18号(2)

新宿区につながりのある中高生を対象とした
映像共同制作ワークショップ その2

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4. 実施内容

The One Minutes Festivalのジュニア部門にて審査員を行なっている佐藤博昭先生、また東英児先生、服部かつゆき先生、田中廣太郎先生、佐野洋介先生を講師陣に迎え、2段階に分けて映像制作のワークショップを行ないました。 ワークショップには、大久保児童館で学習補助教室を実施しているNPO法人「みんなのおうち」に通う中高生の外国につながりを持つ児童と、新宿区近辺に在住する日本人中高生が集まり、更に、サポートスタッフとして、ペルー、ホンジュラス、中国、アメリカにつながりのある大学生及び社会人も加わり、約30人を対象に実施しました。

ワークショップ(1) - 映像を観る、みんなで映像に映ってみる -

  • アイスブレーキング:『人間ちえのわ』等
  • 映像を観る:The One Minutes ジュニア作品上映
  • 映像に映ってみる:(1)動作の伝言ゲーム、(2)インタビュー:私の好きな食べ物
  • グループ別話し合い(1)

ワークショップ(2) - 自分たちで映像を撮ってみる -

  • ゲーム:ビデオしりとり
  • グループ別話し合い(2)
  • 大久保地域にて撮影ロケ
  • 撮影映像の編集
  • 簡易上映会

集まった中高生がゲームを通じて、お互いが打ち解けてから、映像を観る、自分たちが映ってみる、というウォーミングアップ作業を行ないました。


  • ワークショップの写真1
  • ワークショップの写真2

「ビデオでしりとり」ゲームの様子


その後、それぞれ3つのグループに分かれて、講師の先生及び社会人・ボランティアスタッフのサポートのもと、自分たちでどんな作品を撮ってみたいか、それぞれ話し合いをしました。


ワークショップの写真3
話し合いの様子

国際交流や多文化共生をテーマとしたプロジェクトは、自分のルーツや母国の文化に焦点を置いたものが多いのですが、今回はあえてそこから離れて、撮る映像のテーマから自分たちで設定してもらいました。自分のルーツや母国の文化を大事にすることはとても重要です。ただ、かえってテーマを限定的にしてしまうことで、ステレオタイプを植えつけたり、自分自身に制限をかけて、お互いに境界線を引いてしまうことにもなるかもしれないと思ったからです。芸術やアート、文化にはそれだけで、人と人とをつなげる力があります。自分たちの好きなもの、関心を引かれるものを素直に撮り、まずは自分や相手がどこの国の人かということに囚われる前に、映像を一緒に撮る体験や目的を共有し、話し合いながら作業を進めることを通じて、個人としてのお互いの信頼関係を深め、相互理解の一助になればという意図がありました。


  • ワークショップの写真4
  • ワークショップの写真5

撮影準備の様子


  • ワークショップの写真6
  • ワークショップの写真7

撮影現場へ


5. 成果

「色んな人に会えて楽しかった」、「映像がこんなに簡単に作れると思わなかった、またみんなで何か一緒に作りたい」、最後のアンケートにはこんな言葉が書かれていました。
「今日は日本人の子も来ているんですか?」と最初は知らない日本人の子と一緒に作業をするのが不安そうな様子の参加者も見られました。しかしワークショップをきっかけに、参加者同士が共有の趣味を見つけて仲良くなるなど、本事業は共同作業を通じた信頼関係構築の一助となりました。文化間の違いを克服する上で、対話をすることは重要なことです。しかし、良い対話は信頼関係がなくしては成り立たないものです。今回のワークショップでは、まず個人と個人の間の信頼関係を作るという最初のステップを提供することが出来ました。


  • ワークショップの写真8

  • ワークショップの写真9


ワークショップ後

中高生が作成した映像は、12月19日 土曜日 大久保地域センターの地域交流会にて上映し、中高生自身による発表会を行いました。

  • グループ(1)『私の好きなもの』
  • グループ(2)『Ball
  • グループ(3)『初めての待ち合わせ』

参加者、協力団体、講師陣からの声 (準備中)

  • 参加者
  • 大学生・ボランティア
  • みんなのおうち
  • 講師陣からの声

6. ワークショップを終えて

今回のワークショップでは、フィリピン、中国、タイ、アメリカ、ホンジュラス、ブラジル、ペルーそして日本につながりのある中高生及びボランティアが参加しました。皆、それぞれ異なった環境や文化的な背景をもち、お互い知らないもの同士、最初はとまどいもありました。しかし、一つのチームとして映像を撮り、コミュニケーションをとっていく中でだんだんと打ち解け、ワークショップ最終日には、お互いの連絡先を交換し、その後もメールをやりとりするなど、繋がりは続いているようです。このように、今回のワークショップで行なった共同制作は、互いの信頼関係を構築するきっかけとなりました。
人と人とが、国や文化の違いを乗り越えて相互理解することは、なかなかそう簡単なものではありません。国や文化、そしてアイデンティティーの違いを共有し、真に同じ立場から理解することは、困難で道程の長い作業です。しかし、映像を一緒に作るという作業の中で、時間や場所、そして「同じ目的に向かった」という楽しい記憶や思い出を共有することは出来ます。そういった楽しい記憶や、人との思い出が、生きていくうえでの拠り所になるのではないでしょうか。国と国との狭間のなかで、文化や出自といった背景にとらわれることなく、同じ想いを共有した友人とのつながりが、今後彼らの支えになることを願います。


7. 将来の展望

人の移動が活発化する中で、もはや国内と国外とで分けて国際交流を語るのが、難しくなっています。日本国内に在住する外国につながりを持つ人々が、孤立化し、日本社会に対する不信感を深め、母国に帰国したとしたら、いくら日本文化の魅力を彼らの母国でアピールしたとしても、「私は日本に住んでいたけど、日本人は冷たかった」と一蹴されてしまうでしょう。
多様な価値観を持つ人々同士が接触する機会が増えることで、摩擦や偏見を生むこともあります。
その中で、こういった共同制作の体験は、人と人との繋がりを提供する重要なきっかけとなります。どこに住んだとしても自分の文化や考えを大切にしながら、他人とも分かち合い、楽しみながら共同できるような力をはぐくむことが、日本にとっても、国際社会にとっても重要な力になるのではないでしょうか。また、今回のワークショップに参加した外国につながりのある中高生等は、多様な文化的背景を受容することのできるポテンシャルを高く持ち、日本にとっても彼らの母国にとっても重要な人材になりえます。
国際交流基金(ジャパンファウンデーション)が設立から30年間の間に蓄積した、国際交流のノウハウを活用し、国内における海外につながりをもつ中高生を対象とした事業を行なうことは、長い目で見れば、これからの知日派の育成に繋がると考えることができるのではないでしょうか。国内の国際交流や在住外国人支援は、海外の国際交流とは切り離されて考えられていますが、人の移動が活発化する現代において、今後は、国内・国外からの双方向の交流事業の連携を保ちながら、より良い相互理解を構築することが、日本や国際社会の安定に繋がるのではないでしょうか。


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