JFサポーターズクラブ 2008年11月のイベント報告 2

 

JFサポーターズクラブ 2008年11月のイベント 「デザイン・エクスチェンジ」(カナダ)代表 サマンサ・サネッラ氏講演会のタイトル画像

 

カナダのデザインの現状

産業としてのデザインをカナダの例で見てみると、カナダではデザイン産業は拡大しており、デザインに従事する労働人口も過去10年の間毎年4.6%の伸び率を示しています。 トロントはカナダで最もデザインに従事する労働力が多い都市です。モントリオールは5位、バンクーバーは17位です。経済成長と照らし合わせてみると、経済の伸びが最も大きいのはカルガリーとエドモントで、ここの伸びはちょっと異常だといえるくらいです。トロントは製造業はあまりよくないです。バンクーバーとモントリオールは観光収入が多いです。

トロントでデザインに従事している人々の割合を見てみると、グラフィックデザインをやっている人が50.5%、インテリアデザインが13.8%、建築が12.8%、インダストリアルデザインが11.2%です。ランドスケープ(景観)建築に携わっている人が2.7%と3%にも満たないのが個人的にはちょっと残念です。

私たちの課題は、いかにして若い人に工業デザインに興味を持ってもらえるか、そして、いかに製造業が美しいデザインを受け入れるか、ということです。カナダには美しいデザインのものが多く出回っていますが、そうではないものもあります。カナダで製造されたものの8割はアメリカに輸出されるので、ひどいデザインのものというのはアメリカのテイストかもしれませんが・・・こんなことを言えるのは、私がアメリカ出身だからですよ。

でも、デザインというのは本当に大きな力を持っていて、経済、社会、環境に大きなインパクトを与えます。メーカーに対していつも伝えているのは、デザインがどれだけのインパクトを与えられるかです。デザインによって、市場に出る早さも変わってきます。また、カナダは天然資源が豊かですから、メーカーにアルミニウムやソフトウッドなどを使って新しい資材を作ってほしいということも言っています。

カナダは、人々が社会における影響をとても重視する国なので、デザインにも安全性、ユニバーサルであること、癒し、生産性など、様々な要素が求められます。特に環境への意識が高いので、サステイナブルであることが重要です。持続可能な開発においてカナダはリーダー国なので、それを考慮に入れることが大切です。

例えば、デザイン・エクスチェンジでは、最近行ったコンペティションで選ばれたサステイナブルハウスをトロント北部で実際に建設しています。一般の人々に機能的でデザイン性の高いサステイナブルハウスを見てもらうことで、デザインの与えるインパクトを感じてもらい、意識を高めてもらうためです。

デザインはそれが生まれる環境からも大きな影響を受けます。カナダの例で見ると、世界2位の国土と恵まれた天然資源を持っています。広い国土に人口3,300万人ですから、例えば日本と比べると生活環境がずいぶん違いますね。このカナダの雄大な自然にインスパイアされてデザインを生み出す人も多いですが、その一方で、天然資源に恵まれているために「なぜデザインに投資するのか?」という考え方の人がいるという側面も見逃せません。経済を見ると、アメリカとの経済的結びつきが強いです。こういうこともデザインに影響を与えていきます。

また、歴史を見ると、カナダは歴史の若い国です。日本には長い歴史がありますが、カナダはそこまでではありません。すると、当然、デザインの歴史も若いということがいえます。 さらに、カナダは移民が非常に多く、多様な文化を日常生活の中で体験できます。私の住むトロントは人口の50%が移民です。イタリア街、ギリシャ街、中華街、韓国街、ポルトガル街などがあり、本当に多様な文化が混在しています。

このような、カナダという国を構成するすべての要素にデザインは影響されています。

 

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