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日米センター 知的交流プロジェクトレポート Vol.6

知的交流プロジェクトレポート一覧

ジェームズL.ショフ氏は外交政策分析研究所の上級研究員であり、「TCOGを超えて」プロジェクトの研究主査も務めています。ここではショフ氏が研究主査を務めるCGP助成対象事業「TCOGを超えて」プロジェクトについて、内容の紹介と、最近の動向を報告していただきます。

ショフ氏の最近の刊行物には「日米の危機管理:劇変の中での協力の可能性を探る(Crisis Management in Japan and the United States: Creating Opportunities for Cooperation amid Dramatic Change)」(Brassey's社、2004年)(編集者)、「大量破壊兵器のない朝鮮半島を目指す6カ国協議の機能強化(Building Six-Party Capacity for a WMD-Free Korea)」(Brassey's社、2004年)(共著者)があります。

 

TCOGを超えて:日米韓三カ国の政策調整体制の強化(第2部)

(第1回中間報告はCGP英語版Webサイトに原文で掲載しています)

タフツ大学 フレッチャー・スクール附属 外交政策分析研究所 上級研究員
ジェームズ・L・ショフ
2005年3月4日執筆

ジェームズ・L・ショフ氏の写真第1回中間報告書で述べたように、この6年間、日米間および米韓同盟の分野では、いくつかの新しい試みがなされたが、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK、北朝鮮)に対する共通の政策立案を目指す日米韓三国調整監視グループ(TCOG)を設け、活動してきたことは、よい成果を果たしてきた。*1
この会合は米国、日本、大韓民国(ROK、韓国)の外交当局の高官が参加して、定期的に開催されており、三国の政府が北朝鮮に対する有効な政策についてさまざまな選択肢を協議するだけでなく、それまでなかった定期的な政策調整ができるようになった。

しかし、TCOGは1999年の正式発足以降、その機能の面でも、より広い交渉の枠組みにおける役割という面でも、大きな変化を遂げてきた。*2
TCOGのプロセスは、北朝鮮に対して採るべき政策をめぐる意見の対立という重圧にあえぎ、疲れ、弱体化しているという意見がある。
一方では、TCOGは、今では開催のかたちがますます非公式になり、その回数も少なくなったが、これは過去数年間、日米韓三国の関係が強まったためであり、三国間の外交で、儀礼的な装いをほとんど必要としなくなったためであると反論する者もいる。

TCOGの真実の姿は、最初の中間報告書で述べたように、この二つの見方の中間に位置するが、どのような理由でこうした変化が起きたとしても、最も重要なことは、TCOGが いまや、6カ国協議として知られている多国間交渉のプロセスの中に組み込まれており、そこでは、同盟国間の指導組織として機能しているということである。*3

 

外交政策分析研究所(IFPA)は、日本と韓国のパートナー(国際関係日本フォーラムと延世大学国際研究大学院)と共同してTCOGのこれまでの活動の経緯を研究してきた。上記の第一次中間報告書では、外交手段としてのTCOGのこれまでの活動について述べた。

この報告書を出したあと、研究チームは、日米韓三国が対北朝鮮政策で、緊急を要するものにとどまらない広範な政策調整ができるように、TCOGをどのようにして、強化し拡充(或いは単に増やす)することができるかについて調査してきた。プロジェクトの目標は全体として、2つの二国間同盟を強化し、その間をつなぐ仕組みを作り出すことだが、これは、いまの同盟体制を将来にわたって堅持させるために不可欠なことと見られている。
ワークショップ会場の様子の写真1
左から順にKim Dong-Shin(元韓国国防長官)、神保謙(財団法人日本国際フォーラム研究主管)、William Perry(元米国国防長官)、著者、高木誠一郎氏(青山学院大学教授)

ワークショップ会場の様子の写真2
2004年11月に東京の国際文化会館で
行なわれた日米韓ワークショップ会場の様子
プロジェクトチームは、2004年11月、東京で開催された3カ国のワークショップでの議論をもとに、第二次中間報告をこのほどまとめた。ワークショップでは、米軍の再編と世界的な軍事態勢の見直し(GPR)について検討した。これと共に、日本と韓国における危機管理の改革についても討議し、従来の危機管理計画とは異なる安全保障分野で、三国がどのような協力体制をとれるかについても考察した。

