JFサポーターズクラブ 6月のイベント報告

 

6月のイベント「国際化時代の学校教育」は、文部科学省初等中等教育局国際教育課長・手塚義雅氏を迎え6月17日(土)、JFICコモンズにおいて開催されました。

 

手塚義雅氏の写真

手塚義雅氏

講師紹介

東京外国語大学卒(フランス語専攻)
外務省入省後の赴任国は、フランス、ベルギー、コートジボワール(かつての象牙海岸)、エチオピア、香港と、地理的、政治・経済的にも多岐にわたり、豊富な国際経験を積んでいる。子ども二人を、現地校やインターナショナルスクールへ通わせた父親としての経験も持つ。
2005年7月、外務省・文科省間の課長レベル人事交流初の試みとして、外務省から文部省へ出向。文化外交的な視点から、文部科学行政に関わっていきたいという意欲をもって、業務にあたっている。
今回ジャパンファウンデーションでの講演が実現したのも、これからの教育を考えるとき、国際文化交流を推進しているジャパンファウンデーションとの連携が必要になってくるという思いがあるため。

 

意見交換の写真1

当日は次の3つのテーマについて、手塚氏の講演と意見交換が行われました。

手塚氏は、文科省の取組みを紹介するとともに、外交現場での経験をもとに、ご自分の考えを述べられました。

1.日本における英語教育

現代世界において、英語は突出した国際共通語になってきている。
たとえば、ベトナム、ラオス、カンボジアは旧フランス植民地で、以前はフランス語が広く使われていたが、この3カ国はASEAN加盟後、急速に英語を使うようになってきている。アジア太平洋地域の21カ国・地域がメンバーとなっているAPECの公用語も、英語に統一されている。
このような現実などを踏まえ、平成15年には、『「英語が使える日本人」育成のための行動計画』(資料2)が、文部科学省によって策定されている。

しかし残念なことに、国際機関で活躍する日本人は少数であり、大手多国籍企業でトップになる日本人も数少ないというのが現状である。この背景には、言葉の問題以外に、広い意味でのコミュニケーション能力が不足しているという事実がある。相手の考えていること、自分の考えていることを理解し、その上で相手に理解してもらうために、どのような説得力のあるプレゼンテーションをするか、駆け引きを展開するのかというコミュニケーション能力である。国際的に活躍できる人材を輩出するためには、単に英語の技術面の向上だけではなく、内容の伴った広い意味でのコミュニケーション能力の向上、つまり英語教育にプラスアルファが必要であろう。日本の将来を考えるとき、国際的貢献のできる人材の育成は大変重要である。

2.日本における外国人児童教育の問題

日本国内での外国人労働者の増加に伴い、日本語指導が必要な外国人生徒の数が増加傾向を見せている。その数は現在、約21,000人。その母語は54言語にわたっているが、ポルトガル語、中国語、スペイン語の3言語で、全体の約4分の3を占める。

このような外国人児童は、国際人権規約なども踏まえ、日本人と同一の教育を受ける機会が保障されている。文部科学省では、日本語指導などに応じた教員の追加的配置、JSL(日本語を第二言語とする児童生徒に対する日本語指導法)カリキュラムの開発、保護者向けの就学ガイドブック(7カ国語)の作成・配布などを行っている。

しかし学校現場を視察してみると、教育機関のみでこのような問題の解決にあたるのに、限界があることを痛感させられる。不就学問題、外国からきた保護者と日本人教師とのトラブルなど、学校だけで解決することは不可能である。省庁横断的な総合的検討が必要になってくると思われる。

3.海外の日本人学校の課題

日本人学校は、世界50カ国・地域に85校が設置され、約17,000人が学んでいる(平成17年4月15日現在)。これは、国内の小学校または中学校における教育と同等の教育をおこなうことを目的としており、一般に現地の日本人会が主体となって設立されている。
最近の国際化の風潮により、ただ日本の勉強をするだけでなく、現地の言葉や歴史、地理など現地事情に関わる指導を取り入れたり、現地校と協力することにより、現地の子どもたちとの交流を積極的に進めるようになっている。
このような日本人学校が、その特色を活かして、将来日本文化発信の拠点となる可能性もあるのではないか。

 

意見交換の写真2

意見交換

当日は、学生、教師、研究者、ビジネスマン、ビジネスマンOB、NPO関係者など多彩な顔ぶれで50名近い人々が集い、それぞれの立場から、有意義な意見交換をすることができました。
また、ジャパンファウンデーションが持つ日本語教育のノウハウや海外でのネットワークなども、国際化時代の教育に活用できることが話題となりました。

当日の配布資料

資料1 日本人にとっての英語の意義~外交現場から考えたこと~(手塚義雅)
資料2 『「英語が使える日本人」の育成のための行動計画(概要)』(文部科学省)
資料3 外国人児童生徒教育の現状と取り組み(文部科学省初等中等教育局国際教育課)
資料4 「多文化共生社会」に向けた日本の課題-外国人児童に対する教育行政の現場から
(手塚義雅 『外交フォーラム』2006年6月号)
資料5 日本人学校を日本文化発信の拠点として考える:知日派指導者の育成のために
(手塚義雅 『霞関会会報』平成18年4月号)
資料6 海外で学ぶ日本の子どもたち-我が国の海外子女教育の現状- 
(文部科学省初等中等教育局国際教育課)

 

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