JFサポーターズクラブ 2008年9月のイベント報告 2 芸術による、元紛争地の子どもたちの心のケア 〜インドネシア・アチェ〜


JFサポーターズクラブ9月のイベント報告
芸術による、元紛争地の子どもたちの心のケア ~インドネシア・アチェ~


地図作りのワークショップ

8月16日に自分たちの住んでいる村から長時間のドライブを終えて、会場であるタケゴンの湖畔のホテルに到着した参加者の子どもたちは、一夜明けた17日にまず近くの村に行って地図作りのフィールド・ワークを行ないました。違う地域出身の子どもたちと6名で1つのグループになって、近隣の村を訪問し、村の様子を1時間に渡って観察したり、村の人たちにインタビューをしたりしました。

その後、グループで1枚の大きな模造紙に村の地図を書き、観察やインタビューの結果を「村のよいところ」「改善したほうがよい点」「村人へのインタビュー」に分けて青、ピンク、黄色のカードに書き込み、地図上に貼り込みました。そして、各グループごとに完成した地図を見せながら、自分たちの調査結果をみんなの前で発表しました。


ワークショップの写真1
村の人に果敢にインタビューを試みます

インドネシアでは、世界地図や国全土の地図を目にすることは多いのですが、逆に町や村の地図というものを目にする機会はほとんどなく、身近なコミュニティを地図で俯瞰するということ自体が新しい経験でした。この地図作りの教育的な意義は、作業によって、村や周囲の環境を空間的に把握したり、構成世帯や村の歴史を書き入れることで社会的構造を把握する能力を身につけさせることを狙っています。また、インタビューやグループでの共同作業の学習機会にもなり、インドネシア政府(国軍)寄りの家庭・村の出身者、独立派ゲリラ(GAM)寄りの家庭・村の出身者と、あえて違う村の出身者を混成させてグループに分けることで、対話の機会となるようにも配慮しました。


JFサポーターズクラブイベントの写真1
たくさんの方にご参加いただきました

この後に、自分たちの村の地図作りを行ないたかったため、まずその「練習」として、誰の村でもないところをフィールドに地図作りの作業を行いました。子どもたちにとって、地図作りもインタビューも慣れない作業だったにも関わらず、短時間で、村の世帯数、産業、歴史、インフラ、環境、教育、芸能など驚くほどたくさんのことを調査し、期待以上の完成度の地図を作りあげることができました。


朝から昼過ぎにかけて地図作りのフィールド・ワークを終えた後、今度は、昨年のワークショップに参加した後、それぞれ村に戻って、どんな風に過ごしてきたか、近況を報告しながら夕方の時間を過ごしました。 「学校や地域で演劇や詩の創作をやっている」「小さい子に踊りを教えている」「前回参加したときにもらった奨学金でヤギを買って学資のたしにした」など、ワークショップで得た「新しいこと」を糧にそれぞれが何かしらの実践をしており、今回、再び集まってそれらを共有できたことで、フォローアップ事業としての意義も確認することができました。また、前回は住み慣れた村を離れて、人前で発表したりすることに戸惑い、ホームシックにかかっていた女子生徒たちが「独立記念日に(他の地域の)北アチェのお友だちから習った踊りを披露した」と言ったときには、こんなに積極的になったのかとスタッフたちが嬉しい驚きに包まれる一場面もありました。


ワークショップの写真2
グループごとに地図を見せながら、調査結果を発表しました

夕食をはさんでの夜のセッションでは(短い期間なので朝から晩まで目一杯セッションが詰め込まれているのです・・・)、またグループワークに取り組みました。今度は、同じ村出身の子どもたちでグループを構成し、自分の村の地図を作る作業を行いました。大きな1枚の模造紙に村の地図を書き、「村のよいところ」「改善したほうがよい点」を情報カードに書き込んで貼るところまでは同じですが、午前中、他所の村でインタビュー結果を書き込んだのに代えて、自分の村については、自分が知っている村の様子(現在)、これまでの出来事(紛争時代も含めた過去)、これから村にあるとよいものなど(未来)について書いて、貼ってもらいました。


翌18日の午前のセッションでは、前日に作った地図をもとに、村の過去・現在・未来をテーマに、一人ひとりに詩を書いてもらい、それをグループでまとめて、グループの詩として完成させました。インドネシアでは伝統的に詩の創作や朗誦がさかんなので、子ども達も生き生きと取り組みました。


ワークショップの写真3
私たちの村ってどうなってるんだっけ?

完成したグループの詩を皆の前で発表した後、地図を見ながら過去に村で起きた出来事を説明したり、それに他の村の子どもが質問する時間を取りました。この通りで銃撃戦があった、誰それが怪我をしたなど話しているうちに感極まって泣き出してしまう男子児童もいましたが、前回のワークショップでは触れることはできなかった紛争時の体験について、地図を媒介にすることで自然に語り合うことができたのは、大きな前進だったと思います。これができたのも、前回のワークショップで築いた友情と信頼感によるものだと確信しています。


子どもたちが合作した詩


価値ある平和

風が木々の葉をなで
涼しい大気が行きかう住民のやる気を高める
行きかう車で道はにぎやか
追いかけっこをする子どもたち 明るく笑いながらさいころ遊びをする
民族の後継者が変化と前進のために教育を受ける

人々が様々な活動をしているので私のカンプンは静かになることはない
美しい景色と平和は安寧に飢えていたアチェにとって涼しさを与える湖となった

さあ手をつなごう、勝利を祝おう、もう争いはないのだから
こうして創られた平和によって私たちみんなは将来を編み、寄り添いあって生きていくようになった
この価値ある平和を、私たちは守ってゆく義務がある
この価値ある平和を、私たちは守ってゆく義務がある

私は昔のようなアチェを懐かしく思う
安らかでにぎやかで平穏にあふれたカンプンのことを
おお太陽よ、この私の地球を照らしてほしい、暖めてほしい
私たちがずっと息をして輝かしい将来を勝ち取るために


私たちのカンプン

紛争:
アチェで紛争が起こったとき、私のカンプンの人たちはどんなに苦しかったことか
そのとき私の村は本当にとても悲しかった
なぜなら私たちの親はどこにもいけなかったから
そして私たちはどんなに苦しかったことか
白いご飯は食べられず
食べられたのはゆでたイモだけだった

現在:
私たちはそんな紛争がもう繰り返されないことを心から望みます
そして将来、公平な指導者が人々を守ってくれますように望みます

将来:
そして権力者が今の道がとても乏しい私のカンプンを気遣ってくれることをとても望んでいます
そして能力に見合った仕事が与えられますように

私たちのカンプンの悲しい運命
道路でさえよい状態ではない・・・!
用水路もなく、農民は満足のいく収穫を得たことがない
養殖場に行っても十分な肥料がないため収穫がない
だから今、人々は養殖場に行っても満足のいく収穫が得られない
だから私たちはアチェの指導者に対して
直ちにアチェの人々に手を差し伸べてくれるよう願う
アチェが平和の意味を知るためにも・・・!


  • JFサポーターズクラブイベントの写真2
    紛争の被害について語る男の子のビデオを見ながら

  • JFサポーターズクラブイベントの写真3
    今回の事業の通訳の沼澤麗さんもイベントにいらして、
    ビデオの通訳をしてくださいました


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