日韓両国の危機管理体制の改革は、これら同盟国の安全保障政策、軍事態勢、指揮統制(C2)プロセス、情報収集能力、そして関連する国防物資の調達計画についても、現在行なわれている変更と関連して実施されている。このワークショップの開催直後に、南アジアおよび東南アジア諸国が壊滅的な地震と津波に襲われ、20万人以上の人々が死亡した。
これに対して国際社会は、これまでにない規模の救援活動を行ない、数千とまでは言えないにせよ、数百の人命救助に寄与した。TCOGの三国はいずれも、この悲劇に対応するために、それぞれ、新たな危機対応措置の一部を実行した。この出来事によって、この地域の多国間の協力体制を詳細に検証する機会を得ることができた。

津波に対応した2004年の事例から、同盟国が共同して協議し、計画を立案し、訓練・演習を行なうことにより、危機に際して、各国がより効率的かつ効果的に協力できることが明らかになった。また、ある種の危機に対応するには、迅速に人命救助活動に赴くために、周辺地域からの軍事力による応援が欠かせないことも明らかである。とりわけ、交通の手段が限られるフィリピンやインドネシアのような島嶼国の場合はそうである。日米および米韓の軍事関係が、他に例のない独特な性格を持つものであることを考えると、今回の事例は示唆に富む。

つまり、TCOGのような枠組みの中で、一定期間、危機管理対策の問題で、同盟国間、および域内諸国間の協議を促進すれば、これによって得るところが大きいのである。日米韓の三国が、危機管理対策に関して一定の協議を行なうにあたり、少なくても、以下の三段階の重点課題が浮上する。
(1)(民間および軍事の分野において)これまでの経過と今後の改革を互いに理解しあう。(2)ある種の偶発的に生じる事態に対して、三国がどのように対応するかを議論する。(3)日米韓の三国は、より広い範囲で、多くの国々に及ぶ危機管理ネットワークの中核的な存在となるが、三国の相互関係を地域の他の諸国とどのように調和させるかを議論することなどである。この最後の課題は、近年の「拡散安全保障構想(PSI)」活動にその着想があり、これにより、世界各国の代表が一堂に会して、大量破壊兵器やその他の危険物資の不法な拡散を阻止するための共通の対策を議論し、共同訓練を行なうというものである。*4

PSIの構想は、北朝鮮をターゲットにしているように見えると、韓国では神経過敏になっていることから、日米韓の三国が協力する手段としては問題があるが、ほかの活動のモデルになるかもしれないということでは興味を惹く。PSIはその原則を次のように述べている。「PSIは、既存の条約や体制を含め、このような物質の拡散を防止しようとする国際社会の努力を基礎に活動する。このような物質の不拡散に関心を持ち、その海上、航空、陸上輸送の防止措置をとる能力と意志を持つすべての国が、何らかの形で参加するよう希求する。また、船舶、旗、港、領海、領空、領土が、国家であろうが、国家でなくても、拡散をもくろむ者によって利用される可能性があるいかなる国にも協力を求める。」*5
PSIの提案者は、その組織が自由で柔軟であることを賞賛し、この構想が条約や組織というかたちではなく、協調活動である点を挙げている。地域の危機(つまり危機管理体制、CRI)に対応するために、同じような方法をとることは可能だろうか。もし可能なら、その構築を促すために、三国による特別な協議をする場を設ける価値はあるだろうか。

上記の最後の問いに対して短い答を出すとすれば、現時点では「たぶん価値がある」ということになろうか。前述のように、日米および米韓の同盟関係はこの地域で独特なものである。地域CRIに軍事面が組み入れられている限り、これら三国のC2制度、情報収集能力、共同演習、そして物資調達計画をどのように増強すれば、CRIの効率性の向上に役立つかを検討することは、理にかなったことである。

オーストラリアのような国や、おそらく、EUでさえも、このような構想の中心的なグループの一角に、ある程度参加すべきだと主張することもできよう。というのも、それらの国々は、こうした状況の経験を積んでいるし、危機管理や災害救援活動に必要な資材を相当に備えているからである。この考えは正しいかもしれないが、意志決定や共同活動の調整を容易にするためには、当初は中心的なグループを比較的小さくしておく方がよい。結局のところ、PSIは、この問題に関する多国間協議の進行役としてのG7/G8の枠組みから非常に大きな恩恵を受けた。同じような枠組みがアジアにはないため、TCOGという小規模な中心グループを出発点とするのもよいであろう。TCOGが6カ国協議で同盟国の指導組織の役割を果たしているのと同じように、危機管理に関するTCOGが地域CRIで事実上の指導機関として機能することもあるであろう。

