北京日本学研究センター設立20周年記念国際シンポジウム特派員レポート1 −海老澤 純子−

「基調講演・パネルディスカッション」

シンポジウム会場の写真

1日目の午前中、開会式に続いて、「中日文化比較の一考察―「中国的」「日本的」の過去と現在」と題した劉徳有氏の講演が行われました。

劉徳有氏は中国における日本学の第一人者であり、長年中日交流のために尽力されてきた方だそうです。また、漢俳とよばれる五・七・五形式の詩をおつくりになっているそうです。
講演では、国際関係の中での文化の果たす役割の重要性を、中日文化の共通点や差異についていろいろな例を挙げながら、丁寧にお話しして下さいました。

また、昨今の中日問題にも触れられました。中国人に必要とされることとして、次のことを挙げられていました。“科学的な態度”で日本の国民性、民族性、民族の文化的心理を研究すべきであること、その研究は実際から出発し具体的な分析を行うことが必要であること、そして、それは他国の学者の簡単な重複や引き写しであってはならず、自分なりの新発見、創意が必要であること、日本人の外部的行為についての研究は重要であるが、それよりももっと重要なのはその行為のなかに深く潜んでいる思考方法を分析し、その行動の拠って来たるところの思考パターンを知ることであるということ、そして、文化交流は心と心の交流である、とのことでした。

これは、日本人にも置き換えて言えることではないかと感じました。専門家は別としても、多くの一般の日本人が中日関係を語るときにどれほど中国文化やその根底に流れる思想をとらえているか、甚だ疑問に感じます。互いの文化を知ることによって、お互いの考え方を理解していく助けになるような気がしました。また、過去から現在にいたる正しい歴史認識をし、受け売りでない独自の分析をしていくことが必要であると感じました。

シンポジウムの写真

劉先生のお話は、温かい人柄があふれ出るような語り口で、話に引き込まれました。お話は中国語でなされましたが、私は途中から同時通訳のイヤホンを外し、先生のお話を肉声で聞いていました。私は中国語があまりできないので、日本語のレジュメから片時も目が離せませんでしたが、それでも時折日本語交じりで、また、漢詩の紹介などは達筆の毛筆で書かれた紙を示しながら話が進められ、言わんとしていることが言葉の壁を超えて伝わってきました。先生のお話にあった中国文化と日本文化の共通点をまさに体感した講演会でした。

劉先生のお話を聞き、中国における日本研究がどのようなものであるかを初めて知り、このような素晴らしい先生により研究が進められていることに安堵と喜びを感じました。

午後は、「ジブリアニメの力」と題したパネルディスカッションが行われました。中国、アメリカ、日本それぞれの日本のアニメや映画の研究者による研究発表があり、宮沢賢治の世界とジブリ映画の関係、ディズニー映画とジブリ映画との対比など、興味深い発表が続きました。

シンポジウム参加者の写真

以前中国を訪れたときに、街でドラえもんのTシャツを着ている子供を見かけたり、店で日本のアニメキャラクターのついた商品や日本のアニメ映画のVCDが売られているのを見かけたりしたことがあり、中国で日本のアニメがいかに浸透しているかは感じていました。また、世界各国でジブリ映画が大ヒットしていることもニュースで聞いたことがありました。しかし、このようなジブリ映画の研究発表を聞くのは初めての経験で、研究内容の詳細さは驚きでした。また、今回のパネルディスカッションにジブリ映画が題材として用いられたことも、発表が進んでいくにつれて納得することができました。


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