JFサポーターズクラブ 2009年5月のイベント報告 1

 

国際文化交流最前線の舞台裏 クアラルンプール日本文化センター編

 

5月20日に、JFサポーターズクラブ5月のイベントを行ないました。今回は「国際文化交流最前線の舞台裏 クアラルンプール日本文化センター編」と題して、ジャパンファウンデーションの海外拠点のひとつであるマレーシアのクアラルンプール日本文化センターに勤務し、今年帰国したばかりの下山前所長と島田職員に話をしてもらいました。

 

JFサポーターズクラブイベントの写真1

マレーシアの紹介をする下山前所長(左)

(下山さんより)

マレーシアとはどんな国でしょうか

マレーシアは日本の約0.9倍の国土に2657万人の人が暮らしています。
マレー系が約66%、中国系が約26%、インド系が約8%、その他が1%という多民族国家です。アジアの国の中では、政治的に大きなニュースが起こることが比較的少なく、経済もかなり発展しており、住んでいても落ち着いた社会だという印象が強い国です。

2007年はマレーシア観光年で、マレーシアでは「Malaysia Truly Asia」というキャッチコピーを使ってプロモーションを展開しました。そのとき、観光客誘致のために作られたCMがあるのでご覧ください。

このCMに登場したものをちょっと並べてみますと、リゾート、建築物、ファッションショー、オーケストラ、F1レース、スパ、市場、ショッピングモール、バンサワン(マレーシア伝統演劇)、笑う子どもたち、ジャングルクルーズ、マレー舞踊、民族祭典、民族芸能、美女たちといった感じです。インドネシアと共通するものも多いような気もしますが、まとめると、マレーシア政府が打ち出したい「Malaysia」のイメージは、美しい自然、豊かな伝統文化、発展した技術・社会、多民族・多文化の調和、というようになるでしょうか。

では、実際のマレーシアの姿はどういうものでしょう。
マレーシアのLatさんという漫画家の、「the kampung boy」(村の少年)という題のマンガ作品があります。Latさんは、マレーシアでは国民的漫画家といえるくらい有名な方です。マレーシアの田舎の村で、人々が生活する様子を生き生きと描いたもので、これが今から20~30年前の、人々の心の原風景というべき風景なのでしょう。このマンガには、実は英語版もあるのですが、その最後には、都会のシーンと「自分の子どもは自分たちが育った頃とは全然違う暮らしをしている」というシーンが付け加えられています。

 

JFサポーターズクラブイベントの写真2

マンガ「the kampung boy

多民族社会であるマレーシア

マレーシアの多民族性についてはもう少し話したいと思います。マレーシアに元々いた人たちというのは、マレー、オランアスリ、少数民族などでしたが、そこへインド南部地域から商人や農業労働者が、中国南部地方からは、商人、漁民、スズ採掘の労働者がやってきました。さらに、インドネシアの諸地域から農民、漁民、労働者がやってきて、今のような多民族社会が形成されていきました。

マレーシアの多民族社会を知るうえで参考になるテレビCMのシリーズがあるので、紹介したいと思います。このCMを作ったのは、ヤスミン・アハマド監督という、マレーシアでは非常に有名な映画監督です。彼女の映画でも「細い目」という中国系の男の子とマレー系の女の子の恋愛を描いた作品など、人種問題を扱ったものがあります。

テレビCMは「Kanak kanak memahaminya(子どもたちはわかっている)」というシリーズで何パターンかあります。1つ目の作品は、マレー系と中国系と思われる2人の男の子がいて、1人の男の子が「僕の一番の友達は彼」と隣の男の子を指さして言います。それに対して、「じゃあ、彼のrace(人種)を知っている?」と聞かれて、彼は「race」という言葉の意味がわからなくて、車のカーレースのことかと思って、「カーレースのこと?」と聞き返す、そこで画面に一行、「Kanak kanak memahaminya(子どもたちはわかっている)」の文字が出るというCMです。

次のパターンは、タンホンミン君という名前の中国系の男の子が、自分の好きなマレー系の女の子について話しています。「どうして好きなの?」と聞かれて、彼女を好きな理由を一生懸命に話している、そして、「その気持ち伝えたの?」と言われて、「そんなこと言えないよ」と恥ずかしがっているところへ、その好きな女の子がやってきます。彼女が、「誰が好き?」と聞かれて、タン君を指差したので、彼はもう大喜びしてしまって、2人は手を繋いで歩いていってしまう。そこに「Kanak kanak memahaminya(子どもたちはわかっている)」の文字、というものです。

人種が違っても、子どもたちはそんなこと関係なく仲良くしているよ、というようなメッセージを伝えたいのだと思いますが、なかなかよくできているCMだと思います。ただ、こういうメッセージがCMで訴えられるくらいですから、現実はまだなかなかうまくいっていない、という見方もできると思います。

 

JFサポーターズクラブイベントの写真3

大勢の方にご参加いただきました。

社会の様子と日本との関わり

そんなマレーシアの社会ですが、ここ2~3年直面している問題は、まず経済不況、物価の高騰が人々の生活に大きな影響を投げかけています。さらに、政治の不安定化。2008年3月の総選挙で野党の勢力が伸長する一方、与党連合・野党連合内の軋轢などもめだっています。加えて、デモのような大衆行動が見られるようになったり、ネットを使った新しいメディアでの言論が影響力をもったり、今までとは社会そのものが変わってきているような印象も少し受けています。

さて、日本との関わりを話すと、マレーシアは東方政策といって、日本に学ぼうという政策を強く打ち出している国です。この政策は1981年~2003年まで務めたマハティール元首相の時代から、現在まで続いており、日本への留学や技術研修プログラム、日本語教育を推進しています。マレーシアは、日本にいる留学生の数としては、中国、韓国、台湾、ベトナムについで5番目に多いです。また、日本語学習者も2万人を越えています。

最後に私の働いていたKL日本文化センター、私たちはJFKLと呼んでいますが、それについて簡単に紹介します。ジャパンファウンデーションは1973年に設立されました。KL事務所は1989年の10月に開設され、その後92年2月に日本文化センターに改編されました。そして、2008年9月に現在の事務所に移転しました。JFKLの事業は大きく分けて、日本語教育、芸術・文化、日本研究・知的交流、情報提供の4つに分かれますが、詳しくはこの後島田職員から話してもらうこととして、JFKLの事業の様子を写真で紹介しながら、私の話は終わりとしたいと思います。

 

 

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