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日米センター 知的交流プロジェクトレポート Vol.5

知的交流プロジェクトレポート一覧

日米センター知的交流プログラムでは国際経済を優先課題(安全保障・国際経済・持続可能な開発・医療と高齢化・シビルソサエティ)のひとつとして位置づけ、支援しています。
今回は東京経済研究センターが全米経済研究所(NBER)と共同で行なっているアジア太平洋経済問題についての討論会とその成果の図書出版を支援しました。
日本側プロジェクト責任者の東京大学教授伊藤隆敏氏に事業の紹介記事を寄稿いただきました。

*論文について詳細はNBERWebページで紹介されています。原稿のダウンロードも可能です。

財団法人東京経済研究センター研究事業 「超低インフレ下の金融政策」

財団法人東京経済研究センター
伊藤 隆敏

伊藤 隆敏氏の写真本事業は、東京経済研究センター(TCER)と全米経済研究所(NBER)が中心となり、イニシアティブをとって、アジア太平洋地域の研究機関と共催で、毎年行っている「東アジア経済セミナー(EASE)」シリーズの第15回である。数年に一度、日本に会議開催担当が廻ってくる。5年前にも、CGPに支援をお願いしたので、EASECGPの縁も深い。

EASEシリーズの最初の13回は、伊藤隆敏が、Anne Krueger教授(元スタンフォード大学教授、現在国際通貨基金筆頭副専務理事)と共同編集者をつとめ、第14回からは、伊藤隆敏が、Andrew Rose教授(カリフォルニア大学、バークレー校)が共同編集者である。テーマは、毎年変わるものの、研究機関の中心の人にはなるべく討論者として、毎回参加を要請している。このため、多くの日米、アジアの学者ネットワークが、このEASEをきっかけとして、作られつつある。

NBERは、アメリカにおいて、主要な経済学者を組織しているネットワークであり、TCERは、同様に日本の経済学者を組織しているネットワークである。大学横断的に、分野ごとの研究グループを形成している。このようなネットワークをさらに国際的に結び付けている活動のひとつが、EASEである。

 

セミナーのようすの写真
2004年6月に東京で開催された
EASEのセミナーのようす

2004年のEASEは、「超低インフレ率下の金融政策」というテーマでおこなわれた。日本は、長引く経済停滞の末、1998年頃より、デフレ(消費者物価で測って、マイナスのインフレ率)に陥った。1999年2月からは、ゼロ金利政策が採用され、伝統的な金融政策手段では、最大限の緩和策をとることになった。
日本の数年にわたるデフレ経験は、戦後の先進国の中では、はじめての経験である。

デフレになると、金融政策にも1990年代後半には、日本以外の先進国も、インフレ率が2%以下になるなど、1970年代、1980年代とは違って、インフレ率が低いことのリスクが研究対象として注目を浴びるようになった。

不況が続くことでインフレ率が下がり、そのままデフレになったわけだが、いったんデフレになると、経済回復することは、非常に難しくなる。たとえば、銀行借り入れで設備投資を考えている会社を考えてみよう。デフレが続き将来の価格が低くなるということは、名目の売上げ額は減少する一方、借り入れの名目額は減少しない。住宅ローンも決められた額を返済しなくてはいけない一方、賃金も住宅価格も下落すると、ローンの返済が難しくなる。つまり、債務を負う企業や個人にとって、デフレは、さらに消費や投資を冷え込ませる効果をもち、それが不況を深めて、さらにデフレを悪化させる。

会議後の歓談のようすの写真
会議後の歓談のようす
さらに、日本のように利子率がゼロまで緩和されると、それ以上の金融緩和は出来ない。ところが、デフレになると、デフレになればなるほど、実質金利は上昇することになる。不況であるのに、実質金利は高止まり、しかも金融政策としてそれ以上打つ手はない。これが日本の2001年以降、日本がおかれた状況である、といえる。間違いは、そもそもこのような、デフレが発生することを許した、後手後手の金融政策にあったが、いったんデフレになってからは、思い切った非伝統的な金融政策に踏み切らなかったことにある。さらに、将来のデフレ期待を断ち切るために、インフレ目標政策(あるいは、物価水準目標)の採用も考えられる。

アメリカにおいても、2001年から2002年にかけて、大きくインフレ率が低下したため、金融政策は大幅に緩和された。この時期のアメリカは、すでに日本がデフレに陥って政策が行き詰まっているのを見ていたため、従来の金融政策よりもかなり早め早めの金融緩和が行われた。日本の失敗が反面教師として生きたのである。

このコンファレンスで発表された論文は、このようなデフレや超低インフレ率のもとでの金融政策のあり方を検討している。以下、The University of Chicago Press より今後出版予定の研究成果図書 “Monetary Policy with Very Low Inflation in the Pacific Rim, Ease Asia Seminar on Economics, Volume 15”(2005年秋出版予定)の目次である。


Introduction
Takatoshi Ito, University of Tokyo and NBER
Andrew K. Rose, University of California, Berkeley and NBER

I. Monetary Policy Strategies
“A Monetary Policy Rule for Automatic Prevention of a Liquidity Trap”
Bennett T. McCallum, Carnegie Mellon University and NBER
“Monetary Policy, Asset-Price Bubbles and the Zero Lower Bound”
Tim Robinson, Reserve Bank of Australia
Andrew Stone, Reserve Bank of Australia
“Money Growth and Interest Rates”
Seok-Kyun Hur, Korea Development Institute

II. Japan Deflation
“Financial Strains and the Zero Lower Bound: The Japanese Experience”
Mitsuhiro Fukao, Keio University
“Two Decades of Japanese Monetary Policy and the Deflation Problem”
Takatoshi Ito, University of Tokyo and NBER
Frederic S. Mishkin, Columbia University and NBER
“Monetary and Fiscal Policy in a Liquidity Trap: The Japanese Experience 1999-2004”
Mitsuru Iwamura, Waseda University
Takeshi Kudo, Hitotsubashi University
Tsutomu Watanabe, Hitotsubashi University
“Fiscal Remedies for Japan's Slump”
Laurence Ball, Johns Hopkins University and NBER

III. Case Studies
“Stock Market Liquidity and the Macroeconomy: Evidence from Japan”
Woon Gyu Choi, International Monetary Fund
David Cook, Hong Kong University of Science and Technology
“Interest Rate, Inflation, and Housing Price: With an Emphasis on Chonsei Price in Korea


    Dongchul Cho, Korea Development Institute
“Deflation and Monetary Policy in Taiwan“
Ya-Hwei Yang, Chung-Hua Institution for Economic Research
Jia-Dong Shea, National Taiwan University

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 NBERやアジアの研究機関とのネットワークを可能にしているCGPに深く感謝したい。

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