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日米センター 知的交流プロジェクトレポート Vol.1

知的交流プロジェクトレポート一覧

CGP知的交流プログラムの助成対象事業からの報告です。日本とアメリカはこれまでに資金協力、技術協力、情報提供、人材育成など様々な形により途上国支援を行ってきました。長尾氏が率いる日米の対話プロジェクトでは、日本とアメリカの大学が、援助機関や途上国の大学と提携することにより、教育分野の途上国支援の一助となることを模索しています。プロジェクトの現状と、今後の取り組みについてご寄稿いただきました。

発展途上国への教育協力における日米大学の新しい役割を求めて

広島大学 教育開発国際協力研究センター教授
長尾 眞文
長尾 眞文氏の写真 1990年の世界教育フォーラム(ジョムティエン会議)に始まった「万人のための教育(Education for All)」実現のための世界的な動きの中で、近年大学をはじめ高等教育機関が果たす役割に注目が集まっている。そこでの主要な関心は、発展途上国の人材育成を担う大学や高等専門教育機関をいかに強化し、より自立的な教育開発の展望を開くか、そしてその長期的な課題に対して先進援助国の大学・研究機関がいかに支援できるかである。*1
 広島大学教育開発国際協力研究センター(CICE)は、日米センターからの助成を受けて、2004年10月10日〜12日に広島市で、日米の大学および援助機関の教育協力専門家の間でこの問題について検討する「日米大学間対話セミナー」を主催した。本稿では、この対話セミナーの結果とそれを起点とする新たな人づくり協力の可能性について紹介したい。

日米大学間対話セミナー

広島での会議の様子の写真
広島での会議の様子

 広島市内のホテルに合宿する形で開かれたセミナーには、日米合わせて約30名の教育協力専門家が参加した(下記の表参照)。日本側参加者は、主として文部科学省の主導する国際教育協力拠点システムに参加する大学関係者と国際協力機構(JICA)、国際協力銀行(JBIC)の教育専門家で構成した。米国側の参加者の構成・人選は、このセミナーを共催したAssociation Liaison Office for University Cooperation in DevelopmentALO*2に依頼した。セミナーの目的は、発展途上国の基礎教育開発に対する協力に対して日米の大学がどのような役割を果たしてきたのかについて、日米間で率直な意見交換を行うとともに、双方の大学の連携に基づく新たな教育協力の可能性を模索すること。特に日米の大学と途上国自身の大学の三者協力による基礎教育開発支援の実現可能性を検討することが、主たる狙いであった。両国の援助機関関係者によるセミナー参加は、議論ができるだけ具体的な協力ビジョンの作成に導くようにとの意図によるものであった。

 3日間セミナーの第1日目は、井上正幸文部科学省国際統括官による基調講演に始まり、両国大学による教育協力活動の概観と事例紹介および日米それぞれのグループ協議を行った。第2日目は、援助機関の視点から見た大学による教育協力の課題、途上国高等機関との連携の問題に関する検討および日米大学間協力に関する小グループ協議を行った。最終日の第3日目は、セミナーの総括討論を行うとともに、日米大学間連携コンセプトの実現に向けての具体的施策の検討を行った。

対話セミナー参加者の大学・機関
日本側 米国側
大学関係者
 お茶の水女子大学
 名古屋大学
 神戸大学
 大阪大学
 鳴門教育大学
 宮崎大学
 筑波大学
 早稲田大学
 広島大学
 政策研究大学院大学

援助機関関係者
 国際協力機構(JICA)
 国際協力銀行(JBIC)
 文部科学省(国際開発協力サポート・センター)
大学関係者
 ミシガン州立大学(2)
 ミネソタ大学
 モンタナ大学
 インディアナ大学
 ジョージワシントン大学
 プリンス・ジョージ・コミュニティー・カレッジ
 プレトリア大学
 UNESCO(出向者)

援助機関関係者
 米国国際開発庁(USAID)

 今回の会議を対話セミナーと称した意図は、参加者間の活発な意見交換を促すことにあった。そのため文書よりも口頭による報告や小グループ討論を多用した。ラウンドテーブルで常にお互いの顔が見えるように座席を配置した。使用言語は英語で統一し、通訳なしに話が進むようにした。参加者は、全員会場のあるホテルに同宿したので、食事の席や休憩時も含めて文字通り朝から晩まで一緒で、同じ途上国(例えば、南アフリカ、ガーナ、インドネシア)で教育協力に従事している者同士、類似の援助事業(例えば、理数科教育、女子教育、教員研修)に携わる者同士といった形で、密度の濃い情報・意見の交換が行われた。