地域CRIのカバーする分野は多い。大規模な石油流出事故、海上での潜水艦または船舶の事故、テロ事件や海賊行為、それに大規模な災害対策に即応すること可能である。CRIの仕組みは柔軟であるべきと考える。官僚組織をもう一段階、増やすことはせず、危機管理に関係する既存の通信や協力体制を活用する。ただ、迅速な意志決定と協調活動を促すようなやり方で、共同演習を点検し、類似する諸活動をひとつにまとめる。このような試みには、アジア太平洋地域の主要国のすべてが参加すべきである。具体的には、オーストラリア、ニュージーランド、中国、ロシア、ASEAN諸国であり、さらに、インド、英国、EUも加わるべきである。このように参加する多くの国々を管理することは、骨の折れる仕事である。定期的に一緒に訓練を行なっているTCOGのような中心グループが、CRIの一部として、独自の重要な役割を果たしている理由が納得できよう。

適切な指導体制とCRI-TCOGの構成については、まだ検討が必要である。これについてはIFPA研究プロジェクトの最終段階でその概要を示す。危機管理体制を変更しようとしている国があることや、米国のGPRの変更などを考えると、地域のさらなる安定のために、日米韓の三国が集まって、協力関係を強化する有効な方策を検討するには、今が良いタイミングである。IFPAとそのパートナーは、今後、2005年末にかけて、引き続き、研究やインタビューを行ない、日米韓の三国が取り組んでいる危機管理の計画立案や協力のあり方についての協議を効果あるものにしていく方法を検討する。研究チームは、さまざまな状況において、危機対応計画を調整するための選択肢を探る。例えば、自然災害、石油流出や、そのほかの事故、テロ攻撃、サイバー攻撃、健康危機、そしておそらくは、北朝鮮の体制崩壊のシナリオに関連する危機や、付随する難民問題などである。

プロジェクトの最終的な研究会は2005年中に開催する予定である。この研究会はTCOG会合を模擬形式で行ない、上記の危機対応計画のシナリオの特定局面に絞って検討することになろう。2005年ワークショップの成果をもとに、いくつかの提言を行なうが、これは、危機管理の試みについて、参加者や討議するテーマの枠を広げて、より規模の大きなTCOGのような会合を、将来開催するための勧告となろう。このように、IFPAとパートナーは、日米韓の三国すべての政策立案者に、アジア太平洋地域安寧のため、互いの協力体制を強化・拡充する方法についての具体的な青写真を提供したいと希望している。


SECOND INTERIM REPORTの表紙画像本プロジェクトの第2次中間報告書をPDFファイルでご覧いただけます

SECOND INTERIM REPORT
Security Policy Reforms in East Asia
and a Trilateral Crisis Response
Planning Opportunity




全35ページ【PDF:540KB】

*1
ジェームズL.ショフ、「第1回中間報告:外交手段としてのTCOGの発展(First Interim Report: The Evolution of the TCOG as a Diplomatic Tool)」、IFPAプロジェクト中間報告書、2004年11月、http://www.ifpa.org/projects/TCOG.htm で閲覧可能。

*2
現在日米韓3カ国はこの対北朝鮮政策調整プロセスを「TCOG」と呼んでいないが、本稿では、わかりやすさを期すために、正式なTCOG会合(2003年6月以前まで開催)とその後の定期的な三国の非公式会合の両方を指して「TCOG」を用いる。

*3
6カ国協議の参加国は中国、日本、北朝鮮、ロシア、韓国、米国である。

*4
PSIとその成立の基礎となる原則については、「拡散に対する安全保障構想:禁止原則に関する声明(Proliferation Security Initiative: Statement of Interdiction Principles)」、ホワイトハウス・ファクトシート、2003年9月4日。(http://www.state.gov/t/np/rls/fs/23764.html)を参照のこと。2004年2月22日にアクセス。

*5
同上。
以上
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