13号

創造の場シンポジウム「都市を刺激するアート」

シンポジウムの写真

創造性―クリエイティビティーが都市や地域を変革する

今日、創造性は都市や地域の活性化に欠かせない要素として世界中で注目されています。そこで、ジャパンファウンデーションでは、地域での国際文化交流にもつながる「創造の場」を考えるため、3月9日に「都市を刺激するアート」金沢21世紀美術館との共催でシンポジウムを開催しました。

「社会とアート」今、世界では

まず第1部では、6人の発表者から都市や地域、そこで生活する人々とのアートとの関わり、世界各地で行なわれているアート・プロジェクトが紹介されました。

タイのアーティスト、カミン・ラーチャイプラサート氏からは、農村で自給自足の生活を送るアーティスト共同体である「ランド」プロジェクトについて紹介があり、ケルマシュター氏からは、1951年に開始した1%法や、ソフィ・カロなど新進気鋭のアーティストに駅のデザインを委託したトゥールーズ市の地下鉄、街中で深夜までアート体験ができる文化イベント「ニュイ・ブランシュ(白夜)」など多様な事例が紹介されました。

「ランド」プロジェクトの写真
「ランド」プロジェクト

上海在住の韓国人キュレーターのキム・スンヒー氏は、中国のアーティスト・イン・レジデンスを紹介しましたが、同時にコマーシャリズムと密接に関わっている現代の中国アートの動きと、歴史が浅く、外国人客ばかりで地元中国人がほとんど訪れない中国の博物館や美術館の現状の中で芸術活動を行なうことの困難さが指摘されました。茨城県が運営する「アーカス」のプロジェクト・ディレクターである遠藤水城氏からは、既存のアートシステムにとらわれないオルタナティブ・スペースを福岡、マニラ、水戸などで立ち上げてきた自身の活動と、アーカスの、地域の「おもしろ公民館」としての活動が紹介されました。


金沢21世紀美術館館長の秋元雄史氏からは、美術館の外で街の人を巻き込みながらの芸術活動を展開することで、これまでの消費型のアートから対話型のアートを構築することを目指す金沢アートプラットフォーム2008、過疎の村の廃墟をアート作品にすることで町興しを目指した直島での家プロジェクトについての紹介がありました。

アートは人生、そして変革の力

第2部ではパネル・ディスカッションが行なわれ、それぞれが拠ってたつ文化的、社会的文脈、アプローチの仕方は違えども、誰もがアートに接し、参加できること、また自ら創造できることの重要性が共有されました。


ラーチャイプラサート氏は、アートは人生そのものであり、アートには社会を変革できる力があるといいます。ケルマシュター氏もカミン氏と同様アートと生きることは重なるものであり、さまざまな人々との出会いをもたらすものとの発言がありました。キム氏は、都市や地域を刺激する力を持っており、誰にでも分かりやすいアートを提案していきたいと述べました。遠藤氏は、確かに地域や社会的文脈により文化的システムは異なるものの、それぞれに合致したシステムはあるはず、その幸福なあり方を探りたいと発言。


秋元氏は、アートの創造の体験をより多くの市民と共有し、主体的に関わっていくことの重要性に言及するとともに、さらに創造体験には既存の枠組みを少しずらして風穴を開けていく必要があると締めくくられました。

国内ネットワーク金沢担当
松尾 博貴

 

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