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助成事業紹介レポート Vol.1

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2008年度、日米センターは、Environmental Law Institute (ELI: 環境法研究所)が主体となって実施する「Strengthening Post-Conflict Security and Diplomacy: Integrating Natural Resource Management and Infrastructure Redevelopment into U.S. and Japanese Peacebuilding Initiatives (紛争後の安全保障と外交の強化)」に助成を行ないました。この3年計画事業には20人を超す日米の研究者が参加し、1年目となる2008年11月には東京でキックオフ会合を、また、2009年5月12〜13日にはコロンビア大学で各事例研究を発表するシンポジウムが開かれました。
今回は参加者の一人である東京大学の中山教授より、事業の経過をご紹介いただきます。

日米共同研究 「紛争後の安全保障と外交の強化:
資源管理とインフラ再構築を通じた日米政府による平和構築活動」


中山幹康氏東京大学大学院 新領域創成科学研究科 教授

中山幹康

「資源」と「紛争」は密接に関連している。1960年以降に世界で生じた紛争の約40% は資源に関連していたと推定されている。近年に関しては、1990年以降に生じた18の紛争は資源が原因であった。資源を巡る紛争は、終結後5年以内に、他の原因による紛争の2倍の確率で再燃することが知られている。しかし、資源に関連した紛争であっても、平和協定の中で資源に言及したものは1/4以下であり、紛争後社会での資源の位置付けや扱い方については、国際社会において的確に認識されているとは言い難い。

紛争が終結した後で、社会が混乱期を経て定常状態に至るまでの変遷期では、食料、飲料水、仮設住宅の提供などの人道的支援が、国際機関や援助国による援助活動の中心となっている。しかし、単にこれらを緊急援助として提供するのみならず、この時期に当該地域の資源と環境を適切に管理することは、経済復興により人々に安定した職業と収入を供与するという意味で必須である。また、資源を巡って紛争が勃発あるいは再発することを防ぎ、平和構築を持続させるという意味で、重要な役割を有している。

これまでの紛争に関する既存研究の多くは、紛争が発生するメカニズムの解明、紛争が当該地域の社会経済活動や環境に与える影響、難民などの紛争による被害者の実情に関する調査、あるいは、一度は終結した紛争が再発するメカニズムの解析などを対象としており、紛争後社会に於ける資源と環境管理の実情に関する研究は殆ど行なわれていない。

国家間あるいは国内の勢力間で、天然資源の争奪を巡り過去に多くの紛争が生じたことは良く知られている。特に、アンゴラ、コンゴ、リベリア、シエラレオネ等のアフリカ諸国では、ダイヤモンドが政府あるいは反政府組織の資金源となり、その資金により外国から武器が調達されることで、内乱の終結が遅延した。ダイヤモンドが内乱長期化の元凶であるという意味で「紛争ダイヤモンド」あるいは「血まみれのダイヤモンド」と形容されている。「紛争ダイヤモンド」が反政府組織の資金源になっているとの懸念から、ダイヤモンド産業は「紛争ダイヤモンド」の流通を禁じるための「キンバリープロセス認証制度」を2002年に制定した。しかし、他の資源(石油、石炭、銅鉱石、木材、土地、水など)については、紛争後社会でこれらの資源が如何に管理されるべきかに関する、定見は未だ確立されていない。

2007年9月より、東京大学、環境法研究所(Environmental Law Institute、在ワシントンDC)、国連環境計画・紛争後ユニット(UNEP、在ジュネーブ)、マギル大学(在カナダ・モントリオール)の4機関は、国際共同研究「紛争からの復興における資源管理の役割」を推進し、学際的かつ学融合的アプローチにより、この問題に取り組んできた。この国際共同研究は、紛争後社会に於ける資源管理について、国家および援助機関が遵守すべき行動規範を提言することを目的としている。様々なセクターの機関が参加する国際共同研究の優位性を活用し、世界各地で約50の事例研究が、約70名の、国際機関に所属する実務者や大学などの研究機関に所属する研究者により、多様な資源について「紛争後社会に於ける資源管理の実情」を把握するために展開されている。また、個々の資源に関する事例研究を集大成して、各資源が如何に管理されるべきかを取り纏める作業も行なわれている。

日米共同研究の概念図の写真
日米共同研究の概念図

日米共同研究「紛争後の安全保障と外交の強化:資源管理とインフラ再構築を通じた日米政府による平和構築活動」は、上記の国際共同研究により得られた知見を踏まえ、資源のみならず広義の環境管理やインフラ整備をも対象とし、特に日本政府、米国政府、先進国政府、国際機関による紛争後社会への援助供与のありかたを、行動規範として提言することを目的としている。

紛争後社会で資源や環境が適切に管理されるためには、インフラ整備が重要であり、インフラ整備が平和構築に貢献し得ることは、日本政府による復興支援でも既に経験あるいは実感されていることから、日米共同研究では、紛争後社会でのインフラ整備の役割も重要な研究課題に設定されている。

日本の海外援助において平和構築支援は主要な活動の一つと位置付けられている、これまでにも、カンボジア、東ティモール、モザンビーク、ボスニア・ヘルツェゴビナ、アフガニスタン、イラクなど、多くの紛争後社会において、当該地域の復興と人々の生活再建に向けて日本国政府は積極的な支援を行なっている。日米共同研究は、国際社会に向けて行動規範を提言することに加えて、日本政府による紛争後地域への援助を、より高度化および効率化するための指針を提示することも志向している。

日米共同研究の枠組みでは、日本の研究者による6つの事例研究と、米国の研究者による同じく6つの事例研究が、アジアでの事例を対象として実施されている。日本の研究者が手掛けている事例研究は以下である:「日本政府による紛争後の東ティモールにおける資源管理支援」、「イラク南部湿地帯回復プロジェクトの評価」、「スリランカにおけるインフラ整備と平和構築」、「アフガニスタンに対する日本の武装解除・農業支援」、「カンボジアにおける地雷除去および資源へのアクセス」、「ベトナム戦争後の暫定メコン委員会への支援」。

コロンビア大学で開催された国際シンポジウムの写真
コロンビア大学で開催された国際シンポジウム

2009年5月12〜13日にはコロンビア大学(ニューヨーク)で、これらの事例研究に取り組んでいる日米の研究者と、紛争後の平和構築に携わっている実務者など、約30名の専門家が一堂に会する国際シンポジウムが開催され、各事例研究の進捗報告、その時点で得られている知見に関する発表が行なわれた。発表に基づく討議では、例えば日本の「要請主義」は、政府の行政能力が十分ではない紛争後社会に於いて、有効な援助の手段となり得るか、などの課題が検討された。

国際シンポジウムでの日本人研究者(大学院生)による発表の写真
国際シンポジウムでの日本人研究者 (大学院生)による発表

日米共同研究に参加している6名の研究者の内、4名は東京大学に在籍する大学院生(内2名は社会人の博士課程大学院生)である。2名の修士課程大学院生にとっては、国際的な共同研究に参加し、英文で研究を纏めたり、国際シンポジウムで英語により発表したりすることは初めての体験であり、負担が重い作業であったと思われる。しかし、両名の研究内容が国際シンポジウムで高く評価されたことで、大きな充実感が得られたとの述懐を両名から聞くことが出来たのは幸いであった。

2010年半ばに東京での開催が予定されている国際シンポジウムでは、日米の研究者による事例研究の結果、事例研究から抽出された一般的な知見、両国政府および国際社会への政策提言、などの発表が予定されている。また、日米共同研究の成果は書籍の形に取り纏められ、2011年初頭に公刊される見込みである。

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