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日米センター 知的交流プロジェクトレポート Vol.13

知的交流プロジェクトレポート一覧

ハリケーン・カトリーナ災害復興協力のための日米対話プロジェクトに携わって

同志社大学社会学部教授 立木 茂雄

筆者は、これまで阪神・淡路大震災からの長期的な復興の過程について研究し、被災者や被災地はどのようにして復興していくのか、その折々には何が大切なのかについて考え、政策・施策の提言活動にも関わってきた。

災害時には防火用水にもなるせせらぎが流れる松本通りを視察する一行
災害時には防火用水にもなるせせらぎが流れる
松本通りを視察する一行
阪神・淡路大震災の復興調査は、京都大学防災研究所の林春男教授と共同で進めてきたものである。その林教授は2005年8月末のハリケーン・カトリーナ災害の突発災害調査団の代表として12月に現地入りした。帰国後すぐに、筆者に連絡があり、神戸の復興調査から得た知見をもとに、大都市が巨大災害に見舞われた後、どのようにして復興していくのかについて、ニューオリンズ市民に語りかけることの必要性を訴え、筆者も趣旨に賛同した。

林教授、京大防災研の牧紀男助教授が、そのような機会の可能性やコンタクトを探る作業に奔走し、幸いなことに在ニューオリンズ日本国総領事館の協力を得て、2006年3月には、ワシントンDCおよびニューオリンズ市内で、林教授とともに神戸の復興の過程について講演する機会を得た。
帰国後、さらに深い対話や交流がニューオリンズと神戸との間に築けないか、林教授や牧助教授は模索を続けた。その結果、実現したのが今回のプロジェクトである。

来日したニューオリンズ市の復興のキーパーソンとなる一行8名はプログラムの前半4日間神戸を訪れ、3つのテーマに分かれ、それぞれに神戸側のカウンターパートが仲介役となって関係者との交流・対話事業を実現させた。
復興まちづくりをテーマとした第1グループは、代表的な事例である野田北部や松本地区などのコミュニティ・リーダーとの対話を行なった。オリバー・トーマス市議会議長は、「社会基盤の復旧・復興と並んで市民・事業者・行政の連携体制づくりが復興の基礎であること、市民と行政の協働による地域再建の重要性が強く印象に残った」と語ってくれた。

コミュニティづくりを通した心の復興、地域経済の復興をテーマとした第2グループは、大倉山復興公営住宅のコレクティブ住宅(複数戸の個室と共用リビング・ダイニングがセットになっている)と、高齢入居者の生活支援や入居者同士の人間関係づくりを常駐して支援するLSA(生活援助員)の視察を行なった。その後、震災直後に鷹取カトリック教会に集まった複数のボランティア団体がゆるやかな連携体制を維持しながら、さまざまな多文化共生の活動を続けてきた鷹取コミュニティ・センターのメンバーと討議を行なった。
第2グループに参加した神父でベトナム人コミュニティの復興に取り組むヴィエン・テ・グェン神父は、「神戸を訪れることによって『われわれも復興できる』という確信が持てたこと、多文化共生が将来のコミュニティの強みに変わり得るという指摘に勇気づけられた」と語った。

大倉山コレクティブ住宅を修学旅行で訪れた中学生との交流風景(2003年6月)(写真提供 石東直子氏)
大倉山コレクティブ住宅を修学旅行で訪れた
中学生との交流風景(2003年6月)
(写真提供 石東直子氏)
野田北部まちづくり協議会のリーダーとの交流・対話の場面
野田北部まちづくり協議会のリーダーとの
交流・対話の場面
防災・減災をテーマとした第3グループは、震災を踏まえた県・市の危機管理体制や、震災後の港湾設備の復旧・復興状況について対話を行なった。河川・海岸工学の専門家であるチューレーン大学のダグラス・マフェット教授は、「復興は急ぎすぎてはいけない。急ぎ過ぎると、復興需要の受け皿は、大半が市外の開発業者に流れ、結果として資金が被災地内で循環しない。このような神戸の教訓を、われわれはこれからも学び続けていきたい。」と語った。

4日間にわたる神戸での対話・交流の成果についてトーマス議長の総括が強く印象に残っている。「野田北部で語り合った時、ミスター・カワイがこのように話してくれた。『まちの復興については、もちろん行政が進めるべきところはある。けれども、行政がやった後の、最終的な責任は住民にある。まちの再建に住民が参画していくこと。これ以外に方法はない。』この思想を、われわれのまちでも実現させたい。」

今回、米国側に紹介した復興まちづくりの思想は、確かに神戸市民の地道でねばり強い活動を通じて培われたものである。 けれども、市民参画型のまちづくり手法は、元はといえば米国の都市再開発の経験から学んだものである。それが巨大災害後の都市の立て直しにも有効であったのだ。

先輩被災地が新しい被災地に知恵を伝えることは今回が始めてではない。99年の台湾集集地震では、中山間地の村落が多く被災した。その地域おこしのために、復興まちづくりの手法が活用され、エコツーリズムによる村おこし運動へと結実した。そこを今、04年中越地震で被災した長岡の中山間地の人びとが熱心に訪れている。

人口が戻らず、復興のための人材が不足し、社会格差がより深刻な社会におけるまちづくりの困難をニューオリンズの人びとがどのように創造的に乗り越えていくのか。その体験を、今度はわれわれが学びに訪れる日が来るにちがいない、と思う。

2006年12月

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