JFサポーターズクラブ7月のイベント報告 世界で舞台をつくる 舞台美術家 金井勇一郎氏講演会 1

 

世界で舞台をつくる
舞台美術家 金井勇一郎氏講演会 

 

7月18日に、JFサポーターズクラブ7月のイベントを行いました。今回は舞台美術家の金井勇一郎さんに、「世界で舞台をつくる」と題して、海外公演での舞台作りについてご講演いただきました。

 

金井勇一郎氏の写真

講演される金井さん

金井さんは、舞台やテレビの美術を手がける金井大道具株式会社の後継ぎでありながら、特に家業を継ごうとは考えていなかったそうです。しかし、学生の頃に歌舞伎の海外公演に同行して仕事を手伝う機会があり、それがきっかけで舞台美術という仕事の面白さ、奥深さに魅了され、会社を継ぐことを決めたということです。

 

舞台美術の仕事とは?

まず、舞台美術の仕事について簡単に説明します。舞台をつくるには、まず演出家がいて、そのイメージを形にするための音楽、振付/殺陣、舞台装置、照明、衣裳、音響/音響効果、特殊効果、ヘアメイク、マスク、舞台監督などの人たちがいます。金井大道具が担当するのはその中の「舞台装置」ですが、「舞台装置」の中もさらに図面作成、大道具製作、小道具製作、背景画製作、舞台操作などに分かれています。

作業工程としては、まず脚本ができあがり、演出家がコンセプトを決めます。その段階で美術をどうするかの打ち合わせを行い、イメージスケッチを起こして美術家のコンセプトを固めます。それから道具帖と呼ばれるものを作り、平面図や断面図、模型を作ってイメージを確かめ、修正していきます。そして製作図面を作るのですが、予算を超えてしまわないように、予算管理も重要になってきます。図面ができたら、製作打ち合わせを行い、実際の製作にかかります。

大道具製作物は稽古場で確認をしますが、その後、劇場に搬入して仕込みと呼ばれる設営を行います。さらに道具調べといって、照明の当たり具合や役者の動きの邪魔をしないか、場面に合っているかを確認する、明かりあわせ、場当たりを行って、修正し、やっと決定します。

こうしてできた舞台で、役者の舞台稽古、通し稽古(ゲネプロ)、本番があり、終わると撤去して、保管したり、廃棄したり、別の公演で使うのであれば移動するというようになります。

 

JFサポーターズクラブイベントの写真1

公園での設営の様子を写真で紹介

平成中村座のニューヨーク公演


今回は、2004年の平成中村座のニューヨーク公演と、今年3月の『NINAGAWA 十二夜』のロンドン公演の様子を中心にお話します。

以前は、歌舞伎は日本の伝統芸能で、それを海外に紹介する、という感じが強かったのですが、歌舞伎以外の演出家が演出をしたり、今までにやったことのない作品を歌舞伎として上演したりするようなスタイルが増えてきたことで、海外でもひとつの演劇として捉えられるようになってきました。とくに、このニューヨーク公演あたりから、歌舞伎の捉えられ方が変化していったように感じています。 平成中村座の公演のときには、テント(劇場)丸ごとをコンテナで輸送して設置した為、設置だけで1ヶ月かかりました。このテントは公園に設置したので、まず地面にベニヤ板を張り、それから骨組を作り、テントの外側を作り、中の土台、空調、客席、花道、内装というように作っていきました。

海外での公演では、その国の消防法に従って非常階段の設置や非常口の表示などをします。このときは「EXIT(非常口)」という文字を赤く電光表示しました。日本風の内装のテント内にこんな文字が出ているのは不釣合いな感じもするかもしれませんが、これは必ず付けないといけないものです。また、米国は障害者への対応が手厚いので、障害者用のスロープを設置します。こういうところは海外公演で学ぶ点ですね。

 

 

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