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日米センター事業報告
国際シンポジウム
「複合的災害から何を学べるか:自然・原子力災害に関わる法制度の日米比較研究」

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国際シンポジウム
「複合的災害から何を学べるか:自然・原子力災害に関わる法制度の日米比較研究」

国際シンポジウム 「複合的災害から何を学べるか:自然・原子力災害に関わる法制度の日米比較研究」
事業年度: 平成23年度助成事業
助成事業名:

「複合的災害から何を学べるか:自然・原子力災害に関わる法制度の日米比較研究」

助成対象者:

明治大学研究・知財機構 法と社会科学研究所

事業(助成対象)期間 2011年10月1日〜2012年9月30日

1.事業概要
東日本大震災の被害について法学・政治学の社会科学的観点から分析し、被害防止のシステムと損害補填の仕組みについて国際的な研究グループを立ち上げて政策的提言を行うプロジェクト。第1回目国際ワークショップを2011年10月末にバークレーにて、第2回目ワークショップ及び国際会議を2012年3月に明治大学にて、第3回目会議を2012年6月にハワイでの法社会学国際大会にて実施。

2.会議の概要
国際シンポジウム: 「原子力損害賠償の現状と課題」
日時:2012年9月30日13:00〜17:30
場所:明治大学駿河台キャンパス アカデミーコモン9階309A教室

(1) 冒頭に、本事業プロジェクト・ディレクターである明治大学(現在はコロンビア大学客員研究員)の村山眞維教授より2010年にニューオーリンズ沖のメキシコ湾で起こったBP社石油掘削施設※の爆発及び原油流出事故と福島原発事故に幾つかの共通点があること——① 被害や被害者が膨大であること、② 被害額も計算不能なほど高額、③ 健康被害や環境への影響があり、④ BP社の対応に不透明な点等がある、⑤ 和解や訴訟などが多数起こっている等——から、今回の助成プロジェクトの一環として比較検証し、BP社との和解例などを参考とするため、米国で同訴訟の原告代理人を担当している弁護士のRobin Greenwald氏を招いたと紹介がありました。

シンポジウムの様子の写真

※日米センター注:BP原油流出事故について
2010年4月20日に起きた英エネルギー大手BP社の石油掘削施設「ディープウォーター・ホライゾン」での爆発事故により作業員11人が犠牲となったほか、米国5州の海岸が汚染され、沿岸の観光産業や漁業に深刻な打撃を与えた。流出原油の帯は200km、幅120kmに達したとされ、海底から流出し続ける原油の封じ込めに3ヶ月近くを要するなど、史上最悪の流出事故と言われる。事故当時、漁師や観光は2005年のハリケーン・カトリーナの被害からようやく立ち直りかけていたところで、漁業関係者や地元住民等多数の原告が個人または集団で経済的損失や健康被害に対して賠償訴訟を起こした。関係する原告人数は10万人以上に上ると言われ、2012年4月のBP社と和解では原告団の弁護士費用なども含め78億ドル(約6300億円)の見通しと報道されている。

(2) Greenwald氏より、事故発生からBP社との和解手続に至る2年間の経緯や和解の内容に関する詳細な報告がありました。

主な点としては、BP社の対応に透明性や一貫性の欠如があったこと、「暫定請求」と「最終請求」の2種類があり、即座の賠償を必要としていた方々は弁護士を雇わぬままそれ以降の権利を放棄する「最終請求」にサインしたため十分な賠償を受けなかったこと、和解プランは経済的・財産面の損害および健康・医療面の2種類が設けられていること、経済・財産面の損害賠償については、賠償の対象となる区域(ゾーン)の設定から賠償額の算定にわたる細かな取り決めがあることや、医療面での損害補償は特に事故直後については因果関係の立証を求めない自己申告制も導入されていること、BP社には事故後20年間、事故に関するあらゆる情報やデータ、記事等を収集してオンライン公開することが義務付けられたこと、精神的ダメージの賠償はなお未解決事項であること等です。

なお、同氏は和解のための各種文書(損害賠償金の計算式や和解同意書等)の雛形をCDに収めたものを30枚作成して持参され、会議終了後に希望者に配布されていました。

(3) 続いて、「原子力損害賠償紛争解決センター」「原発被災者弁護団」「法テラス」「原子力損害賠償支援機構」等、国内で福島第一原発事故の損害賠償の仲介や相談に関与している様々な日本国内の団体や弁護士・司法書士の方々から、活動報告や今後の課題について発表が行われました。

その中で浮き彫りとなった課題としては、東京電力への直接損害賠償請求以外に、原子力損害賠償紛争解決センター(原紛センター)に和解仲介を依頼することができるものの、原紛センターに寄せられる件数は処理可能な数を上回っており、未処理案件が増加していること。また、各地の弁護士事務所や弁護士会、法テラス、弁護団には損害賠償の相談や問い合わせがあるものの、相談窓口が一元化されておらず、東北はそもそも弁護士が少ないうえ、日本全体としても米国に比べて弁護士が少ないことから、人員不足であるとのこと。相談窓口の一本化や、相談にのれる専門的人材の東北への追加派遣と常駐化、地元の自治体や弁護士会等との密な連携が必要である、という言及がありました。

また、印象深かったコメントとして、集団申し立ての最大のテーマであり、賠償請求時になかなか理解されない点として、ふるさとや地域コミュニティの破壊(お祭りや町内会の結びつき、絆が断絶した)、心豊かに暮らしていた生活の破壊、という物理的ではない精神的な影響や損害に対して、これを金銭的にどう評価して賠償するか、はなかなかの課題であるというお話もありました。

会議終了後は、質疑応答も活発に行われていました。BP社の原油流出事故について、大規模な損害賠償の訴訟が行われていたことは日本でもそれほど広く知られていないかもしれません。地域の物理的な再建や復興と並んで賠償は大きな課題であり、村山教授の示唆のように、福島第一原発事故への対応を検討するうえで米国の事例に学びうる点があることが感じられる内容でした。

シンポジウムの記録は明治大学研究・知財機構 法と社会科学研究所にも掲載されています。


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