会場からの質問

 

JFサポーターズクラブイベントの写真1

『パッチギ』に対する反応は?

(質問者A) いいお話をありがとうございました。キムと申します。『パッチギ』についてちょっとお聞きしたいんですが、関西と関東と在日の方に対しての反応が大分違うと思います。それで、関西のほうのお話だったんで、関東のほうの私の友人たちが観てとてもショックを受けてまして、これを韓国の方々が観た場合は、どういう反応だったのかということをちょっとお聞きしたかったんです。お願いします。

(李) 関西の人と関東の人のリアクションは、そんなに差はないと思いますね。私がいろんなところで聞いてる限りでは、あまり大差はないかなと思います。
ただ、普段から近所に在日の人がいる地域といない地域とではかなり違うかなと思いますね。関西っていうのは、大阪に在日の人が20万人ぐらい住んでますから、もちろん関西に、特に大阪に住んでる人たちが知り得ることっていうのは、東京の人よりも多いわけですけども。その辺で、いろんな反応がありますけど。

韓国で、今『パッチギ』をまだ上映してまして2万人ぐらい観てます。実は不法ダウンロードで20万人ぐらい観てます。不法ダウンロードっていうのは、なかなか韓国では止めようがないので困ったな、と思ってるんですけども。そういう人たちが最近、特に韓国の高校生や大学生が私に手紙をくれるケースが多々ありまして、それを読んでますと、韓国の人たちは、この映画を観てまず驚くようですね。というのは、彼らは『在日』という存在をまったく知らないので。まったくではないですけども、ほとんど知らないんですね。ですから、日本に民族学校があるということを知らないんですね。民族学校に通っている人たちが実は、要するに朝鮮総連系、北系の学校だということも知らないんですね。
ですから、実は日本にある学校、僕も通ってましたけども、朝鮮学校というのは全国に159校ありまして、これが圧倒的多数なんですね。韓国系の学校っていうのは2つしかないんですね。要するに韓国の人がみてどうしてだって思うかもわかりませんが、日本における状況っていうのは、もうあたりまえなんですね。ですから、この辺がかなり違うなと思います。

あとは、いろんなご指摘がありますけども、韓国の人もやはり『パッチギ』を非常に評価してくださるんですけど、一番評価してくださるところは、やっぱり共生するという、要するに一緒に生きていくっていうテーマが込められてますけども、そのテーマに非常に共鳴してくださっているようです。
ちなみに今、予告編にありましたけども『JSA』という映画を作ったパク・チャヌクという監督は、その後『オールド・ボーイ』とか『親切はクムジャさん』で非常にヒットメーカーになりましたけども、彼が『パッチギ』を観て寄せてくれたコメントがありまして、それはこういったことです。「この映画には、近年の日本映画にない強いドラマがある。この映画には、近年の韓国映画にない強い怒りがある。この映画には、近年の世界中にない深い感動がある」って言ってくれまして、非常にいいコメントだなあ、とありがたかったなと思っています。またパク・チャヌクさんと映画を一緒にできたらいいなと思っています。何かそういう映画において、わかり合ったり何か一緒に作っていける可能性が広がって、非常によかったなと思ってますね。

市民制作映画のポテンシャルは?

(質問者B) クボタと申します。今日はありがとうございました。質問は、日本の映画のポテンシャルの話です。以前シネカノンで『恋は五・七・五』っていう映画を観たんですけど、あの映画って確か松山のNPOが協力して作った映画だって聞いたことがあるんですけど。こういうふうに、例えば違う県なんかで、そういう映画を作るNPOを作ったりすれば、日本でも市民が作る映画って発展する可能性は、高いと思いますか低いと思いますか。

(李) んー、ケースバイケースだと思いますね。ご覧になった『恋は五・七・五』っていうのは失敗してる例ですね。私が言うのもなんなんですけども。ですから、成功することもあるでしょうし。どういったことが成功するかって、いろんな要素があると思いますけども。今、そういった地方発映画っていうのは結構盛んなんですね。特に西側で盛んですね。南側といいますか。盛んです。それは多分ですね、今、皆さんあんまりご存知ないかもわかりませんが、フィルムコミッションっていうのが全国各地でできてまして、フィルムコミッションて何かと言いますと、それは、例えば松山でロケをしましょうっていうと松山フィルムムコミッションがロケ地を探してくれたり、宿泊の手配をしてくれたりいろいろしてくれるんですね。それが市役所の中に、そういう課があったりもします。そういうことが全国に広がってまして、ただ、地方の行政側からすると、ひとつ思惑は、映画が成功するとそこが観光地になったり、そして映画のクルーがやってきて沢山のお金が地元に落ちたりですね。そういったことを期待するわけですね。

