日本人と話す機会が無いことを残念に思っていたそうだ。

広島平和公園にて折鶴奉献の写真
広島平和公園にて折鶴奉献
会議前、中国は私にとってあまり身近なテーマではなく、受験戦争の勝者である中国のエリートたちがどのような人たちなのか想像もつかなかったのだが、参加してくれた中国の学生は、私の想像を大きく裏切り、活発で素直で、本当に優秀な学生ばかりだった。
議論のテーマの一つとして取り上げた教科書問題については、中国側参加者は日本の「新しい歴史教科書」が強制使用だと思っていたらしく、実際の学校での導入率は1%にも満たないという事実に非常に驚いていた。
また、私たちは中国では一冊の共通の教科書が使われているものと考えていたが、実は地域ごとに差があるらしく、一様でないことが分かった。また、あるアメリカ側参加者より、なぜアメリカが中国をある種の脅威として見ているのかがよく分からないとの発言があり、これについても日米中の視点で議論し、アメリカ人の世界観が形成されていく過程で政府の戦略がどのように作用しているのか、という話になった。また、中国の民主化についても、参加者と多様な意見を交換した。

米国側実行委員長、来年度実行委員長との写真
米国側実行委員長、来年度実行委員長と
たった三日間の話し合いだったので、この会議で日米中の学生がお互いを尊重しあって議論し、共有した問題意識が、今後解決に向かうことが出来るのかは不明である。しかし、反日デモについても十分な議論の無いまま風化し始め、中国との溝が埋まっていく気配の見えない今日、このような議論に裏打ちされた実質的なネットワークを築けたことが、日米中三国にとって小さくても確実な一歩であったことを、強く確信している。

日米学生会議から得たもの。それは、学問を通じて国際社会について学ぶ学生が、共に行動することによってどこかで平和構築のための実感を得たことだと思う。
そして、私がこの会議の運営を通して学んだこと、それはひとつひとつのプロジェクトの成功・失敗をすべてひっくるめて、この一言に集約されると思う。“Light the candle before complaining about the darkness.” 理想には程遠い世の中でも、自分なりの灯りをともす作業は、この上なく楽しい作業なのだと考える。

●日米学生会議のウェブサイトはこちら Link
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