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特別寄稿
安全保障研究奨学プログラムの役割と社会への貢献

特別寄稿
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安全保障研究奨学プログラムの役割と社会への貢献

土山 實男氏

安全保障研究奨学プログラムディレクター・青山学院大学副学長
土山 實男
(つちやま じつお)

平和・安全保障研究所(RIPS)の理事長などをされていた猪木正道氏や高坂正尭氏の全面的なサポートを受け、西原正現理事長(当時、防衛大学校教授)が、フォード財団からの支援によって、日本の若手安全保障研究者を育てるために「安全保障研究奨学プログラム」をスタートしてから、早くも30年近くが経過した。

この間、本プログラムはフォード財団から国際交流基金日米センター(CGP)の助成を受けて運営されるようにかわったもののプログラムの目的は初めから一貫しており、今年の夏から始まった第14期生をふくめてこれまでに約100名のプログラム修了生・奨学生がいる。7人の若手(35歳以下)研究者を1期2年、全国の大学から研究所に招き、月1回の研究会を開催し学術誌(海外の英文誌をふくむ)に発表するための論文指導を行っている。年に一度、全奨学生が加わって合同セミナーも開かれている。奨学生のなかには、日本国際政治学会や国際安全保障学会などで中核となっている者や、言論界で活躍している者も少なくない。

海外の大学では、たとえばハーバード大学のオーリン戦略研究所のように、世界中の大学から若手の国際政治学者を招いて研究成果を発表するプログラムは多いが、日本ではそのようなプログラムは少なく、ましてや安全保障研究の分野では本プログラム以外にはほとんど存在していない。いまでこそ大学の授業科目に「安全保障論」を設けている大学が増えてはいるが、それでもこの分野の科目はまだまだわが国の大学では限られた存在である。防衛大学校に総合安全保障研究科ができたのがつい10年ほど前のことであることひとつを見ても、日本における安全保障や戦略研究の立場が欧米と比べて大きく違っている。

もっとも、だからといってこの分野に特別な意識や関心をもって取り組むのも、かえって問題の解決を難しくする。この領域の研究や政策の立案には、デタッチトでドライな姿勢の方がむしろ向いているかもしれない。実際、RIPSに関係された上記の猪木、高坂、西原各氏や、久保卓也、阪中友久、渡辺昭夫各氏らの姿勢を見ても、またRIPSの研究成果を見ても、そういう姿勢をとってきているように感じられるし、本プログラムもまたそういう姿勢を貫いてきたように思われる。

RIPSが英文で『アジアの安全保障』を出版したので設立当初からイギリスのIISSと深い関わりをもっていたこともあって、ケネス・ハント氏らが講師を務めたことなどに見られるように、本プログラムの特色の一つは、国際政治・安全保障問題を単に理論的に考えるだけでなく、政策として捉えているところにある。さらに、どのような国際問題を扱っても、特に日本の平和と安全にとってもっとも重要なファクターである日米関係にどのような意味を持つのかについてもたえず注意を払っている。そういう意味において、本プログラムはRIPSの姿勢や問題意識を受け継いでいる。

もちろんこのプログラムにも変化はある。たとえば、第1期から2期生までには女性は一人も参加していなかったが、第3期と第5期に一人参加し、以後必ず女性が何人か参加している。また、マスコミから参加者があった期もあるがこれは長続きしていない。代わりにと言うわけでもないが、第13期からは外務省と防衛省から特別フェローという形でこのプログラムに参加しており、研究者に現場感覚を与える意味でも、また現場に理論的強みを与える意味でも両者によい影響を与えている。

また、研究テーマについても時代の波を受けて変化が見られる。かつては核戦略、危機管理、同盟、防衛政策といった伝統的安全保障のテーマが多かったが、いまでは、内戦、平和構築、PKO、人間の安全保障などの新しいテーマの方が多くなった。米国の大学院に学んだ者よりもイギリスの大学院に学んだ者の方が多くなっているのもこの数年の特色である。

西原正現理事長がこのプログラムのディレクター初めから務められてきたが、防衛大学校長に就任されたときから山本吉宣東京大学(当時)教授に代わり、もう一人のディレクターとして1994年から土山實男が務めている。

30年前に比べれば安全保障をめぐる議論についてのわが国の姿勢は大分変わってきたが、アジア各国で新しいリーダーが出てきており、アメリカではオバマ新政権がスタートし、これから安全保障をふくめて国際政治のあり方があらためて問われるとき、本プログラムの修了生にも何らかの貢献、あるいは責任を負うことが期待されているように思われる。最後に、この安全保障研究奨学プログラムに対しRIPS関係者から頂戴したご支援とCGPのご協力に対しまして、お礼を申し上げたい。

2009年3月
土山 實男(つちやま じつお)
青山学院大学副学長・国際政治経済学部教授

1950年生まれ。青山学院大学法学部卒。ジョージ・ワシントン大学エリオットスクール大学院修士課程、メリーランド州立大学大学院博士課程修了。Ph.D(博士号)取得。1984年に青山学院大学国際政治経済学部に就任、現在に至る。その間、ハーバード大学ジョンM. オーリン戦略研究所客員研究員を務める。2004年から2008年、国際政治経済学部長を務めた。(財)平和・安全保障研究所理事。専攻、国際政治学・安全保障。
近著に『安全保障の国際政治学-焦りと傲り』(有斐閣、2004年)Japan in International Politics-Foreign Policies of an Adaptive State (共編、Lynne Rienner 2007) Institutionalizing East Asia (共編、United Nations University Press, 2008)など。

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