2007年1月のイベント報告 記録映像作家 姫田忠義氏の講演と作品上映

 

講演会会場風景の写真

講演会会場風景

JFサポーターズクラブ1月のイベントでは、飛騨白川郷の合掌造り民家移築の模様を映像で鑑賞した後、その映像を制作した姫田忠義氏の講演を伺いました。

民家移築の模様をたどることにより、日本人が古来よりいかに自然を上手く取り入れてきたか、自然とともに生きるため、風土に合わせる知恵を働かせてきたかが明らかにされます。合掌造りに使われる素材は、周りの山から調達される自然のものばかりです。
個々の家では、屋根を葺くカヤの栽培からはじめ、時間をかけて材料を準備します。カヤ屋根の葺きあげ作業のような大規模なものは、大勢の地域の人が参加するユイ(無償の労力交換)によっておこなわれます。人びとは共同作業に参加することにより、年長者から技術を学びます。これが技術の伝承につながっていきます。

日本各地には、それぞれの地域に根ざした生活文化が育まれていたのですが、このような伝承文化は近年、急速に失われています。姫田氏は45年前より、日本各地を巡って、このような伝承文化を映像で記録する作業を行なってこられました。そのなかには、今ではすっかり失われてしまい、映像にすることが困難な生活文化も含まれています。こうした貴重な映像は、ジャパンファウンデーションの協力によって外国語字幕がつけられ、海外に日本文化を紹介するのに利用されています。姫田氏自身も、ジャパンファウンデーションの派遣により、米国、フランス、ドイツ、スウェーデンで作品上映と講演を行なってきました。姫田氏は海外の伝統文化にも目を向け、フランスのコレージュ・ド・フランスと共同制作をおこなっています。

 

記録映像作家 姫田忠義氏の写真

記録映像作家 姫田忠義氏

当日の講演では、長年の活動にまつわる様々なエピソードを交えながら、白川郷の合掌造り民家移築という生活に密着した行為を通じて、自然と共生しながら建築材料を調達する個々の家の営みがみてとれること、また個人ではできない大掛かりな作業に共同体のちからが発揮されることを指摘し、日本文化の深層には、このような人間文化の伝承があることを語ってくださいました。

 

 

白川郷の合掌造り民家の写真

白川郷の合掌造り民家

姫田氏が制作した映像資料はユネスコに提出され、白川郷の世界文化遺産登録につながりました。

当日鑑賞した映像は、DVDとしてJFICライブラリーに所蔵されています。ライブラリー内でのご視聴ができますので、どうぞご利用ください。



民族文化映像研究所 映像民俗学シリーズ『日本の姿 第四期三巻』の広報パンフレットより 
筑紫哲也氏の推薦の言葉


◆伝統的暮らしが持つ今日的な意味

世界文化遺産となった飛騨白川郷の民家群は、法隆寺や姫路城のように、時の権力者がその力と冨をふるって築き上げたものではない。そこに住む普通の庶民たちが力を合わせて、生活のために、作り上げたものである。
それにしても、どうやってあんなにも見事な合掌造りの民家を、美しい集落を、彼らは作ることができたのか。
その秘密を克明に解き明かしているのが、本作品である。なかでも、民家のひとつが解体移築されるという千載一遇の機会をとらえて、合掌造りの全工程を追った貴重な記録は圧巻である。また、屋根に必要な大量のカヤ、日常生活の道具などを、周りにある草木を軸とした自然のなかから全て調達していくエコロジーに適った生活の営みは、伝統的な暮らしがいかに今日的意味を持っているかを伝えてくれる。感動的なのは、そうした営みが、「結」に代表される、住民間の共助で支えられていることである。自立、共生、共助がこの世界遺産を生み、支えていることを見事に描き出している姫田忠義さんと民映研の仕事にはいつものことながら敬服する。
そのおかげで、私たちは目に映りしもののその奥に在る意味を知ることができるのである。

 

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