 対話セミナー終了時の参加者の感想は、異口同音に「実り多い会議」であった。主催者としての主要な成果は、
(1)途上国の大学も交えた3者連携による基礎教育支援に関心のある日米専門家のネットワークができたこと、
(2)アフリカとアジアのいくつかの国でそのような連携を具体的に模索する可能性が確認されたこと、
(3)3者連携のパイロット事業を実施する必要が合意されたこと、
の3つであった。会議のラポルツールを務めたミシガン州立大学のアン・オースティン・ベック博士のまとめを借りると、「日本の国立大学が法人化で独立性を獲得したこと、米国の大学が国際化に動き始めたこと、両国の援助機関が大学とのより密接な連携に関心を持っていること等々、日米の大学が新たな形で途上国への協力に関与する機運は高まっている。今、必要なのは、創造力、実行意思、共同作業の組み合わせにより、この会議で産み出したビジョンを現実のものとすることである。」というのがセミナーの結論であった。

*1
広島大学教育開発国際協力研究センター『国際教育協力日本フォーラム報告書』(東京、2004年3月4日)を参照されたい。

*2
ALOは、米国の大学による開発協力参加を促進する目的で、同国の6つの高等教育機関の連合組織が共同で1992年に設立したNPO(本部:ワシントンDC)で、主に国際開発庁(USAID)の補助を受けて、高等教育機関の連携による国際協力の推進を図る事業を展開している。


対話セミナーのフォローアップ

 セミナーの最終セッションでは、会議の具体的なフォローアップとして、次の3つの活動を行うことが決まった。第1は、日米大学と途上国の大学の3者連携による教育協力に関するE-メール連絡網を形成すること。第2は、各大学がアフリカ、アジア地域で現在行っている教育協力活動の「見取り図」を作ることで、そのために対象国、活動目的・内容、現地連携機関、投入資源等に関する情報を持ち寄ること。そして、第3は、実際に前述した3者連携のパイロット事業を日米の有志大学間の協力で実施することである。言うまでもなく、最も重要なのは、3番目の協力事業の実施であるが、セミナーに参加した米国国際開発庁(USAID)が、実施に向けての資金提供の意思表示をしたため、極めて現実的な課題となった。このフォローアップについては、セミナー参加者の委託を受けたミネソタ大学のデビッド・チャップマン教授が、3者連携のパイロット事業実現のためのステップに関するメモを作成し、現在関係者間で検討中である。日本側も、名古屋大学、神戸大学、広島大学を中心として連携実現のためのグループを形成して、フォローすることが決まっている。

 今回の対話セミナーの長期的な成果は、そのような一連のフォロー・アップ活動の結果に依存することになる。その関連で特記しておきたいことは、日米両国政府が特に教育開発の遅れているサハラ以南のアフリカ諸国に対する教育協力に強い関心を持っていることである。この関心は、2002年6月のカナナスキス・サミットでの「G8アフリカ行動計画」の採択により、アフリカ諸国の自立のための教育開発支援の動きとして結実している。米国は、同年同月に「アフリカの教育支援のための大統領イニシャティヴ」を発表(5年間でアフリカの教育の質の改善に2億ドル支出予定)した。日本は、小泉首相がヨハネスブルグの環境と開発サミット(2002年9月)でアフリカ諸国限定ではないが、5年間で2,500億円の教育援助を約束し、2003年9月のTICAD IIIでアフリカの基礎教育開発支援の意思を表明している。広島大学CICE は、TICAD IIIのフォローアップの一環として、UNESCO高等教育局、JICA、国連大学と協力して「基礎教育開発のためのアフリカ高等教育機関ネットワーク」形成事業を立ち上げ中で、今回の日米大学間の連携による3者連携もその枠組みの中で実現したいと考えている。これら一連のフォローアップに関する経過は、2005年2月8日に東京で開かれる予定の第2回国際教育協力日本フォーラム(Japan Education Forum) で広島大学から報告する予定である。*3



*3
国際協力日本フォーラム(Japan Education Forum/JEF)は、文部科学省、外務省、広島大学、筑波大学の共催による年次フォーラム。国際教育協力に関する発展途上国の自立に向けた教育開発の重要性とその自助努力を支援する国際教育協力の必要性について、途上国の行政責任者と内外の援助機関関係者が自由かつ率直に意見交換する場を提供することを目的とする。


対話セミナー方式の評価と応用

 今回の対話セミナーの成果を客観的に評価する目的で、ハンス・ファン・ヒンケル国連大学学長に事業をフォローしていただいている。国連大学は、組織として多様な大学間連携を支援している上、途上国に対する教育協力の推進を重要課題として扱っていることから、同学長には「ピア・レビュー」に近い評価を期待している。評価次第では、今回のような大学間対話方式セミナーの他の教育協力分野(例えば、農学教育、工学教育)への応用も検討課題として浮上する可能性がある。事業実施者として、ぜひそのような展望が開けることを期待している。
以上
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