ただ一方で、映画を作る立場の側からすると何かといいますと、安く撮影できるっていうことがいいわけですね。あと自分たちが知らないロケ地が、そういった名所が借りられるというところが利点なわけですね。その辺が、いまいち作る側とフィルムコミッション側で噛み合わないんですよね。なかなか噛み合うっていうのはないと思います。未来永劫これは噛み合わないと思うんですよね。ただある部分お互い妥協してやっていくっていう、その中に多分成功のキーワードがあるんじゃないかなと思いますし、今もう我々のところでも鹿児島のほうで、そういった話があったりですね。北側でも青森でそういう話があったりしてますけども。
成功するかどうかっていうのは、その地方で作った映画はその地方で入るっていうことがまず基本だと思うんですよね。そこからどれぐらい広がっていくかと。その地方だけ入る映画もありますけれども。やはりご当地は、ご当地だけおさまっては成功しないので、何とか全国規模でご当地映画を成功させるためには、やはり基本的には映画会社とご当地の両方の協力がないといけないかなと思いますね。

 

『パッチギ』の写真

映画『パッチギ』のシーンより

韓国に紹介したいのはどんな日本映画?

(質問者C) 大変、興味深く拝聴させていただきました。チョリと申します。先ほど日本の映画をご紹介されたいとおっしゃってましたけれど、どの映画をご紹介されたいと思いますか? 

(李) どの映画ですかね。いろんな映画ありますんで。まず日本映画の、ここの財産っていいますか、優秀性というか、そういったところって多様性なんですね。これはもう映画に限らずですよね。ですから、やはり多様な映画があるということをまず紹介したいと思いますし。
あと、どの映画っていう、その映画のタイトルとか、映画の監督の名前とかって、あんまり僕は意味はないと思うんですよね。そういうことよりも僕が常にこだわってるっていうのは、映画っていうのは、すごく映画を観るだけでその国のことをよくわかるし、その国の人がよくわかるわけですよね。笑い話ですけど『シュリ』という映画がヒットした後に、いろんな手紙もらって、「韓国の人もイタリアン食べるんですね」っていう手紙だったんですよ。あのー、そりゃ食べるよねと思ったり。なかには「韓国もデパートがあるんですね」とか言う人もいたんですよ。これは笑い話ですけど。それぐらい日本人、特に若い世代の人たち、韓国って知っててもよく知らなかったんですね。最もひどいのは、「北朝鮮って韓国人と同じ民族だったんですね」とか。それはもう驚きました。驚いたんですけども、でもそういうこともしかりですけど、やはり映画が伝えうる可能性っていうのは、非常に大きいので、だから映画のジャンルがどうとか、この映画を観せたいっていうことよりも、その映画を観て日本人がよくわかる映画。そして日本人も捨てたもんじゃないなっていう映画。日本人もどっこい生きてるなとか。そういった映画が、僕はもっと紹介されるべきだと思うんですよ。
それは韓国に限らずですけども。いろんな国で紹介してほしい日本映画っていうのは、例えばベネチアの映画祭で賞とったとか、ベルリンで賞とったっていう映画よりもね、日本人が好きな映画とか、っていうことを紹介すべきだと僕は思うんですよね。どこか今の日本映画って、特にヨーロッパに出ていくと受ける…、ヨーロッパの映画評論家とか映画祭の審査員が観て好む映画っていうものばかり公開されているようなきらいがありまして、それで、どこかピーピング的な日本映画なんですよね。覗き見趣味的な。「日本人にもスケベいます」とかね。「日本人も自殺したいんです」とか。そういう映画が多いんですけど。そういうことをどんどん紹介していくべきなのかなっていう、もちろんそういった面もあるんですけども。そこが、ちょっと行きすぎてまして、日本の社会とか日本の文化が少し曲解されてるとか誤解されてるきらいもあるんじゃないかなと思いますので、映画というものがそういったものを是正できればいいなと僕は思っています。

(司会) 今日は本当にありがとうございました。李鳳宇さんはですね、このように大変おだやかな話し振りで、やってらしたお仕事、あとご自身の背景などから、最初に先ほども大変いいお話だったと思うんですが、最初に韓国においでになった時に韓国の安企部が迎えにきて要注意人物だったっていう、そういった厳しい国際関係っていうものを肌で感じられている中、そういった中で映画っていうアートを通じて仕事され、日本人にも韓国の人にも感動を与えている。こういったすばらしいお仕事を、今後も私たち一般人は映画館に足を運んでですね、李さんのお仕事をサポートしていきたいなと思っております。皆さんも今日はどうもありがとうございました。李さんありがとうございました。

(拍手)

 

ページトップへ戻る