JFサポーターズクラブ 2008年10月のイベント報告 2

 

2008年度 国際交流基金賞 日本語部門 受賞記念 
アンジェラ・ホンドゥル氏講演会 「日本との出会い」

 

ホンドゥル氏出版の日本語学習のテキスト写真

ホンドゥルさんが出版した
日本語学習のテキスト

はじめての日本と、日本語教材

1980年の7月から8月にかけて、ジャパンファウンデーションの海外日本語講師研修会に参加することになり、初めて日本を訪れました。ついに、憧れの日本に滞在することができたにもかかわらず、他国の教師に比べて経験が十分でなく、宿題に時間がかかったので、それほど喜ぶことができなかったとホンドゥルさんは振り返ります。

最後の週に京都や大阪を訪問し、金閣寺を見た時には、以前読んだ三島由紀夫の作品を思い出し、素晴らしい感銘を受け、帰国したら是非ルーマニア語に翻訳したいという気持ちが湧いてきたそうです。

 

ルーマニア語に翻訳したジャパンファウンデーションの辞書の写真

ルーマニア語に翻訳した
ジャパンファウンデーションの辞書

また、ジャパンファウンデーションの招待で歌舞伎も見ることもできて、心躍る気持ちがしたそうです。ちょうど、近松門左衛門の作品を英語から翻訳し、出版社に渡したところでしたので、歌舞伎には非常に興味があったのです。

このとき、ホンドゥルさんは辞書・文法書・日本文学・文化や伝統などの多くの本をルーマニアに持ち帰りました。それまで、ルーマニアには日本語教育のための教材はまったくありませんでした。1980年12月、文部省代表団が人民大学の日本語の授業を見学しに来た時、何を使って日本語を教えているのかと聞かれ、代表団にホンドゥルさんの手作りの教科書を渡し、この教科書は代表団が日本に持ち帰ったのち、春萌社によって出版されました。

 

 

 

ホンドゥルさんが初めて日本語から直接翻訳した三島由紀夫の『金閣寺』の写真

ホンドゥルさんが初めて日本語から
直接翻訳した三島由紀夫の『金閣寺』

日本文学の翻訳

ホンドゥルさんは、1985年までは日本語から直接翻訳する勇気がなかったそうです。出版社から、1985年に「コピーライトがあるから是非三島由紀夫の『金閣寺』を翻訳してほしい」という依頼があったことで、日本語から直接翻訳をすることに踏み切りました。このように出版社から依頼がくるケースもありますが、ホンドゥルさんご自身が非常に興味を持ち、出版社に翻訳したいとの希望を伝えることもあるそうです。例えば、有吉佐和子の作品などがそうです。ホンドゥルさんは、有吉佐和子の『花岡青洲の妻』の熱心な医者である主人公や、本の中で描かれている日本の古い伝統文化について強く魅せられたそうです。嫁と姑、夫と妻、若い妻と小姑などの関係や、花岡青洲の妻が姑によって見出され、結婚式の時には、夫の席には医学を勉強している夫の代わりにすごく大切な医学書がおいてあったなどのエピソードに興味を持ったと話されました。

また、ホンドゥルさんは2005年から2006年にかけての日本滞在中に、テレビ番組で円地文子の『出雲の阿国』というドラマ・シリーズを見て非常に感動しました。なぜなら、阿国の踊りに対する気持ちはホンドゥルさんの神楽に対する気持ちと同じようなものだと強く感じたからだそうです。例えどんな大きな壁があっても、好きなことなら、どんな困難も乗り越えられると確信し、さっそく大阪外大の図書館で『出雲の阿国』の本を見つけ、帰ったら是非翻訳したいと思ったということです。

他にも、太宰治の『斜陽』、藤沢周平の短編、円地文子の『女坂』を日本語から翻訳しました。今回日本に来る前は、宮本輝の『錦繍』の翻訳を終えました。この本は井上靖の『猟銃』と同じスタイルで書かれており、手紙のやり取りの中で、心理状況が表わされています。ルーマニアに帰国した後に、翻訳文がさらに美しいものになるように手を加えたいと思っています。ルーマニア語も素晴らしいので、その表現にはすごく気を使い、翻訳と同じぐらいの時間をかけて、文章を練り上げることもあるそうです。

 

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