平成11年度 国際交流基金賞/奨励賞 授賞式 ウォルフガング・サヴァリッシュ氏 挨拶(代理:曽根 建氏)

国際交流基金賞

指揮者、フィラデルフィア管弦楽団音楽監督

NHK交響楽団桂冠名誉指揮者 ウォルフガング・サヴァリッシュ

(当日は、ご本人が欠席されたため NHK交響楽団理事長 曽根 建様が代理で出席されました)


藤井理事長よりサヴァリッシュ氏(代理人:曽我氏)へ賞状を授与する写真

 最初に本日は授賞式に出席し、私自身の口からお礼の言葉を申し上げることができないことをお詫びいたします。フィラデルフィア交響楽団の音楽監督としてどうしても米国内にとどまり、楽団誕生100周年の記念行事として、新たな音楽シーズンの開幕を告げる予約演奏会を指揮しなければならないのです。授賞式に出席できないことを本当に残念に思います。と申しますのも、本年度の国際交流基金賞を受賞できたことはそれ自身が大きな出来事であるばかりでなく、私がこれまでに受けた最も大きな名誉のひとつでもあるからです。私は深い感銘を受け、心より喜んでおります。この圧倒的な気持ちを限りない感謝の気持ちとして皆様にお返ししたいと存じます。


会場風景(左:代理人 曽我氏)の写真

 私は35年前からどれほど強い愛着を日本に感じているか、私と日本の絆がどれほど強いものであるかを折に触れて申し上げてまいりました。私は、芸術一般、とりわけ音楽は年齢や人種、国や大陸の壁を越えて世界のあらゆる人々を結び付ける最高の橋渡し役であるとの確信をますます強めております。この35年間に私はほとんど2世代にわたる日本の音楽家や音楽愛好者と知り合いになり、ともに成長する機会に恵まれました。東京においてばかりでなく、世界の他の国においても、NHK交響楽団の友人たちと演奏できることは、これまで私にとって素晴らしい経験でしたし、今でも素晴らしい経験となっております。私は、コンサートやオペラの上演中にリスナーの心がどれほど開かれていくか、音楽への愛情がどれほど人々をひとつにするか、どれほど若い世代の心も引きつけることができるか、さらに、芸術が将来にも存在する ― 21世紀には芸術が生活の最も重要な要素のひとつになっているでしょう ― ことをどれほど支援することができるかを、実際に見てまいりましたし、感じてまいりました。


会場風景(中央:代理人 曽我氏)の写真

 私は日本の友人たちがこの大好きな国とすべての人々への私の貢献を評価してくださったことに心の底より感謝申し上げます。私は本賞の受賞を少しばかり誇らしく思うとともに、私が自分自身の音楽観を実現し、この芸術の持っている圧倒的なパワーを証明することに手を貸してくださったすべての音楽家とこの栄誉を分かち合いたいと存じます。この場をお借りして、藤井宏昭理事長をはじめとする国際交流基金賞のすべての関係者の皆様と、私の感謝の気持ちをこうして代読してくださっているNHK交響楽団の曽我健理事長に対して、改めて感謝申し上げます。今後も日独関係の改善にいっそう努力してまいるとともに、21世紀が素晴らしい平和な世紀になるよう、国と国との関係ばかりでなく、音楽を通して地球上のすべての人々の絆がさらに強まるよう精進を重ねてまいる所存です。

ありがとうございました。


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