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日米センター 知的交流プロジェクトレポート Vol.15

知的交流プロジェクトレポート一覧

日米アーカイブセミナー:歴史資料へのアクセス 日本の経験、アメリカの経験

日米アーカイブセミナー実行委員会副委員長
財団法人渋沢栄一記念財団 実業史研究情報センター長
小出いずみ


小出いずみ氏アメリカのアーカイブズ界の重鎮トルディ・ピーターソンさんが、日米のアーキビストが日本で集まって経験交流ができないか、と、日本で唯一人、アメリカのアーキビストの免許を持っている小川千代子さんに提案している話が伝わってきた。「日本のアーカイブズはどうなっている?」と聞かれても答えられなかった、とくにアクセスがどうなっているか知りたい、ということらしい。ところが日本のアーカイブズ界にとっても、どこがどのように利用できるのか、全体をアクセスの観点から見渡す、という機会は、今までにほとんどなかった。それならばこれをきっかけに考えてみようか、ということになった。これまでの経験から国際プログラムは、国内の活性化にもつなげられることが予測はできる。しかし、予備知識として持っているアメリカのアーカイブズと日本のアーカイブズの状況は、あまりにも違いすぎる。一体、実りあるように比べられるだろうか…。

アメリカのアーカイブズについて日本で考えると、すぐにも思い浮かぶのは日米関係史の研究者たちである。彼らは長らく、ワシントンにある国立公文書館(NARA)などアメリカで公開されている資料に依拠して研究を行なってきた。歴史資料に関する制度や状況が日米では大きく異なり、日本側の資料へのアクセスが困難なことが主たる原因だから仕方がないのかもしれないが、日米両国がかかわった出来事について、アメリカ側の資料を参照するだけで、その出来事の全体像や日本にとっての意味が明らかになるのだろうか?

プロジェクトは、会議のコンセプトを日米ですり合わせるところから始まった。同業者アーキビストたちとはいえ、そもそも日本のアーカイブズについて全く知識がない人たち。相手が理解しやすいような形で課題や問題を提出しないとうまく伝わらない。日本側の実行委員会メンバーも、認識は一枚岩ではない。さまざまな角度から討論しつつ、予備的にスピーカーを選び、準備会合をもった。そこでは日本のアーカイブズの問題についてあれこれ自由に話し合ったが、そもそもアーカイブズによって何が出来るのか、というところに話が広がっていき、大いに盛り上がった。古臭いと思われがちなアーカイブズには、過去に学んで未来をつくるという役割があることが、話しの中で明確に見えてきたからだったと思う。

国立公文書館を訪問の写真
国立公文書館を訪問

3日間のセミナーをどう組み立てるか、時間と会場の制約の中で通訳をどう入れるかにも頭を悩ませた。専門家同士突っ込んだ話ができるのは、大きな会場より小人数のラウンドテーブル形式である。とはいうもののこの機会を国内の人たちにも広く共有できるようにしたい。
結論として最初の2日間は専門家会議、最後の日には国立公文書館の見学と公開フォーラムという形に落ち着いた。せっかくの日米国際会議であり、またアクセスを考える会議であることから、国境を越えてアーカイブズを利用する人たちを入れよう、ということになった。

2日間にわたる非公開討議のようすの写真
2日間にわたる非公開討議のようす
来日した5人のアーキビストたちは、いずれも日本は初めて、という人ばかりだった。これに対し日本側はいずれも米国留学・滞在経験をもつ5人に登壇をお願いした。専門家会議では、アーカイブズを国のレベル、地方自治体、大学、企業、という種別に分け、それぞれのアクセスに関する問題点を日米双方から報告しあう形をとった(全体プログラム Link )。 アーキビスト以外にも、日本のことを、場合によっては日本人よりはるかによく知っているアメリカ人研究者が加わり、またアメリカのアーカイブの豊富な利用経験をもつ日本人研究者が混じることによって、日米両国のアーカイブ関係者だけの集まりより、厚みのある、つっこんだ、多角的な議論になった。

公開フォーラムには、日本各地から、また韓国からわざわざ来てくれた参加者もあり、150人もの人が集まった。
とくに、話に聞いてはいてもなかなか実物に会う機会は少ない、企業で働く「ビジネス・アーキビスト」のベッキーさんの周りには、懇親会でも人の輪が絶えなかった。

公開フォーラムは半日という短い時間に、最初の2日間の成果を凝縮して伝えたい、ということもあって、ぎっしりつまった内容になり、聞きに来てくれた方々には、幾分消化不良気味になったかもしれない。会場では非常にたくさんの質問が出て、関心の高さが表われた。重要な質問も多かったが、残念ながら回答が得られたのは一部になってしまった。未回答に終わった質問に対しては、これから出版する成果の書籍の中で出来るだけ答えるようにしたい。

公開フォーラムの様子の写真1 公開フォーラムの様子の写真2

公開フォーラムの様子1

公開フォーラムの様子2


締めくくりに、今回の会議で何が論じられ、今後どのようなことを目指すべきかについてまとめた提言(「日米アーカイブセミナーの提言」【PDF:外部サイト】)を採択した。参加者のアンケートにも、これをこれからの指針にしたい、と記されていたが、今後も「使える」提言として生かしていきたい、と思っているところである。

アメリカ人の「知りたい」から始まったこのプログラム、会議の最後には、予期せぬ反応が現れた。「日本ではアーカイブは50年遅れている、とみんなが言うが、そんなことはない。取り組んでいる問題は同じである」と、そのアメリカ人たちが言うのである。「デジタル化はむしろ日本の方が進んでいる」という感想もあった。

国際的な利用も珍しくないことを考えると、アーカイブズは人類の共通遺産であるといえるだろう。市民社会の基盤をなす開かれたアーカイブズをめざして、これからもっと国際協力を考えていきたいものである。

2007年7月


※本事業は、「日米アーカイブセミナー:歴史資料へのアクセス、日本の経験、アメリカの経験」と題し、日米センター知的交流プログラムの助成により、2007年5月9日から11日に東京で開催されました。

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